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2009/7/ 6
ap bank fes '09のオフィシャルパンフレットを作った人(2)

「浅田家」の写真の前で。インタビューは赤々舎にて行われました。「浅田家」の写真の前で。インタビューは赤々舎にて行われました。 ap bank fes'09のオフィシャルパンフレットを作った人 第2回「写真家・浅田政志さん」

アートディレクターの寄藤文平さんに続き、今回は写真家・浅田政志さんの登場です。自身の家族を撮った写真集『浅田家』で2009年度木村伊兵衛写真賞を受賞し、今、最も注目されている写真家さんです。ap bank fes '09のオフィシャルパンフレットで、ほとんどの写真を撮影してくださった浅田さんに、撮影エピソードや感想などを聞いてみました。

◆まずは「石垣島に行ってください」

編集部 今回、浅田さんとお仕事をできることになったのは、 寄藤さんにご紹介いただいたのがきっかけでした。 寄藤さんが「このパンフレットでは写真が重要になってくるから、 ぜひ、浅田くんにお願いしたいんだけど」と。 編集部には浅田さんの写真集を持っていた人もいて、 みんな「ぜひお願いしたい!!」とすごく盛り上がったんです。

浅田 本当? 嬉しいな。

浅田政志写真集『浅田家』(赤々舎/2,600 円 +税)浅田政志写真集『浅田家』 (赤々舎/2,600円+税)編集部 でもそのとき浅田さんは、 ちょうど、木村伊兵衛写真賞を受賞したばかりで まさに「時の人」でした。 お返事をもらうまでは受けてもらえるのかなあ......、と。

浅田 寄藤さんから「浅田くん、 やるー?」って電話をもらって、 「はい、やります!」って即答しました。 寄藤さんとは一緒にお仕事をさせていただいたことがあって、 その時の経験がとても刺激的だった。 いろいろなアイデアをもらえて、そのうえで、 僕の好きなようにやらせてくれて。 だからぜひもう一度一緒にお仕事をしたいと思っていたんです。

編集部 だから二つ返事で受けていただけたんですね。 それは私たちにとってもラッキーでした。 そして、その後すぐに「石垣島に行ってください」 という流れになったんですよね(笑)。

浅田 そうそう(笑)。 寄藤さんから電話をもらって3日後くらいの日程で、 「石垣島に撮影に行ってほしい」と言われて。 まだ編集部の方とも会う前ですよね。

編集部 その節は、無理矢理なお願いをしまして、 申し訳ありませんでした......。 石垣島でap bankのお米を作るというプロジェクトが進んでいて、 田んぼの撮影をする機会があったので、 これはぜひ浅田さんに撮影していただきたい、と。

浅田 石垣島の撮影、すごく楽しかったですよ。 撮影のとき現地の農家の方にお話を伺ったんですが、 「お米を育てていると、毎日毎日田んぼの景色が変わっていく。 夕暮れ時の田んぼにいると、その景色が本当にきれいで、 帰りたくなくなるんだよ」とおっしゃっていて。 その言葉がすごく心に残りました。 僕たちが毎日食べているお米を、毎日作っている人たちがいて、 その人たちがそういう思いでいることに、なんか......、感動しました。

編集部 浅田さんに撮っていただいた 田んぼの写真を拝見していると、 その方の気持ちがわかる気がします。 とても印象的な景色でした。

浅田 実は撮影以外にもいろいろとあって。 その、現地でお世話になった農家の方は、 本当に、すごい人だったんですよ。 「撮影終わったら、イノシシ狩りに行くぞ」って(笑)。 山に罠(わな)をかけて捕まえておいたイノシシの眉間を、 こう......、鉈(なた)の柄で、スパーンと一撃して、しとめたりして。 男の中の男ですよ!  あんなにかっこいい男の人にはなかなか出会えない。 ap bankのおかげでいい体験ができました。

編集部 それは、本当にすごい体験ですよね!

浅田 僕は見てるだけでしたけどね(笑)。

編集部 浅田さんには石垣島の稲刈りにも 行っていただいたんですよね。 石垣島での浅田さんのお写真はパンフレットだけでなく eco-reso webの中でも紹介させていただいています。 ぜひみなさんにも見ていただきたいです。

◆メッセージが「伝わる」写真に

編集部 ap bankのことは知っていましたか?

浅田 もちろん名前は知ってましたよ。 ただ、小林さんと櫻井さんの音楽イベントをやっているなにか......、 というくらいの知識しかなかったので、 今回のパンフ撮影にあたってap bankの活動や、 フェスの主旨などを聞いていくうちに、 ああ、こういうものだったのかと。 その内容にはすごく興味が持てました。

編集部 今回のパンフレットの見どころは、 フェスに参加するアーティストからいただいた手描きのメッセージを いろいろなロケーションで撮影して写真に収めたページです。 あの部分はもう、 浅田さんの撮りたいように撮っていただいたんですよね。

浅田 デザイナーの寄藤さんから 「浅田くんの好きなように撮っていいから」 と言っていただいて。 好きなように撮らせてもらうって、 写真家にとっては嬉しいけどすごいプレッシャー(笑)。 何も制約がない分、言い訳できないわけだから。 ほんとに気合いが入りました。 自分の力が120%出せればいいなと思って挑みました。

編集部 普段、ご自分の作品を撮るときとは、違いましたか?

浅田 違いましたね。 まず、技術的なことから言うと、 書いてあるメッセージがきちんと読み取れなくてはならない、 ということがありました。 折り目がつけられていたり......。 そういう手描きの質感がちゃんと伝わるように というところにいちばん気を使ったかな。

編集部 質感、すごく伝わってきました!  そのメッセージに光が射していたり、 木の葉の影が落ちていたり......。 まるで自分の手元にメッセージがあって、 それを眺めているような気分になりました。

◆これまでになかった感覚が開けた撮影


浅田 今回の目標は、 自分らしい写真を撮るということより、 アーティストの方々が書いた メッセージの伝わり方が、 写真にすることによって もっともっと広がるようにしたい ということでした。 どうすれば、より興味を持って 読んでもらえるだろうとか、 そのメッセージの意味が生きる 撮影場所はどこだろう、とか。 これは、自分の作品を撮影するときには ない感覚なので、 悩みつつもやっていて楽しかったですね。

編集部 言ってみれば、 メッセージをくださったアーティストの方と 浅田さんのコラボレーションに なるわけですね。 今回は石垣島、横浜、東京と いろいろな場所で 撮影していただいたのですが、 どの場所でどのメッセージを 撮るかというのは どうやって決めていたのですか?

浅田 渡されたメッセージを何度も読んで、 その後はもう、とにかく外に出て、車を走らせたり、歩いたり。 そうすると、ふと、 「あ、ここにあのメッセージ置いたらいいんじゃないかな」 と思える場所があるんですよね。 それで置いてみると大抵しっくりくるんですよ。 あ、やっぱり違うなって時はまた別の場所を探して、という感じです。

編集部 撮影した写真があがってくるたびに、 編集部のみんな、すごいテンション上がったんですよ。 「すごい、いい!!」って。

浅田 自分もここまでの仕上がりになるなんて、 けっこうびっくりしてて(笑)。 いいロケーションで撮影できると、 結果的にその写真の中でメッセージが 生き生きと立ってくる感じがするんです。 自画自賛ですけど(笑)。

編集部 メッセージだけで存在するよりも その内容が伝わるのかな、と感じました。 それぞれのロケーションや色合いなども、 いい意味で期待を裏切るような写真ばかりでした。 浅田さんのこれまでの作品ともまた違うイメージのものも多かったので。

浅田 今回のような撮影は、 僕にとっても新しいチャレンジだったので、 今までとは違う写真が撮れた、という部分もあると思う。 これまでにはなかった感覚が開けたというか。

編集部 浅田さんの新境地?

浅田 そうですね、新境地かも(笑)。 僕の写真に少しでも興味がある人には本当に手に取ってもらいたい。 新たな一面を見てもらえると思う。

編集部 浅田さんのおかげで、 写真集のように何度も見直したいパンフレットになったと思います。 最後に、今回ap bank fesのパンフレット撮影をしていただいて なにか感想などがありましたら教えてください。

浅田 うーん......。 とにかく、すごいパワーを感じましたね。 小林武史さんや櫻井和寿さんのインタビューや アーティストメッセージを読んでいると みなさん、自分にとって大切な音楽というものを通じて、 できることをきちんと考えている、というか。 誰かに何かを伝えたいという熱い想いがあふれているなあ、と。 フェスでは多くの人々がその想いを受け取りに来てくれて、 共鳴しあっていくんですよね?  そういうのっていいなあと思いました。 僕は今回、写真を撮ることで そこに参加させてもらうことができたので、 とてもよかったなと思っています。

編集部 フェス会場にも遊びにきてください。 今日は本当にありがとうございました。

ap bank fes'09のオフィシャルパンフレットでは 全出演アーティストからの手描きメッセージのほか、 小林武史、櫻井和寿のインタビューカットなども、 浅田さんが撮りおろしてくれています。 ぜひみなさんも見てくださいね!

オフィシャルパンフを作った人
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