HOME > ap bank fes '09 特集 > 【eco-reso talk 2】その2 農業は、かっこいい! 

ap bank fes '09 特集

  • 【eco-reso talk 7】その4 食べ物は、私たちの体を作るものeco-reso talk
2009/8/12
【eco-reso talk 2】その2 農業は、かっこいい! 



ニュースなどでよく聞く「自給率40%」。今回は、それがどんな状況なのかの話がでてきました。


司会:GAKU−MC
ゲスト:西辻一真(株式会社マイファーム)、
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)、
小林武史、豊増洋右(ap bankスタッフ)



◆自給率40%の日本に、食料が回ってこないことも!?


小林 西辻くんと前にお昼ご飯を一緒に食べて、根掘り葉掘り聞いたんだけど、農業の問題って根深いところがあるんですよね。農地が不動産価値を持っているのかいないのかも、日本は特殊な事情があって、減反したら国がお金で支えていくシステムによって、戦後、自立した農業のほうに行ききれていないとか、いろんなことがあるんですよ。


僕らは食べないと生きていけないので、どんどん世界の人口が増えていって、いつ何時、食糧が回ってこなくなる状況がおこらないとも限らない。もっと言うなら、自分は男として食いぶちを稼いでいく本能がある気がしていて。


僕が農業だと考えているのは、戦後の高度経済成長の時代にずいぶん僕らが見失ってしまったものなのではないか、とも思うので。今から等身大のことを考えていかなければいけないときに、農業ってあると思うんです。ただいろんな制度や問題に、なかなかそうしにくい理由がある。でも、それを無理やり農家の人たちに「そんなことやめましょうよ」と言っても、それこそ政党の競争の道具にされてしまうだけかもしれない。だとしたら、発想の転換、たとえば週末に空いている耕作放棄地を利用して、普通の人が趣味みたいな感覚で入っていくことから、中から変えていけないだろうか。
僕らap bankは音楽への思いでつながっているのは事実なので、同じように「実感していくこと」で変わっていけるんじゃないかという思いがあるんです。


GAKU 今のお話の中で、問題として「次の世代に上手く農地をパスできない」ということがありました。僕のマネージャーの実家も家が農家で、「私の代になったら継ぐ人がいないけれど、先祖代々の土地なので、手放すわけにもいかない。その活用の仕方がよくならないものか」と常日頃言っていましたけど、それは問題としてあるんですか。


fesのオーガニックフードエリアで。こだわりの食材で作られたメニューです。fesのオーガニックフードエリアで。こだわりの食材で作られたメニューです。西辻 先程小林さんもおっしゃったように、使われなくなった農地を他の人が使いにくいというのは、その制度を抜けてでもとりあえず取り組むことが必要なんですね。
さっき、農業をやりたい人、と聞いたときに結構いらっしゃったので安心したんですけれど、そういう人が本当は制度上の問題で農地を使うことは難しいんです。


そこを「趣味の領域でやってみます」「収益は生みません」ということであれば、使われなくなった農地を持っている農家さんのところへいって「趣味でやりたいので使わせてください」と言えば、アクションを起こせるんです。


豊増 まず始めてみることですよね。実際に耕して収穫してみて、自分たちで作ったものを自分で食べたときの感動って、それこそ「実感」じゃないですか。


小林 かっこいい農家が増えれば、女の人にとっても嬉しいことじゃないですか。クリエイティブな農業をやれる人もカッコいいけれど、シンプルに「俺のやることはこれ一筋です」とがんばっている人も、カッコいいのではないかな。


農業があまりに虐げられているように僕には見えていたんだけど、そうじゃなくて自立していけるならば、厳しい経済状況のなかで、若い男子にとっても十分選択肢になる可能性がある気がしてるんですよ。



◆突き上げて、おかしい制度を変えていく


「どんな人が作ってるの?」fesでは、意識的になります。「どんな人が作ってるの?」fesでは、意識的になります。枝廣 農業って力仕事というイメージですが、それだけじゃないところがありますね。私が一番尊敬しているレスター・ブラウンという、世界的にも有名な環境オピニオンリーダーがいるのですが、彼は本当にいろいろなことを考えていて、「バイオ燃料がもし使われだしたら農業との喧嘩になる」ということを20年も前から言っています。
なぜ、そんなに先のことがわかるのか、全体のことを見ながら適切なアドバイスができるのかを訊いたときに、「農業をやってきたからだ」というんですね。彼はトマト農家で5歳か6歳のときからトマトを兄弟で育てていて、ニュージャージー州の「トマトピッキング大会」という、トマトをどれだけ早く摘み取ることができるかという大会のチャンピオンになったことがあるのが自慢なんです。


農業はただ耕すだけではなくて、常に土の状態や雨や気温や撒くものなどとの繋がりをすべて把握していないとできないんだ、と。すべての創造力と判断力を投入して初めてできる。だから力仕事じゃなく極めて知的な作業なのだと、彼はよく言っているんですね。


日本の今の自給率ってカロリーで計算したときに40%しかないんです。海外からたくさん輸入していて、海外で作ってもらっている分を日本で作ろうとすると、今の日本の農地の2.5倍は必要。日本はたくさんの農地を海外で借りていることになります。


最近は中国などあちこちの国でも輸入を開始していて、これからも日本が今まで通りの輸入を続けられるのか心配な状況になっています。それらの国々は、食料だけじゃなくて自分たちより貧しい国の土地を買い占めているんです。土地を買って、自分たちの食料をつくらせる。そうなると、日本は輸入をいつまで続けられるかわからない。それでもし、仮に輸入がゼロになったら、私たちの必要なカロリーの40パーセントというと、五歳児の男の子が1日に必要とするカロリーにも足りなくなっちゃう。もう活動できなくなってしまいますね。


そういう時代が来つつあって、国としての自給率が40%しかないのに、一方で減反やらせて耕作放棄地を放置しているのは、どうみてもおかしいですよね。そこにはいろいろな構造的な問題があると思うけれど、やはりおかしいところは直していかないといけないし、西辻さんが今やっているような、個人がどんどん出ていって、実績をつくって、もっとやりたいと、本格的にやりたいという人たちが仕組みを変えていくようになっていくといいですよね。


西辻 そうですね、制度うんぬんではなくて、僕らが突き上げていって制度を変えてしまうんだというくらいの姿勢でやっていないと、これから農業は非常に厳しくなっていくと思います。でもそんなに重く考えずに、よく草食男子なんて言われてますけど、畑やってる人は確実に肉食の人が多いので(笑)、非常にかっこいい男性になれるんじゃないかと思いますね。


(その3に続きます!)
eco-reso talk
page up