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ap bank fes '09 特集

  • 【eco-reso talk 7】その4 食べ物は、私たちの体を作るものeco-reso talk
2009/8/13
【eco-reso talk 2】その3 作る人、売る人、買う人がつながっていく



最終回は、これから私たちがどうしたらいいのかを、話し合いました。作る人、売る人、買う人の3者が協力し合う関係性が、大切なようです。


司会:GAKU−MC
ゲスト:西辻一真(株式会社マイファーム)、
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)、 
小林武史、豊増洋右(ap bankスタッフ)



◆無農薬は難しいことですか?


GAKU 体験農園は素人の方ばかりだと思いますが、実際にできているんですか?


西辻 作物は嘘をつかないんですね。丁寧に育ててあげれば作物はできますし、「初心者だからできますか?」とよく言われるんですが、可愛がってあげればそれだけ答えてくれるので、初心者の人も絶対にできます。


GAKU 体験農園を、やってみたくなりました。
ap bankのホームページに、質問がきています。まずは西辻さんに。
「田舎の父が畑を借りて農作業をはじめました。難しいのは農薬のこと。どんなに手をかけても虫がついてしまったり、葉が病気になったり、薬を使わなければならないときがあります。私が感じたのは、農業のさわり程度しかありませんが、無農薬は相当の難しさがあるのではないかと思います。農家の方々に感謝するのと同時に、完全無農薬を求めることは難しいことなのでしょうか」とのことですが。


西辻 かなりきわどい質問ですね(笑)。農薬については、どれだけ自分が育てている野菜を可愛がるか、それに尽きると思います。可愛がって済む量ではなくなったときに、初めて農薬は必要になってくるんですが、本当は虫をつむというのも自分でやらなければいけないことを、他の人にやってもらっています。その他の人が農薬だということなので、基本的に自分で食べられる量に関しては無農薬で作りたいと思いますし、実際に作ってみるとわかるんですが、毎日自分で草取りをして、虫をピンセットでつまんでというのは無理だということがわかってきます。そこで初めて、自分が購買者側にまわったときに「ああ、この無農薬の野菜って手がかかっているんだな」と感じるだけでも意識は変わってくると思います。


GAKU わかりました、ありがとうございます。


小林 脱線するようですけれど、売り物として考えたときに、無農薬は手間がかかる、値段が高い、収穫量が落ちる、この問題はずっとある。世の中に激安というものがあって、一円でも安いほうが、普通に暮らしている人たちを助けていると思うので、安い中国産が流れで入ってくる現状では、太刀打ちできないと思う。


fesのオーガニックフードエリア。出店者の方々も張り切ってます!fesのオーガニックフードエリア。出店者たちもがんばってます。あとは価値観の問題で、ちょっと高くても国産のものを食べていくんだ、美味しいということにもっとこだわっていくんだとか......。
また、国の制度が変わって、塩漬けにするような助成金じゃなくて、本当に農業を推進するために補助金が出てくるとか、いい意味での競争がおきるといいなと思うんです。


そういう流れはもう起きています。食糧ではないですが、僕らの「プレオーガニックコットン(POC)物語」も「eco-res web」で特集していますが、このPOCも値段を下げていくことができつつあります。それはこのフェスでたくさんグッズ用のコットンを買ってくれているおかげもあるんです。


どちらか選ぶということじゃなく、安全性や全体の繋がりを考えてもらえるようになって、その結果として、低農薬とか減農薬の分野が成長していくといいな、と僕は思ってるんです。



◆「おいしかった!」と店の人に声をかけてみる


ap bankの融資先の一つ。「おいしかった!」と声をかけたくなります。ap bankの融資先の一つ。「おいしかった!」と声をかけたくなります。枝廣 買う立場から言うと、国産や無農薬やオーガニックのものは高い。ただそれはスーパーやお店で払う価格だけを見た時の高さですよね。その日の支払いとしては、1割2割高いかもしれないけど、もっと長期的で見たときに、農薬をたくさん使った安全でないものを食べ続けていて体を壊すとか、早く死んでしまうとか、そういうリスクはあるとしたら、もっと長期的なこと、自分や家族の体の安全を考えて支払うことも大事でしょう。単にカロリーに対してお金を払っているというよりも、先程コットンのお話があったように、そこで作っている人たちのストーリーも含めて買っていると思うんですね。


だからこれは安くて大量生産でカロリーはとれます、というのを買うのもひとつだけど、虫食いもあるけれど、農家さんが頑張って無農薬を目指したから手間もかかっていて高い。でもそれは土地にも悪い影響を与えていないし、そういった試みをしている人たちを励ますという意味もこめると、単にカロリーに対していくら払うかということだけではない。買う側もそこまで膨らませて見られたらいいなと思うんですね。


GAKU 買うときにわかりやすくそのストーリーが手にとれると、食事をとるときのテーブルに明るい輪が広がるというか、その生産者の情報やストーリーを知りたいと思いますね。


豊増 あと流通側の心情をお話ししますと、売るほうも、本当は無農薬やオーガニックなものを売りたいんですね。でも並べてみるとやはり安いもののほうが売れていくので、できればお客さんの声を聞きたいと思っている。実際に「これをお客さんは買いたいのかな? 無農薬のものを買ってみて美味しかったのかな?」と、反応をすごく知ろうとしている。もし買ってくれるのならば、たくさん置いてみたい......というのは、仕入れている人のプライドとしてもすごくあるんです。


ただデータとしてみると「安いほうが売れました」ということがあるので、少しずつ減らしていかなければならない。だから余裕があるときには、無農薬なものやオーガニックなものを買っておいしかったら「昨日買ったお豆腐おいしかったです」とか「ホウレンソウおいしかったです」という一声をかけてあげると、お店の人もやっぱり勇気をもって仕入れることができると思います。


GAKU リアクションがあって、いいものを仕入れることができる。音楽を作るのも一緒ですね。「いい曲だった!」と言われたらまた頑張れるのと同じですよね。


小林 そうだよね。激安のお店を否定はしないけれど、行くお店ってだいたい決まるじゃないですか。人間の繋がりが見えるお店とか流通のあり方が出てきたら、激安のお店に行くよりも、楽しい喜びが出てくると思う。そういうお店が増えれば変わるのかもしれないですね。


枝廣 なるべく健康にいいものを作りたい、という生産者の人が増えていて、一方で自給率や環境のことや日本の経済に関心のある消費者が増えている。でもまだあまり上手に繋がっていないような気がするんですよ。


暑いfes、おいしいものを食べてホッと。暑いfes、おいしいものを食べてホッと。片方では「これ、本当においしいんだろうか」と思いながら仕入れているし、こちらでは「本当に安全なんだろうか」と思いながら買っている。もっとダイレクトにつながればいいと思う。農業だけじゃないですけど、世界的に面白いなと思うのは、今「プロシューマー」という言葉があって、これはプロデューサーと生産者とコンシューマー、消費者をつなげた言葉なんですね。作る人と買う人が一緒になってやっていくという動きで、たぶん西辻さんのところでやってらっしゃるのはプロシューマーの方々だと思うんです。


これまでの商業のパターンって、生産者がつくって売れるか売れないかで消費者の反応を見る。そうじゃなくて、最初から「消費者がこういうものがほしい、だからこういうものを作りましょう」と、買うことを約束していたら安心して作れますよね。だからそういう繋がり、プロシューマーの繋がりって農業の場面で増えてもいいかもしれませんね。


西辻 今プロシューマーという概念が出てきたんですけど、漁業に関しては、プロシューマー×趣味ということでいくと、釣り、ってありますよね。釣りは好きな人が多いけれど、農業に関しては釣りに代わるものがないんですね。プロシューマー×趣味というのを追及していくと、市民農園、家庭菜園ということなのかなと。


GAKU 市民農園ってみなさん知ってるんですかね? 本当いいですよね。僕、子供の頃にやっていたんですけど、都内ではなかなかスペースもないから難しいのかもしれませんけど、ああいうのがたくさんあったらいいなと僕は思います。もう少しだけ、時間が押してきているので簡単に聞きたいのですが、「ベランダでもできる、ずぼらでも初心者でもできる野菜ってありますか」。


西辻 基本的にずぼらだといい野菜はできないんですが(笑)。品種改良もされてきていて、今年人気なのは、背丈が20センチもないようなトマトですね。上に支柱を立てなくても育つようなトマトがはやっています。


GAKU トマトは我々ap bankチームもやっていますが、小林さんいかがですか?


小林 トマトは育てやすいほうなんだよね。レタスとか、トマトとか比較的、楽だそうです。今日、フードエリアで出店している人たちは、みんな何らかのこだわりを持ってトライをしています。みんなも、食べることでこだわりを実感して、楽しんでもらえたらいいと思います。
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