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ap bank fes '09 特集

  • 【eco-reso talk 7】その4 食べ物は、私たちの体を作るものeco-reso talk
2009/8/14
【eco-reso talk 3】その1 森の元気を取り戻すには



ap bank fesで行われたトークライブ、eco-reso talk。第3弾のテーマは、日本人の暮らしになくてはならない、みどりについて。わたしたちの常識を覆す、あっと驚く森のホントが飛び出しました。


司会:高柳恭子(TOKYO FMアナウンサー)
ゲスト:大串卓矢(地球環境問題専門家)
田中優(環境活動家)
枝廣淳子(環境ジャーナリスト) 
箭内道彦(クリエイティブディレクター)
小林武史



◆ただ「植林すればよい」は、ウソ?


高柳 みなさん、こんにちは。これからeco-reso talk「みどりの力」を開催させていただきます。私、本日の進行を務めさせていただきます、TOKYO FMアナウンサーの高柳恭子と申します。なぜ今日、私がここに関わらせていただいたのかと申しますと、TOKYO FMでアナウンサーとして13年働いているんですが、8年目に会社を2年間休職し、青年海外協力隊に参加して環境教育を学んできたんです。ミクロネシア連邦共和国という小さな南太平洋の島で、シャワーというか、パイプの切れっ端のようなところから、生きたままおたまじゃくしが出てくるような、すごい状況で環境のことを学んで参りました。帰ってきてからは、TOKYO FMで環境の番組やイベントに携わらせていただいております。そこからのご縁で、小林武史さんとも知り合い、このような場に立つことができました。どうぞよろしくお願いいたします。
まずはみなさまから、自己紹介をお願いしたいと思います。


左から大串さん、田中さん右から田中さん、大串さん大串 こんにちは。スマートエナジーで代表を務めております、大串と申します。スマートエナジーは、商社マンや、銀行マン、エンジニアなど、様々なバックグラウンドのメンバーが集まってできた会社でして、それぞれの持っているスキルで、地球環境問題を本気で解決しようと頑張っております。今日はみなさま、どうぞよろしくお願いします。


田中 みなさんこんにちは、田中優です。私は色々な環境関係の活動をしております。未来バンクやap bankではお金のことを、また、非営利の住宅会社を立ち上げて、森林関係の活動もしています。それは、「天然住宅」というもので、森を守るようなことも含めて、仕組みから変えていきたいと思っています。そして、その仕組みを成り立たせるような事業をいくつも展開しています。よろしくお願いします。


箭内 はい、箭内といいます。僕は、このフェスをただ観に来ただけなんです。「観に行くのでタダ券くださいって」小林さんのところに連絡したら、「eco-reso talkに出ればタダで入れてあげるよ」って言われて。


小林 なるほど、そういう話にすり替わってますけど(笑)。


右から枝廣さん、箭内さん右から枝廣さん、箭内さん箭内 (笑)。 僕は多分、間違いなくここにいる方々の中で一番、環境のことを分かっていない人間の代表ですね。「植林」というテーマを1週間前に聞いて、どんな話が聞けるんだろう? と楽しみにして来たので、会場のみなさんと一緒に勉強できたらなと思っています。
それと、最近広告を作っている中で、広告でも社会に貢献できないかと考えていまして。例えば、商品が売れたらその分の利益を誰かに渡して、地球や世の中のためにしたい、と考えたときに、みんな怪しくて誰に渡したらいいのか分からないんですよ。多分、小林さんに渡せばいいと思うんですけど。


小林 いやいや、なに言ってるんだよ(笑)。


箭内 僕は今、そのことも含めて、いろいろと勉強中です。


小林 最初にap bank fesを立ち上げた頃に、すでに箭内くんには声をかけていて。広告のクリエイターをしているから、物を売る加速度が上がることによって弊害が起きている中で、そのことが今後どう変わっていくのかという思いから、箭内くんを巻き込んだところもあって。だから箭内くんが言ったように、広告によって物を売るだけじゃなく、環境や未来への意識をどうシフトしていけるのか、といった目線で、今日も面白い話をしてくれるんじゃないかと思っています。


箭内 俺が自己紹介をしようかと思ったら、小林さんがほとんどしてくれて助かりました(笑)。


小林 (笑)。知っていると思いますけど、箭内くんはNHKの『トップランナー』をずっとやってるんだよね。もう1年以上やってるよね?


箭内 はい、1年半ですね。小林さんは、呼んでもなかなかゲストに来てくれないんですよね。


小林 嘘つけ、呼んでないじゃないか(笑)。


箭内 (笑)。もう僕の自己紹介は、これで大丈夫です。


高柳 それでは枝廣さん、お願いします。


枝廣 みなさんこんにちは、枝廣といいます。環境関係で比較的知られているところでは、アル・ゴアさんが書いた『不都合な真実』の翻訳をしております。それから、首相の温暖化問題に関する懇談会のメンバーとして、麻生首相をはじめ、政府の方々にいろいろな話を聞いてもらおうと、努力しています。
森に関して言いますと、街の人の暮らしや心を、もう一度森と繋ぐことで、日本の森を元気にしたいと思い、「私の森.jp」というホームページの運営をしています。よろしくお願いします。


小林 小林武史です。先ほど、袖で、スマートエナジーの大串さんから聞いた話で、「そうだったのか!」と目からうろこが落ちた話がありました。「森林を大切にしましょう」とか、「植林しましょう」など、木の伐採の問題について様々ことが言われていますが、木がどんどんCO2を吸収してくれる、という話のどこにポイントがあるのかを僕は知らなかったんです。


ap bank fes'09でも、日本の木材を使って作られた製品が販売されていました。ap bank fes'09でも、日本の木材を使って作られた製品が販売されていました。多分、この中にいる人もそこまで知らないことだと思うし、木というのは、成木が粛々とCO2を吸収してくれているのではなく、生長していく段階で、その木の重さの分だけCO2を吸収したと言えるんですって。逆に、成木になってしまうと、むしろCO2を排出するとも言われていて。つまり生態系の問題を一旦置いて考えれば、生長する木を育てて、切って、そしてまた植林する、ということを繰り返せば、物理的にはCO2はどんどん減っていくということなんです。


高柳 植林したまま放っておくのは、よくないんですね。


小林 切りっぱなしにしてしまうのも問題なんだそうです。今、「五大文明」と呼ばれる、黄河文明やエジプト文明のような栄えた文明で次々と砂漠化が進んでいるのは、木を伐採したまま放置したのが原因だ、ということを最近になって知りました。
この辺りの真偽のほどを、優さん、もう少し解説を入れると、どのようになるんですか?


田中 木の中身というのは、水分を除くと5割が炭素なんです。どんどん炭素を木が溜めていくんですが、吸収量は最初が高くて徐々に低くなっていく。つまり、植えてから10年から20年ぐらいまでの間が、一番炭素を吸収します。そこをうまく活用して、精算して使って、また植えていくほうが、二酸化炭素を吸収するんですね。
ただそれも用途と場所によりけりで、日本ではすでに国土の7割が森なので、植林するより、どんどん切って使ったほうがいい。ところが、例えば中国のように木を失ってしまった国の場合には、植林してやらなくてはいけない。あと、燃料にするならその周期でいいけれど、木材として使うなら40年から50年周期ぐらいがいいし、さらに地域や気候の差によってうまく使っていく、という感じですね。



◆森にも種類がある


小林 中国は植林したほうがいいけれど、日本は使ったほうがいい、というのは、どういうことでしょうか? 使う、というのは、切って使う、ということですか?


枝廣 そうですね。森といっても2種類あるので、それを分けて考える必要があります。ひとつは、もともといろいろな種類の木が生えていて、人間の手が入っていない「天然林」という森です。日本の森林のうちの6割ぐらいが天然林なのですが、この森は切らないでそのままにしておいたほうがいい。
でも、残りの4割は「人工林」で、もともとそこに生えていた木を切って、木材として使うための杉や檜を植えています。人工林には一度、人の手が入っているので、手入れを続けてあげないと森が荒れてきてしまう。なので、切って使ったほうがいいのは人工林のほうで、天然林はそのままにしておいたほうがいいんです。
人工林で杉や檜を育てて、それを伐採する。でも、小林さんがおっしゃったように、切るばかりではダメで、新しく植えて二酸化炭素を吸収してもらう必要がある。では、切った木はどうするのか? みなさんの中にも、日本の木から作ったまな板を使ったり、木造のお宅を建てたりしている方がいらっしゃると思いますが、そうすると木が溜めてきた炭素を大気中に出さずに、みなさんのお宅でさらに何十年も溜めておくことができるんですね。これを「固定化」と言います。今、木を切ってそのまま森に捨ててしまっている例もたくさんありますが、そうすると木が腐って、中の炭素がみんな出ていってしまう。なので、人工林の場合はきちんと切ってそれを使う。みなさんには、木で作ったものを買ってほしいと思います。


田中 もうひとつの分類方法に、「里山」と「遠山」というものがあります。日本の場合、植林をしすぎて、山奥まで木を植えてしまった。でも、山奥の木を切って引っ張り出すためには、エネルギーがいる。だから本当は、里山周辺に木を植えて、遠山は自然のままに残しておくべきだったんです。それを杉に替えたせいで、クマが生きられなくなったり、動物たちがふもとに下りて来ざるを得なくなったりしているんです。


高柳 手前の木を植えては切って、という循環をしていくことが望ましかったということなのでしょうか。


田中 そうですね、その循環の中に人間がうまく入り込めばいいんです。


箭内 循環とは、どのくらいのサイクルなんですか?


田中 利用の仕方と木が育つまでの期間とのバランスですが、日本の場合、木材を利用する技術がすごい。例えば法隆寺は、世界でもっとも古い木造建築ですが、木材が1300年も保たれています。このサイクルなら1300年の間に、ほかの木はいくらでも育てることができる。だから、こういう技術をもっと生かして、木を永く使っていくこともできます。


(その2に続きます!)
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