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ap bank fes '09 特集

  • 【eco-reso talk 7】その4 食べ物は、私たちの体を作るものeco-reso talk
2009/8/15
【eco-reso talk 3】その2 森林をめぐる問題は人ごとじゃない



話題の中心は、近頃よく耳にするけれど、ちょっと難しい「カーボンオフセット」や「排出権取引」へ。さらに、今の林業がおかれている現状から、問題点を解決する新たなアイデアまで、スライドショーを交えながら分かりやすくご説明いただきました。


司会:高柳恭子(TOKYO FMアナウンサー)
ゲスト:大串卓矢(地球環境問題専門家)
田中優(環境活動家)
枝廣淳子(環境ジャーナリスト) 
箭内道彦(クリエイティブディレクター)
小林武史



◆カーボンオフセットは、エコの最終手段


高柳 みなさんも京都議定書やポスト京都といった話をニュースで聞いたことがあると思います。「CO2をたくさん出してしまったので、木を植えることでリセットしたことにしましょう」、というカーボンオフセットや排出権取引などのことは、言葉では分かっていても、本当に「たくさん排出した企業が中国に木を植えたから、それでチャラになりました」ということに実際になるのか、という疑問があるんですけれども、その辺りの専門家でいらっしゃる、スマートエナジーの大串さん、いかがでいらっしゃいますか?


大串 排出権取引という言葉は難しいと思いますが、地球温暖化問題というのは日本だけの問題ではなく、アメリカや中国も関係しています。なので、日本がCO2を減らせないのであれば中国で減らしましょう、というのは考え方としてあると思います。


高柳 なるほど。では、中国で植林をするのは大事なことでもあるんですね。


大串 そうですね。CO2は1トンといった単位で数えられます。「日本で1トン排出したら、中国で2トン削減しよう」というように、今はオフセットが専門用語として使われてますが、基本的には我々が普段からおこなっていることと同じです。


例えば水を飲むとき、キレイな水にお金を払って、その水を作りだすシステムを維持してますよね。つまり特別な話ではなく、「キレイな空気を維持している人たちに、チップのような形でお金を払って、みんなでサポートしよう」という仕組みだと、私は思っています。


枝廣 カーボンオフセットという言葉は非常に分かりにくいのですが、私たちは毎日生きていくなかで、どうしても二酸化炭素は出てしまいます。それが温暖化を引き起こして、未来の世代やホッキョクグマが大変なことになってしまうのは嫌だ、と思う方はいらっしゃると思うんです。ではどうしたらいいのか。カーボンオフセットとは「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」で進めていくものだと思います。まず「ホップ」というのは、自分の暮らしの中でどれだけ二酸化炭素を出しているのかを知ることです。例えば、この会場まで来るのに電車と車を利用するのでは、出る二酸化炭素の量が違いますよね。そして、2つめの「ステップ」で、それをできるだけ自分で減らします。「車のほうが便利だけど、電車で行こう」となれば、そのぶん排出量が減るわけです。最後に「ジャンプ」というのは、それでも出てしまう分をほかで吸収することで、なかったことにしてもらおうという考えです。つまり、最後の最後に二酸化炭素を相殺するための手段がカーボンオフセットなんですね。


高柳 なるほど。


枝廣 大切なのは、まずは知って、減らすということ。それでも出てしまうぶんは、植林に必要なお金を払って木に吸収してもらうなどして、自分の出したCO2はなかったこととみなす、ということです。ただ、「植林しているから、ジャンジャン出していい」という免罪符に使われてはいけないと思うんですね。




◆知らないうちに日本人がもたらした、世界の環境被害


高柳 では、先ほど大串さんが、「チップのような形で」とおっしゃいましたけれども、若い木を植えて育っていく過程でCO2の吸収を期待する、そのためにオフセットをするのが大事だと思いますが、そこにお金が絡んでくるわけですね。先ほど、「中国がどんどん木を切ってしまった」と、小林さんがおっしゃいましたが、実際に日本がほかの国で切ってしまった木はあるのでしょうか?


大串 そのあたりはスマートエナジーの活動を紹介したいと思いますので、スライドを紹介します。


高柳 はい、ではこちらをご覧ください。



大串 このスライドは、バリの写真です。みなさん、バリ行かれたことはありますか? あ、意外に少ないですね。これはバリの漁村で、漁をしているところです。
次の写真は、めったに見れないんですが、農民の方が農業をしています。このようにバリは、非常にキレイな環境でリゾート気分を味わうことができます。
でも、次のスライドを見ていただくと分かりますが、これはバリの一番北のほうにある、西バリの国定公園です。「キレイな青空だな」と思いますが、緑があまりないですよね。
その大きな要因として、我々が食べているエビがあります。日本人はエビが大好きですが、このエビはバリの熱帯林を伐採して、そこに養殖場を作って育てています。でも残念ながら、エビの養殖は永久にできるわけではなく、この土地にある栄養分がなくなると、エビも育たなくなってしまいます。なので、その土地は、エビの養殖後にはそのままほったらかしにされてしまいます。


次のスライドですが、もう水もありませんよね。こうして森林がなくなると、水が保てなくなり、山崩れが起こります。そのことで、住民の人たちは非常に困っています。そこで、先ほどのカーボンオフセットという仕組みを利用します。みなさん、マングローブという木を知っていますか? 海水に耐えることのできる木なんですが、この木を育ててエビの養殖場の跡地に1本ずつ植えていきます。
マングローブは、少し空気が入るようなおもしろい根っこの形を広げていくんですね。この根が育つと、木が大きくなっていきます。我々は、このようにマングローブの木を植えて、国立公園に緑を戻す活動をしております。


将来的には緑の豊かな国立公園にしていきたいのですが、我々だけが活動していてもみなさんに知っていただくことができません。そこで、エコリゾートのホテルを作り、そこに来ていただくことで、日本人による伐採を我々の手で直して、もとに戻していこうとしています。
最後のスライドのようにマングローブの林が戻ると、キレイな海も戻って、我々もシュノーケリングとかダイビングをして、豊かな自然を楽しむことができます。


高柳 私たちもリゾートに出かけて行ったときに、その国の観光費用として、若干の融資というか、遊んでお金を落とすことができるかもしれないですね。そして、優さんもほかの国で植林作業をされているということですが。



◆日本の林業の現状と、解決への取り組み


田中 植林をしているわけではないのですが、映像で森林の話を紹介したいと思います。これは最終的に、ap bankがどこに融資しているのかという話にも繋がります。先ほど、高柳さんの質問で、「日本はどれぐらい国内で木材を使っているんですか? 海外からどれぐらい輸入しているんですか?」というものがありましたが、木材の国内自給率は20%なんです。


高柳 どうしてですか? 日本には、これほど木がいっぱいあるのに!


田中 つまり、人件費が高いから、海外から輸入したほうが安い。この写真は、熱帯林の木を切ったところですが、千年ぐらいかかって育った木が、あっさり切られてしまった。


高柳 そうとう大きいですよね。この木は、日本に輸出するために切られたんですか?


田中 はい。みなさんがよく使っているベニヤ板の原料として利用されて。その跡地は、プランテーションにどんどん変わっています。プランテーションを作るときは、全部の木を切り倒して、石油をかけて燃やしてから、アブラヤシを植えていくんですね。だから、こんな状態になってしまっているんです。
一方で、国産の木材は使ってもらえない。手入れをすればいい森になるのに、手入れをしないから森が荒れていて、少しの台風でも、こうして木が倒れてしまう。そして、土石流によって山が崩れていく、といったことが起こっているんですね。
この写真のように、間伐ができていないから日が射さず、下草が一切生えないために、真っ暗な森になっているからなんですよ。これは、間伐して1カ月後の写真です。単純に少し間伐をするだけで、下草が生えてきています。


高柳 ああ、生き返ってきている、という感じがしますね。


田中 もっとすごいのは、日本の杉です。今は悪者扱いされていますが。


高柳 花粉症の方が多いからでしょうね。


田中 ところが、杉は滅びかかっているから子孫を残そうとして、花粉を飛ばすんです。手入れされている杉は、ほとんど花粉を出しません。みなさん見たことがないと思うんですが、この写真がそうです。すごいでしょ?


高柳 キレイですねえ。


田中 下草も生えていて、動物たちも一緒に暮らしています。もともと杉はいい木材で、動物とも共存できるし、日本酒を作るときにも、手入れされた杉の森から出てくる水が一番いいと言われています。ワサビもそうですし、御神木もみな杉です。つまり、きちんと手入れをされなくなったこと、そして使い方に問題があります。
その使い方のひとつが、このap bankで融資している「さいかい産業」というところのペレットストーブ。ペレットというのは、材木のカスをギューッと固めたものなんですが、これがすごいのは、世界一燃費がいいんです。


高柳 へえ!


田中 しかも、従来使えなかった木の皮でも作れます。産業廃棄物としてお金を払って燃やしているものが全部燃料に変われば得になりますし、寒い地域で使えばエネルギーの自給率が50%に達するんです。


高柳 今までムダに燃やしていたもので、暖めることができるわけですね。


田中 それだけでできます。そしてこれが、ap bankの融資先で、今年のfesにも出店している「えこふぁーむ」の森です。森の中で飼っている豚さんたちは切り終わった木のところに入って行って、切り株を引っくり返して耕耘機の代わりになってくれます。そして、その跡には杉ではなく、もともとそこに生えていた木を植えています。豚を耕作放棄地に放置すると、1週間でこの写真のようにキレイにしてくれるんですよ。


高柳 自分たちで、引っくり返してくれるんですか?


田中 そう、緑のものを全部食べてくれます。しかも、豚の大好物が竹の根っこなんですよ。つま恋周辺の森も今、どんどん竹が上っていますが、てっぺんまで竹になると山はダメになってしまいます。でも、こういうところに豚を放つと、どんどん根っこを切ってくれる。


高柳 自分で勝手に好きに食べてくれるわけですね。


田中 タケノコが伸びてくるのも問題ですが、豚は鼻がいいので土の下20センチの時点で掘り起こして食べてしまう。人間の食べるぶんなんて、1本も残さない。


高柳 それもちょっと困る気もしますけどもね(笑)。


田中 その竹との共存をしていくために、生き物を利用する方法があるんです。こういうことにap bankが融資することで、「こんな可能性があるぞ」と見せてるのも、ap bankの融資の実績だと言えると思います。


高柳 なるほど。大変申し訳ないですが、小林さんが、この後のライブのスタンバイのためにここで退場ということになってしまいます。


小林 はい、がんばります。あとは箭内くんに任せましたから(笑)。後で会える人は、会いましょう。


高柳 トークのほうは、まだ続けさせていただきます。


(その3に続きます!)
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