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ap bank fes '09 特集

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2009/8/25
【eco-reso talk 6】その1 環境とエネルギー、どうつながってるの?




今回はエネルギーがテーマです。地球温暖化の原因でもあり、私たちの暮らしに欠かせないものでもあります。ゲスト3人の挨拶から、問題提起は始まりました。

司会:高柳恭子(TOKYO FMアナウンサー)
ゲスト:田中優(環境活動家)
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)
江守正多(気象学者)
小林武史



◆ゲストたちの自己紹介


高柳 みなさん、おはようございます。今日はeco-reso talkにようこそお越し下さいました。今日は、これからの自然エネルギーをテーマにお届けして行きたいと思います。まずは自己紹介を江守さんからお願いいたします。


シミュレーションによる、2100年ごろの気温上昇量分布(東大/国環研/海洋機構/文科省)。色が明るいほど大きな気温上昇を表す。※(1)シミュレーションによる、2100年ごろの気温上昇量分布(東大/国環研/海洋機構/文科省)。色が明るいほど大きな気温上昇を表しているので、チベット高原や北極海などは5℃以上(地球全体の平均上昇温度は5℃)の上昇が考えられる。江守 みなさんおはようございます。国立環境研究所の江守と申します。ちょっと映像を出していただけますか? これは名刺代わりにお見せするんですけれども、地球が温暖化すると温度がどういう風に上がって行くか、雨はどういう風に変わるか、海面がどのように上昇するかなどを科学的に調べるのが僕の仕事です。最近はこういった結果を元に温暖化がどういう意味があって、どうして止めなくちゃいけないか、どうやったら止まるのかなどを、いろいろなところでお話させていただいております。
※(1)詳しくはhttp://www.team-6.jp/cc-sim/


自己紹介とは関係がないのですけれども、昨日掛川に着いてビジネスホテルに入ったら、ものすごく暑くて、要するにエアコンが最初から入っていなかった。暑かったら自分で入れなさいということなんです。さらに、テレビが主電源から切れていて、冷蔵庫もコンセントが抜けていた。使いたい人はコンセントを差して使って下さい、と。これは僕は理想的なホテルだなと思ってですね。さらに欲を言えば、冷蔵庫やエアコンなど使えば使うほど、その分だけ余計に電気代を払うようにするともっといいんじゃないかな。
こんな風に自分が使っているエネルギーを色んなところで実感して、かつ使いたくないエネルギーを使わなくていい権利をもっと行使出来るようになった方がいいんじゃないかなと個人的には思っているんですけれども。


小林 なるほど。でも、その分まず先にホテル代を値下げして欲しいですよね。


江守 そうそう、そうです。


小林 時々どうなんだと思うのが、地球環境のためにタオルを交換しないホテルがありますけれど、その分安くしてくれるかというと、そうでもない。ホテルにとってただ楽なだけで、都合がいいようにとれます。それは最初にちゃんと明確にするべきだと思う。


江守 だから、省エネすればするほど安くなるホテルがいいかなと、個人的には思うんですけどね。世の中には省エネが好きな人も嫌いな人も、あんまり興味ない人もいると思います。どんな人に対しても温暖化はどういう問題で、どうしなくちゃいけないかを考えてもらうような立場で話して行きたいと思います。


高柳 後ほどたっぷりとお話をお伺いしたいと思います。そして、田中優さんです。


田中 おはようございます。地球温暖化には、化石燃料、とりわけ石油が問題になっています。今、話題になっている、中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区のニュースがあります。どうして新疆ウイグル自治区を中国が絶対に離さないか、私はこのように考えてます。一つはここに中国最大の石油の油田と中国最大のガス田がある。そしてもう一つカスピ海からの石油のパイプラインとガスのパイプラインが通っているんです。エネルギー的にここは中国にとって生命線なので、漢民族が絶対に支配する形になってるんですね。


また、中国には青蔵鉄道という2006年に出来たばかりの世界で一番高いところを走る列車があるんですが、それが200km延ばされることになった。何のためかと言うと、チベットには鉱物資源が13兆円分も眠っているんです。さらにチベットに新たな油田が見つかっている。だから絶対にチベットを独立させないという構図になっているんです。
私たちが石油の問題をもし解決出来たとすると、実は戦争も止むんです。戦争はエネルギーの奪い合いだから、これを止めて行くことも可能になるんです。そういう意味で言うと、エネルギーの問題は地球温暖化だけじゃなくて、私たちの未来を平和な未来に出来るかどうかにも関わっている。


右から江守さん、田中さん、枝廣さん右から江守さん、田中さん、枝廣さん今、一番進んでいるなと僕が思っているのはドイツのやり方です。ドイツは地球温暖化防止を進める時に、地球温暖化防止と、技術の革新と、雇用の創出、この三つを同時にやるんです。そして、ドイツは技術を革新したおかげで、世界一の太陽光発電メーカーだった日本企業を抜いた。そのおかげで27万人も雇用を増やしたんです。さらに、ドイツは二酸化炭素に税金をかける炭素税も導入した。もちろん企業は猛反対したんですよ。


ところがドイツは、政府が「この分のお金は企業が負担している従業員の年金の半額部分に助成するよ」と言ったんですね。企業は猛反対する気で会議に臨んだのに「え、俺にくれるの?」と黙らざるをえなくなった。その結果どうなったかと言えば、アルバイトを雇っていると助成金をもらえないが、正社員にすると助成金がもらえるもんだから、アルバイトから正社員に変わった人が25万人もいるんですね。ドイツは温暖化対策で、合わせて52万人も雇用を増やしたんですよ。日本の三分の二しかドイツの人口はないので、日本に直すと78万人です。これ、どのくらいの雇用者数か分かりますか? トヨタではなくて、トヨタグループ三つ分なんですよ。それだけ多くの雇用を政策一つで作ったんですね。


この仕組みを今どんどん真似しているのがアメリカです。アメリカのグリーンニューディール、とりわけスマートグリッドという政策を進めて行くなかで、どんどんと雇用を増やし、そして人々に自然エネルギーを届けられるように進めています。


この流れの中で一番凄いと思うのは、アメリカの公益事業規制委員長がこういう発表をしたことです。アメリカはスマートグリッドをやっていくことでエネルギーのプールを街に作っていける。余った電気があったら電気自動車にプールすればいい。電気が足りなくなれば電気自動車から流せばいい。その結果「今後原子力発電所も石炭火力発電所もアメリカには一切建てる必要がなくなった」と明言してるんです。ここまで世界は思いっきり変わりつつあるんですね。


これは江守さんが時々言うことなんだけど、僕らはものすごい時代の変革期にいるんだ、と。これまでは電気が貯められなかったから大変だったけど、もう電気が貯められる時代に入って来ている。しかも温暖化問題などによって、我々が未来を選択出来る最後の世代になっている。残念ながら子どもたちの世代には間に合わない。だから私たちだけに出来る選択なんだ。その選択をどういう風にやっていくかというのが、我々に課せられた課題だというふうに思うんですね。


これまでは石油社会だったから、人を殺してでも石油を奪うことが大事だった。そして石油は上から下に配られるものだった。だけど、今後の社会が自然エネルギーになれば、地域ごとに下から上にエネルギーが作られて来る社会になる。そうすると、これまで大事だった、人を殺してでも石油を奪ってくれる軍事力は必要なくなる。


自然エネルギーの社会に変わる時には地球温暖化の問題も解決するし、戦争も必要がないし、今後は原子力に頼る必要もなくなっていくだろう。その時代の変革期の真ん中に我々はいるんですね。これも江守さんがよく言うことだけど、この時代に生きているということを楽しもうって僕も思うんです。私たちにだけ課せられた選択肢をどう生かすかが、私たちの世代の一番の苦しみでもあるし、楽しみでもあるだろうと思うんです。ぜひ、みなさんにも可能性を感じて欲しい。



◆車も電車も、洗濯機も...、エネルギーなしでは暮らせない!


高柳 枝廣さんからもご挨拶をお願いします。


枝廣 私は環境問題に興味を持ちはじめた時に、エネルギーという言葉がよく分からなかったんです。ふだんもエネルギーという言葉を使うじゃないですか。たとえば、小林さんはトークセッションに全部出てから夜までライブをやって、すごいエネルギーいっぱいの人だ、みたいに。そういう風にエネルギーという言葉をよく使っていましたが、環境問題で使われるエネルギーという言葉がよく分からなかったんですね。いろいろ勉強していくうちに分かって来たのは、私たちの身体をエネルギーが動かしてくれるように、私たちの社会も経済も暮らしもやっぱりエネルギーが動かしてくれているということです。


電車でJR掛川駅に着いた、ap bank fes'09に参加するお客さんたち。電車でJR掛川駅に着いたap bank fes'09に参加するお客さんたち。みなさんここまで来るのに、お家から歩いてこられたという方はそんなにいらっしゃらないと思います。何らかのエネルギーを使った電車とか自動車とかに乗って来ているし、衣類を昔のように洗濯板で自分のエネルギーだけで洗っているかというとそうではなくて、洗濯機という電気のエネルギーを使わせてもらっている。それがないと、とても困ってしまうわけです。


だからエネルギーというのはとても大事なんです。そのエネルギーをどれだけ使うか、どういう種類のエネルギーを使うか、それによって地球に対する影響が良かったり悪かったりする、ということがだんだん分かって来ました。もしピンと来なかったら、電気、ガス、ガソリンのことだと思って聞いて頂ければいいと思います。


エネルギーの問題には、量の問題と質の問題の二つがあります。量のことはよく言われますよね、みなさんも色々、こまめに電気を消したり、省エネされていると思います。


掛川駅からバスでfes会場へ。掛川駅からバスでfes会場へ。もう一つ大事なのは質の問題です。量を減らしてもどうしても必要な分があるなら、「じゃあそのエネルギーを何で作るの?」ということです。今、優さんが言って下さったように、石油のようなこれまでの化石燃料を使っていると温暖化にもよくないし、色々な戦争も引き起こしてしまう。そういったエネルギーを使う必要はない。今、私たちは自然エネルギーという新しいエネルギーを選ぶことが出来るようになって来た、そんな話をここで今日出来たらと思っています。


(その2に続きます!)

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