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2009/8/27
【eco-reso talk 6】その3 地球温暖化を認め、その上で前に進もう



「地球温暖化が本当にあるのかないのかを議論するのではなく、その先に進もう」という小林の提案で、議論はさらに深まりました。


司会:高柳恭子(TOKYO FMアナウンサー)
ゲスト:田中優(環境活動家)
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)
江守正多(気象学者)
小林武史


◆温暖化の真偽の議論は、もういい!


小林 先ほど、僕は地球温暖化の真偽はひとまず置いておいて、もう少し突っ込んだ話をしようと言ったわけですが、新しい何かがあります?


江守 いや、新しい何かじゃないんですけど、もう一つだけ基本を確認したいんです。人類が毎日出している二酸化炭素は、一部は大気に溜まって、一部は海が吸ったり、森が吸ったりしてくれるわけですよね。今、大体半分自然が吸ってくれてて、半分大気に溜まっています。ということは温暖化を止めるためには、少なくとも今出している量を半分以下にしないといけないんです。人間が出したものを全部自然が吸ってくれないと、大気中の二酸化炭素は増え続けるわけですから、それを止めるためには少なくとも半分以下にしなくてはならない。


ap bank fes'09にて。ap bank fes'09にて。実際には自然が吸ってくれる量はこの後どんどん減って行くと考えられていますので、途上国も含めた世界中で今出している二酸化炭素を今より八割減とか九割減にしなければならない。これすぐにじゃないですよ。100年とか200年かけてですけれども、それだけ減らさないと温暖化は止まらない。こういう話が国際交渉での前提条件になっているんです。


小林 だから温暖化の理由を、地球の元々持っているシステムの問題とか色んな話にすり替えて論じたりもする。CO2を減らさなくても、地球の今のメカニズムとして出した分を吸収し切れていないのは本当なんですね。


江守 そうです、はい。


小林 これはもう間違いのないことです。だから温暖化の理由が色々な他の理由にあるかどうかは別として、僕たちはCO2を減らしていくべきだ。しかも優さんが言ったように、エネルギーの奪い合いから戦争が起こっていることを考えても、今すごい大きな転換期になのは本当だと僕は思う。だから、今、本当に僕らは行動を起こすべきだと思っています。


田中 あとね、僕なりの理屈で言うと、環境問題には一つだけ守らなくてはいけない原則があると思うんですよ。それは「NO REGRET POLICY」。REGRETは後悔するという意味なので、後悔しない政策ということです。なんでそれが重要かというと、たとえば、小児水俣病って有機水銀のせいであるかどうか、まだ完全に立証されてないんです。だったら工場から有機水銀を出してもいいんですか? そうしたら今頃熊本県民は半分くらいに減っていますよ。立証が出来ていなくても、明らかに怪しいものについては出させてはいけないんです。


ap bank fes'09にて。ap bank fes'09にて。だから今、地球温暖化を二酸化炭素が起こしているというのは95%くらいの確率ですよね。もう明らかに怪しいんだから、それは出してはいけない。今、出し続けてしまったら、後になって「ごめん、やっぱり二酸化炭素のせいだった」って言われても間に合わなくなっちゃうじゃないですか。だからやっぱりその真偽について僕たちが論議すること自体に意味がない。


小林 僕もそう思うんです。だから、はしょった方がいいかなと思ったの。何年も前から同じ話ばっかりでみんな何となく知ってるから、それよりも「温暖化が人間のせいで起こっていると肯定して、どうやって前に行くべきか」という話をした方がいいと思う。


江守 いや、みんな知っているのならいいんですけど。


高柳 そうですね。温暖化が進んでいるのを前提として、お話を進めさせていただきます。


小林 一つだけ言わせて。これからも温暖化が嘘だとか、いろいろな話は出て来ます。辟易とする部分はあるんだけど、1%もその人が言っていることが当たっていないというわけではないから。


江守 いや、僕はそれに反論する話を今しているんじゃないんです。みんな温暖化は本当だと知っていても、これから世界で九割減らさなきゃ温暖化は止まらないくらい深刻な問題だというのは、おそらくあまり知らないですよね。


高柳 そこまで深刻な問題だとは、もしかしたらみなさんも思ってなかったかもしれませんね。


江守 そういうところをまず共有したいなと思います。

◆日本のエネルギー自給率は4%


高柳 さきほど、油田が戦争の原因になっているとか、CO2をたくさん排出して温暖化の原因になっているというお話もありましたけれども、私たちがこれからの生活で少しずつガマンして、電力を自然エネルギーに変えていく方向へ向かっていくべきだと思うんですね。


ap bank fes'09にて。ap bank fes'09にて。田中 ただ、ガマンすると言っちゃうと、実態とずれますよね。実は家庭が出している二酸化炭素って全体の二割なんですよ。八割は事業者が出していて、さらに言うとわずか166個の工場だけで日本の半分の二酸化炭素を出している。確かにみんながやることは大事なんだけど、みんなで節約みたいなことだけにとどまっちゃうと、事業者がそのまんま出し続けちゃうから。


小林 みんなが省エネしてクーラーを消すことよりも、政治をふくめた制度の問題をちゃんとやらないと進まない。


田中 その時に我々はビジョンを持ちたいと思うんですよね。だから人々がまず持つべきものはビジョンじゃないかと思う。「俺たちは生き続けたいんだから、こういう社会にするべきなんだ。こういうビジョンが正しいんだ」と自分が思うことが必要だと思うんですよね。


枝廣 ビジョンということで言うと、スウェーデンは2020年には石油を一滴も使わない国になると宣言をしています。首相が委員長を務めている委員会を作って、脱石油宣言というのを2000年に出しているんですね。「そんなことできるの?」ってみんな思うけど、スウェーデンは、さっき優さんが言ってくれたように、あるべき姿を先に考えることをしているんです。


石油は温暖化に繋がるし、戦争にも繋がるし、石油に頼っていたらスウェーデンの安全保障が危ない。だからそうではない国にしよう、ということで脱石油宣言をしているんですね。実際に2020年にゼロにするのは難しいらしいですけれど、少なくとも石油から離れる方向に着々と進んでいる。


ap bank fes'09にて。ap bank fes'09にて。日本はエネルギー自給率が4%しかないわけですから、本当はもっと危ないですよね。みなさんのお子さんが大きくなった時代に、日本のエネルギーをどうやってまかなうのかを考えないといけない。エネルギーがないと経済も社会も動かないから、あるべき姿のために制度をどう変えていくかをやらないといけないですね。


(その4に続きます!)

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