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ap bank fes '09 特集

  • 【eco-reso talk 7】その4 食べ物は、私たちの体を作るものeco-reso talk
2009/8/29
【eco-reso talk 7】その1 農場と食卓を、きちんとつなぎたい

右から、ケンさん、小林、東野さん、澁谷さん、枝廣さん。右から、ケンさん、小林、東野さん、澁谷さん、枝廣さん。
ap bank fes'09、最後のeco-reso talkのテーマは、私たちに一番身近で関心が高い「食と農」。今回は世田谷区・駒沢に農産物直売所「Lonowa駒沢」を立ち上げられた澁谷剛さんを中心に、日本の農業と私たちの食卓の未来について熱く語ります。

司会:ケン・マスイ
ゲスト:澁谷 剛(株式会社ろのわ)
東野翠れん(写真家)
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)
小林武史


◆このままじゃ日本に食糧がなくなる?

ケン いろんなものを食べることもフェスの醍醐味だと思いますが、今回のeco-reso talkは「食と農」というテーマで、みんなの食事はどこから来て、どのようにみんなのところに届くのかを中心にお話ししようと思っております。まずはeco-reso talk皆勤賞の小林さんから、自己紹介代わりに3日間を振り返った感想をいただけますか。


小林 さすがに3日間全部聞いてくれた人っていうのは多くないと思うけれども、僕も今までここに全部いたことはなかったんです。今年は原点回帰と思って、僕自体が実感できる面をとにかく増やしていきたかった。だから、今年あえて、音楽もいろんな事柄もはずせるものははずして、自分で初めて出会えるようなことを増やしていこうと思ったんです。


とにかくみんなにうわべだけじゃなくて、伝わるものがあれば伝えていきたいなと思って全力でやってきました。もっと言えばこの1ヶ月間、僕も、櫻井くんもそうなんだけど、とりつかれたみたいにやってきたんだよね。小さな思いをつなげていくためにやっているので、そういうことを感じてくれたらいいと思います。


ケン フォトグラファーの東野翠れんさんです、よろしくお願いします。


東野 よろしくお願いします。東野翠れんです。


小林 『ap bank radio』って番組をずっと一緒にやってくれてるんだよね。


東野 GAKU-MCさんと一緒にラジオ番組をやらせていただいています。今朝も2時間半ぐらいの番組をやってきたんですけども、小林武史さんにも登場していただきました。よろしくお願いします。


ケン そして、株式会社ろのわの澁谷さんです。今年の5月に東京世田区の駒沢に農産物直売所の「Lonowa駒沢」を立ち上げられて、運営をされております。簡単に自己紹介をお願いできますか。


澁谷 今日はこんなステキな会場に呼んでいただきまして、ありがとうございます。自分のことを紹介させていただきますと、もともと農業とは関係のない仕事をずっとしていて、どちらかというとエコノミック・アニマルそのものでした。学校を卒業した後は、証券会社に勤めていたんですけども、いろんなバブルやらを経験するうちに「お金よりも大事なものがあるんじゃないか?」と疑問を持つようになりました。また、金融機関の立場から見ても、日本で応援しなきゃいけない産業はもっと他にあるんじゃないかなとも思ったんですね。金融機関にいる頃から農業に対して関心を持ち始めたんですけども、そのときは自らが農業をやるとは想像もしていませんでした。


その後、証券会社を辞めてIT企業へ移ったんですが、そのIT企業では中国への進出ということがテーマになっていました。そうして中国の発展を見ていたのですが、このまま中国が発展していくと、いよいよ日本に食糧がなくなるんじゃないかと思うようになったんですね。そんな思いから3年前にその会社も辞めて、農業に飛び込んだんです。ところが、日本の農業って厳しい中で、自分たちで売っていかなければいけない。地方で非常に販売に困っている農家さんたちを見てきて、それを支えたいという気持ちから、駒沢で農家さんから直接ものを預らせていただいて販売することを立ち上げて、今、Lonowa駒沢の運営に専念しているところです。


ケン ありがとうございます。環境ジャーナリストの枝廣淳子さんです。よろしくお願いします。


枝廣 私はおいしいものを食べるのが好きで、「本当の意味でおいしいものってなんだろう?」っていろいろ考えているうちに、やっぱり自分の体にも、それから作っている人にもいいものだろうと思うようになったんですね。もちろん、それが地球にもいいものだったらもっといい。
小林さんが「小さな思いをつなぐ」とおっしゃっているのを聞いて思い出した話があるのですが、私は10年くらい前から棚田のコシヒカリのオーナー制度に参加しています。自分では田植えと稲刈りぐらいしか田んぼの手入れができないので、あとは農家の方に面倒を見てもらっています。その棚田で作ったお米は送ってもらうのですが、すごくおいしいんです。ほかの人にもあげたくなっちゃうぐらい。


そこで、地域通貨ならぬ、「自家通貨」っていうのを田中優さんに教えてもらって試してみたんです。ハガキの表に自分のあて先を書いて、裏には「このハガキを送ってくれた人においしい棚田のお米を2キロ送ります」と書いておきます。私からハガキをもらった人が自分で使ってもいいし、お世話になった誰かにあげてもいいですと。要するにそのハガキがお金の役目をするんです。誰から誰へ渡ったかわかんないけど、最後に「よし、お米がほしい」と思った人がハガキを出してくれたら、私がそこにお米を送るというしくみです。そういうハガキをお世話になった方々に配ったんですよ。そんなことを思い出しながら、今日も楽しみに参加しています。

◆生産者と消費者が行き来するような売り場を作りたい

ケン まずはLonowa駒沢を立ち上げるにあたって、澁谷さんとの出会いや、どういう立ち上げだったのかをお話しいただけますか?

小林 きっかけは澁谷さんがap bankに融資の申し込みをされていたことです。実は澁谷さんのプロジェクトは融資を見送らせてもらったんですよ。何かまずい点があるというのではなくて、十分にできているという判断だったんです。

だから「もしかしてap bankとのつながりを広告的にだけ使おうとされているとしたら、どうなんだろうか?」という懸念があったんですね。ですので、融資をするかどうかも含めて、ちょっと意見を聞かせてほしいっていう話になりました。


今年5月、駒沢公園のほど近くにオープンしたLonowa駒沢。今年5月、駒沢公園のほど近くにオープンしたLonowa駒沢。それで、ap bankの担当が澁谷さんとやりとりをさせてもらってるときに、新しく野菜の直売所を、みんなに受け入れられやすい形でやるプランを練っているんだっていう話を聞いたんです。僕らとしてもインプットとアウトプットの両方が大事だと思っていて、インプットは生産者で、アウトプットが僕たち消費者なんですが、その両方が変わっていかないと日本の農業はよくならないと考えていたんです。もっと言えば、その循環をきちんと見たいとも思っていたんですね。それでもう一回詳しく話を聞かせてほしいというところから始まったんです。


ケン なるほど。誤解がないようにフォローしておきますけど、要は完成度が高すぎて、融資が必要ないんじゃないかと、最初は判断したんですね。


小林 完成度っていうか、財務的な問題ですね。財務の担当が澁谷さんの資料を見て「この人、どうして融資が必要なんですかね?」という疑問があったわけです。


ケン 金銭的にもしっかりされていたので、融資が必要ないんじゃないかという判断だったわけですね。みなさんにわかりやすく説明させていただきますと、澁谷さんはもともとkurkkuの食材も提供していたんですよね。


澁谷 そうですね、kurkkuさんに野菜だとか小麦を買っていただいていたんです。


ケン 東野さんはこのLonowa駒沢に行かれたことがありますよね?


東野 先日、お店にお伺いしました。ラジオの取材をさせてもらったんですけども、都心にこんな広々とした空間で野菜を売れる場所があるんだと思いました。それも国産のもので充実していて驚きました。


ケン ちょっと厳しい質問かもしれないですけど、写真家としてはやはりキレイなものを撮りたいという思いがあるでしょうか。ところが国産の無農薬の野菜は、傷が入っていたり、いびつな形をしているかもしれない。一方で農薬をたくさん使って、見た目をよくした野菜というのもある。そういうことに関して、何か思うところはありますか?


東野 野菜にかぎらず、植物を撮るのがテーマと思ってはいなくて、結果的にそうなっているのかな。でも、それはキレイとかキレイじゃないっていうよりは、その姿に単純に心を動かされるか動かされないかっていうだけの基準だなと最近は思います。


ケン なるほど。それでは澁谷さん、Lonowa駒沢について、ご説明をお願いできますか。


澁谷 先ほどもちょっと申し上げましたけども、われわれ自身も生産者の顔を持っていまして、熊本の農場で小麦を作ったり、夏場は大豆だったり雑穀、お米、野菜も生産しています。東京の近郊の農家さんだったら、東京の消費者だとかレストランにわりと簡単に販売できるんですけども、地方の農家にとってみると非常に難しい。自分自身も感じてることなんですけど、やっぱり仲間からも同じ声を聞くんですね。なので、ぜひとも直接農家の名前を出して、自分の作ったものをちゃんと評価してもらえるような売り場を東京で作りたいと思ったわけです。


またそれをきっかけにして、生産者と消費者がさらに情報をやりとりする。最後は本当に行き来するような、そんな直売所にしていきたいなと思って、駒沢に作りました。

(その2に続きます!)

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