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ap bank fes '09 特集

  • 【eco-reso talk 7】その4 食べ物は、私たちの体を作るものeco-reso talk
2009/8/10
【eco-reso talk 1】その5 新しい経済VS古い経済



ますます白熱してきた、eco-reso talk。今回は、記憶に新しい、コンビニのお弁当の話題からスタート。テリーさんの長い本音トークも必読です!


(司会)ケン・マスイ 
(ゲスト)テリー伊藤(演出家)、枝廣淳子(環境ジャーナリスト)、森 摂(雑誌『オルタナ』編集長)、小林武史



◆「コンビニの弁当」ニュースから今が見える


ケン 最近コンビニで廃棄弁当の中の食材だけをとりよせて定食屋に出しているところが流行っているんですよね。自分の話で申し訳ないんですけど、僕、学生の時にコンビニの店長やっていたんですが、弁当をバンバン捨てるんですよ。そうすると裏口でガサガサ音がして、ホームレスのおっちゃんが集まって来るんです。本当はいけないんですけど、みんなにあげるからその代わり仕事を手伝ってくれということにして、段ボールを運んでもらったりとか、そのおじさんたちに手伝ってもらっていたことがあって。コンビニの食材でもそうですけれど、使う人がいるんだったら回すっていう、もうちょっといいシステムは出来ないんですかね。


 それはね、みんながもっとセブンイレブンに文句を言うべきですよ。まあセブンイレブンだけじゃなくてコンビニ業界全体の問題だとは思うんですけれど、国民とか市民とか消費者が文句を言わないとなかなか企業は変わらない。今、ようやくそういうものが大事だということで、企業もちゃんとホームページなどで意見を受け付けはじめたじゃないですか。だからもっと声を出すべきだと思うんですね。


ケン でも、それってガス抜き的なシステムじゃないですか。本当にそれが本部まで行くんですかね、日本は。


枝廣 何社かの企業に関わっている経験から言うと、メールやホームページへの反応、手紙などは、ちゃんとした会社だったら必ず関係の部署に回して対応を指示します。「私一人言ったってどうせ聞いてもらえない」と思わないで、「おかしい」と思ったら「おかしい」と言ったらいいし、「これはえらいな」と思ったら「えらいね」って言ってあげればいい。


先日からニュースになっているコンビニの期限切れのお弁当の話ですが、セブンイレブンに対し公取委から排除命令が来ましたよね。コンビニの店長さんは捨てるのはもったいないし、値引きしてでも売りたいですよね。それを本部が「いけない」と言うのがおかしいということ、になった。


あれを見ていて思ったのは、これまでみんなは環境か経済かを見ていた。環境をやるなら経済がマイナスになる、経済をやると環境がマイナスになる。環境と経済の争いであるかのように見ていたけど、たぶんこれから問題になってくるのは「新しい経済と古い経済の争い」なんだと思うんですよ。コンビニのこれまでのやり方は古い経済の論理です。お弁当の廃棄という無駄を出させることで、ある利益を確定しようという本部のやり方ですよね。


ケン 弁当は全部、店が買い取るわけですからね。


枝廣 それはおかしいということになって、お店にとっても負担でなく、そしてもったいなくもない、そういったやり方を選びなさいと言われたわけですよね。今の環境と経済は、よく対立化されているけれど、古い経済と新しい経済の対立なんだろうなと思うんです。新しい経済を先んじておこなっている企業はたくさんあって、そういうところを、いまだに古い、CO2を出しているようなところが押さえつけて前のやり方をやらせようとしている。その争いだなと思うんですね。


 そのとおりです。そして、新しいやり方を推進するのはみなさんであり、僕たちであると思うんです。繰り返しになりますが、もっと声をあげたほうがいい。そうするとね、企業は変わりますよ。企業もだいぶ消費者の声に耳を傾けるという意味においてはかなり進んで来たと思うんですね。僕たちがもっと声を出すべきだと思います。


テリー 俺、ちょっとよく分からないんですけれど、今のはすごく理想的だと思うんですよ。でも、現実問題として、そうは出来ないとこがいっぱいあるわけでしょ。そうなると、まあ今言われた古い経済かもしれませんが、そこで得た利益を、それこそ環境の方に回してもらうという手段はダメなんですか? 古い経済とかって分けちゃうと、あまりにも理想的な話になってしまう。


小林 枝廣さんが言っている、「新しい」という言葉の意味は「無駄が抑えられた」ってことですよね、たぶんね。


テリー 出来るんですか、そんなの。場合によっては「古い」やり方しか出来ないところはないんですか?


小林 一つだけいいですか。ここにいる人たちはたぶん音楽好きなので、たとえばね、僕がサザンの桑田さんとやってた時や、昔のミスチルとのコミュニケーションでも、実際は意外と、そんなに破天荒なことやってるわけじゃない。
エネルギーがどこに行ってるかというと、知ってると思うけど、櫻井くんだったらサッカーやったり、スポーツにガンガン行ったりとか。
明日からライブをやりますけれども、演奏はステージはもちろん、リハーサルでもものすごい集中力がいるんだよね。昔よりも、もっと圧倒的な集中力を持ってやれるようなミュージシャンが生まれて来てるのも事実なんですよ。ミスチルだけじゃなくて、Bank Bandの人たちもすごいし。


最近、草食系男子といった言葉が流行っているけれど、男のエネルギーのバッとわき上がるものや遊びはなくなるものではなくて、コントロールしてやれば生きていける場所っていっぱいあると思う。


古い経済と新しい経済って言った時に、弁当の残りを捨ててばかりいたら負担をどんどんどんどん経営者が被らなくちゃいけないわけだから、安全性やいろんなことを含めて、ちゃんとしたやり方を見つけて行くようになるのではないか、という気もするんだよね。



◆結局、日本はどうなりたいのか?


枝廣 その時に、さっきもテリーさんがおっしゃった私たちの新しい考え方というのも必要で、たとえばコンビニのお弁当を買いに行ったり、缶詰でも何でもいいんですけど、買いに行った時にどうせすぐ食べるんだったら古い日付のものから買うというふうにみんながすれば、それも一つの解決なんですよね。みんなすぐ食べるのでも一番新しいものを買うことが多いでよね。そういう一つの考え方や行動を変えて行くのも大事ではあります。


でも、最初に話したこととも繋がるんですけど、環境に悪い、出しているCO2や無駄なゴミの分をちゃんとお金に反映する仕組みになれば、その値段は高くなりますよね。今、その部分が全然計算に入っていないから、安いものはどんどん環境に悪い、でも、みんな安いから買っちゃう。スウェーデンの例で一番学ぶべきことは、税金の仕組みを作ることで環境に悪いCO2を出している人はたくさん払いなさいと。そしたら、税金を払いたくないから、みんな自然エネルギーに変わるわけですよね。


私たちの心を改心するとか洗脳するというよりも、値札を変えれば一番人の行動って変わる。どうしても無駄を出すのであればその処理とか地球にかけている負担を全部上乗せして、その分払いなさいということにすれば、出来るだけ無駄がないような仕組みになると思います。


 さっきのテリーさんの質問に「本当に出来るんですか」という質問がありましたよね。「新しい経済に出来るんですか」という質問でしたが、出来るか出来ないか分からないです。でも、出来ると思った方が楽しい。明日は今日の延長線上なのか、それともまた違った明日が来るのか。よりいい明日が来ると思ってた方が、人も楽しいし、会社も楽しいし、自分も楽しいんじゃないかと。


テリー そうですね。ここの席でこういうことを言っていて申し訳ないですけれど。僕は、分からないんですよ。何が分からないかと言うと、日本は戦争が終わって、アメリカの属国みたいな形でビジネスが伸びて来て、経済大国になった。で、伸びて来たけれども、その方程式が崩れて来てますよね。今、日本の貿易、どこと一番やっているかというと、中国ですよ。車の生産台数もアメリカを抜いて中国がナンバーワンなんです。中国の顔色を見て生きていくわけですよね。


日本人は欧米人の人に対してはイエスマンになるところはあるかもしれないけれども、中国と韓国にはどうかなと思うんです。オリンピックを見ても感じたんですけれども、ものすごくやっぱりライバル意識を持っていますよね。中国の下でアメリカにしたみたいに属国みたいな形で、ねえ、もみ手でビジネスしてることに対して、よしとしてこれから生きていけるのかなという気持ちもある。


でも、たとえばあのオリンピックで韓国に金メダルの数で負けた時に、「いやー、ガツガツ人生を生きてもしょうがないよな」ってある時日本人は思って、スッと引きましたよね。そして「やっぱりスポーツはもっと楽しまなくちゃ」って、自分の中で正義を切り替えていったわけじゃないですか。本当は屈辱だったと思うのに。だとすると経済も、同じように正義を切り替えられるのかもしれない。


今年秋にモーターショーをやるけれども、東京モーターショーにはどこも来ませんよ。ベンツもフェラーリもポルシェもランボルギーニも、もう全部来ない。メーカーなんかもう、日本なんか商売にしてないんですよ。ハイブリッドの車ばっかり乗ってる日本なんか、そんなものビジネスになんねえって、来やしないですよ。もうこれからは欧米なんかもみ手で中国に向かってますよ。


その時に日本がじゃあ「もう日本はあれだな、北欧みたいに生きていくんだ」って。小さく幸せになって、みんなで手を携えて、素敵な音楽を聞いて、もう勃起しないで、ねえ、生きていくんだっていうような人生でこれまたいいのかと。やはり勃起して、養老院に行って隣の婆さんをやっちゃうみたいな、そういう奴が出てこないとつまらない。何か、そのほわんとしたところで日本生きていくのか。それこそサミットに行ったって横っちょの方でシュンとしてるわけでしょ。それに甘んじられるのかと思うんですね。


何かもう一発、じゃあ分かった、草食系男子も出て来た、パワーがあるお姉ちゃんはいる、じゃあお姉ちゃんを全面に押し立てたビジネスをやっていくとかね。これから三十年くらいは男子を全面にしたビジネスは難しいと思ってるんですよ。そうすると、どんどん女性を前にして、私は後ろに回って、髪結いの亭主になって生きていこうと思ってるんですけれども、そういうへんてこりんな時代が何かになっていくんじゃないか。だから、これからどうなっていくのかと思うと、面白いんですよね。


TVのコマーシャルで「理想的なファミリー」みたいなのがいますよ。さわやかにワインなんか飲んでいるような。でも、セックスしてないんだろうなって感じる。そういうセックスレスな雰囲気の家族にばかり日本がなっていていいのかよ、みたいなことは思います。
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