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ap bank fes '09 特集

  • 【eco-reso talk 7】その4 食べ物は、私たちの体を作るものeco-reso talk
2009/8/11
【eco-reso talk 1】その6 どう生きたいかは、自分で考えろ!



トークのテーマは、環境問題から発展して、今の厳しい社会情勢の中で「どんな風に生きていくか」。環境問題は、それほど大切なものだということ。最終回、その答えのヒントがありました。


(司会)ケン・マスイ 
(ゲスト)テリー伊藤(演出家)、枝廣淳子(環境ジャーナリスト)、森 摂(雑誌『オルタナ』編集長)、小林武史



◆結局は自分。人のせいじゃない


ケン テリーさんはそのど真ん中にいらっしゃる立場として先ほどから農業を格好よくしないといけないとか、エコをコンパネタで披露して自分に見返りがある方がいいなどとおっしゃっていましたよね。たとえばap bank fesは8万7500人が前夜祭も入れた4日間で集まって、音楽を通じて小林さん、櫻井さん、Bank Bandのメンバーが発してることを受け止めてくれているという実感が僕はあるんです。TVというマスメディアの中心にいるテリーさんが今後どのようなことをすると視聴率もとりながら、彼らがエコって格好いいんだってなるんでしょう。


テリー それはね、「自分で考えろ」って言いたいですよね。


小林 本当にそうですよね。本当にそう思う。


ケン でも、世代としては、TVを真面目に受け止めちゃうわけですよね。


テリー TVってさ、メディアじゃない。人が喋ったことをこう字幕で出て来て、「お前たち、字幕じゃないと理解できねえだろ」っていうノリで見せているわけです。


ケン どんどん丁寧になっていますよね、TVは。


テリー はなからね、ナメてるんですよ。TVにももちろんいい部分もあるかもしれないけれど、最終的には自分ですよ。TVのせいではない。だから今回のこの三日間のコンサートもそうだと思うんですけど、最終的にはいいこともあるかもしれないし、悪いこともあるかも分からないけれども、自分の中でいいことだけを吸収して行って、それを自分で感じ取って行くんです。人のせいじゃないんですよ。


ケン そうです。でも、丁寧になりすぎていて、全部受け身じゃないですか。特に若い層は。字幕が出て来て次はこうですよ、さっきのシーンもう一度リプレイして「こうですよ」って。


テリー 通り魔が「世間が俺に冷たかった」って言ったりするけど、世間って基本的に冷たいじゃないですか。だからその冷たい世間をえへらえへらして生きていけないとつまんないでしょ。


どんなに大変なことがあっても、えへらえへらして面白いと思わないと。そういうこっち側でタフなパワーを持っていないと生きていけない気がするんですね。


 自分で考えることは非常に大事ですね。特に環境の問題について言うと、答えがないものが多い。で、答えがないものについては、なかなか○か×か言えないわけですよ。だからこそ面白い。枝廣さんは環境ジャーナリストでしょ、僕もまあ今、環境を中心にしてやっているジャーナリストです。ジャーナリストの世界で環境ほど面白い分野はないです。


なぜかと言うとね、政治とか経済のジャーナリストというのは、自民党が負けたとかね、ソニーが減益になったとか、現状を伝えればいいんです。でもね、環境の世界って実はね、答えがない。これほど面白いジャンルはないなと思っています。


ケン 考えろ考えろとみなさんはおっしゃるんですけれど、若い世代は自分で考える力が失われつつある世代じゃないかなと僕は思っていて、TVの見せ方といったことから僕は考えているんです。


枝廣 そうですね、去年ここにお邪魔した時に最後に言ったことと同じですけれども、自分は最近そういえばものを考えていないなとか、人が言うことを鵜呑みにしているなとか、何か危険な兆候をもし感じたら、TVを消せばいいんですよ。


テリーさんがいるのに悪いかもしれないけれども、TVを見なければいい。本当に見たいものは見ればいいんだけど、ずっとついていることが普通なのはおかしい。うちのTVはほとんど置物化されていて、全然、TVは見ないんです。


テリー あの、朝の「スッキリ!!」は見てください。


会場(笑)拍手


枝廣 (笑)そう、これはというのを選んで。




◆日本の若者だって捨てたもんじゃない!


枝廣 ひとつだけさっきのテリーさんの話で、日本がほんわかしながらみんないい人になって、勢いをなくして、それでいいのかとお話をされてました。それが北欧の国のようにという言い方をされていましたけど、北欧の方が日本より出生率は高いんですね。


テリー そうですか。日本ダメですね。どうしましょう? 生活が豊かすぎるんですか? 生活が豊かすぎるから不安という気持ちもあるんですけど、もう一方で言うと、今の自分の環境を崩したくないから子どもを産まないというのもないんですか?


枝廣 あの、私の周りの話を聞いていると、今の社会に子どもを産むのはかわいそうだから生みたくないって。


テリー それって社会のせいにしてますけど、自分に対するエクスキューズじゃないんですか。だって、昔の方がもっと環境は厳しかったじゃないですか。でも、それって人を愛することとか、子どもを育てるとかっていうような喜びの方が本来パワーとしてはあるわけじゃないですか。それを環境が悪いせいにするのも何かね、パワー不足だと思うんです。


枝廣 そうですね、さっきテリーさんが若者主義で50歳以上の人が生きにくいってお話をされてましたよね。なぜそんなに若者主義かという大きな理由は、人であっても、何であっても、全て効率で測る。効率が良いか悪いか、短時間でたくさん作れるか作れないか、そしたらやっぱり若い人の方が吸収も早いし、仕事が速いから、若い人たちの方がいいやってことになりますよね。そういう中で、たとえば若い時は若い時に、そして歳を取ったら歳を取ったなりの自分の良さが、社会で受け入れられない。


このあいだストックホルムに行った時に見たんですが、デパートにマネキンが二体、飾ってあるんですね。一体は日本のマネキンと同じように美しくて若い、スリムな女性のマネキン。その隣に若くもなく、細くもない女性のマネキンが同じ洋服を着ているんですよ。「面白いですね」ってスウェーデンの人に言ったら、これがジェンダーなんだと。女性というのは若くてスリムだってみんなが思い込んでいる、それがどんなにみんなを生きにくくしているか。だから若くもないし、痩せてもいない女性ももちろんいるんだということを示すために、マネキンがデパートに二つずつ並んでいる。若いとかスリムとか美しいじゃないかもしれないけれど、それがそれぞれ大事というのをみんなで大事に出来る、それが普通になってくるともっと生きやすくなって来る。


小林 いよいよ時間がなくなってきたあたりで、場外乱闘のテリーさんが反則引き分けみたいな感じに持ち込もうとしている感じが、すごくテリーさんらしいなと思ったんですけれども。僕はね、今日も話していて、日本は日本の道筋があって今日(こんにち)へ来てると思うんですよ。昔はもっと曖昧な要素があったから、鼻息荒くもなれたと思うし、今はそういう問題がずいぶん埋まってしまっているから、可能性があるようには見えなくなっているということで。でも、それはある過渡期のような気もするし、ずいぶん世の中はよくもなっているなという気もすごくする。


今、僕らは何をコンセプトに生きていったらいいのか、見失いがちなんだけれども、だんだん良いことは見えて来ると思うし、第五感なのか六感なのか分からないですけれども、そういうところで響きあって方向性を何となく見極めるというか、こっちなんだなという感じの方向というのは出ているような気がするんです。


そのためにベンツやBMWが売れなくなっている現象が今あるのは、それはそれでいいような気がする。東京だとすっごいオシャレな自転車お兄ちゃんとか、お姉ちゃんがどんどん増えているし。日本という、六十年前に原爆を落とされて、アートでも音楽でもいろんなところで、世界に対して面白い、発信力があるものも出ているので、決して捨てたものじゃないなという感じがしてるんですね。


 『オルタナ』という雑誌を二年やっていて思うのは、今の日本の若い奴って決して捨てたものじゃないですよ。そんなに比率として多いわけじゃないですけど、月に何人かは「オルタナで働きたい、インターンやりたい」って言う奴が来るわけですよ。そういう奴らの話を聞いているとすごく意識が高いということが分かります。たとえばですね、社会起業家という言葉が最近出ているけど、これ、十年二十年前にはなかった言葉ですよ。


僕ら、おじさんたちが気付かなかったことを今の若い連中は気付いていたりするわけだよね。僕はあんまり日本の未来について楽観的ではないんだけど、光明があるとすればそのあたりじゃないかなと思います。


ケン 話は尽きないんですけれども、予定の時間をちょっとオーバーしてしまいました。本当に前夜祭ということで、たくさんの方におつきあい頂いてありがとうございました。


小林 本当に長い時間ありがとうございました。テリーさん、枝廣さん、森さん、本当にありがとうございました。
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