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ap bank fes '09 特集

  • 【eco-reso talk 7】その4 食べ物は、私たちの体を作るものeco-reso talk
2009/8/ 6
【eco-reso talk 1】その1 本音でエコについて語ろう!



毎年大好評のap bank fesのトークライブ、eco-reso talk。1回目のテーマはちょっと大きく「環境問題全般」です!

司会:ケン・マスイ 
ゲスト:テリー伊藤(演出家)、枝廣淳子(環境ジャーナリスト)、
森 摂(雑誌『オルタナ』編集長)、小林武史


ケン 本当にたくさんの方にお集まり頂き、ありがとうございます。前夜祭一発目のトークイベントということで、「eco-reso talk キックオフミーティング」と題して、私、ケン・マスイがMCを担当させて頂きます。


それではお一人ずつ自己紹介をかねて、お話をうかがいます。まずは初参加の枝廣さんは通訳や本の執筆、企業のコンサルタントからエコジャーナリストと多彩なご活躍をなさっていますが、ap bank fesをご覧になった感想はいかがですか?


枝廣 去年、一昨年もお邪魔しているのですが、すごく素敵なイベントだなと思っています。集まってこられる方の意識、気持ち、心がすごく感じられますし、フェスそのものが毎年進化していますよね。進化を感じられるイベントってそんなにないので、ここに来ることが自分の次に繋がる、いつもそんな気持ちがします。

ケン 昨今オバマさんが就任してから、グリーンニューディール政策がはじまったり、世界的なエコブームがありますよね。とはいえ、今の世間が捉えているエコと、本来やるべきことの距離感はどんどん出て来ていると僕は思うんですけれども、どうお考えですか?

枝廣 日本の場合、個人が意識を高め、行動を変えねばならないということを「エコ」と言いますよね。でも、アメリカも、ヨーロッパも、個人の意識や行動も大事だけど、「そもそも国をどうしたいの?」「自分たちの国を変えるために、国としてどういう政策を打つの?」といったことをしっかり考えてやっている、それが向こうで言うグリーンだったりエコだったりするんです。


日本の場合は政府がそのような大きなビジョン、日本をこういう国にしたい、そのためにどうするというのをなかなか出さないで、「みんなちゃんとやるんだよ」と言って、国民に押し付けているところがかなりあると思います。


ケン 政府がガツンと言っていない、と。


枝廣 たとえば、今おっしゃったアメリカのグリーンニューディールですけれども、特にアメリカはその自然エネルギーの中でも風力に力を入れています。なぜかという理由をあちらのNGOの人に訊いたら、風力は太陽光などに比べると雇用できる人の数が多いから、と。だから単にCO2とか温暖化対策だけではなく、雇用や経済をどうするといったことを含めて考えているのでしょう。


ケン 雑誌『オルタナ』編集長の森さんは、企業のCSRが大切という視点でいろいろな取材をされていますが、今のお話にあった、国が方向を示さずに企業に任せているということについてはどんなことを感じますか。


 お話しする前に、まず会場を見渡すと本当に若い人が多くて、こういうeco-reso talkに興味を持って来て頂けるのはすごいことだと思いますね。本当は霞ヶ関とか、永田町、大手町の人たちにもっと来て欲しいんですけれど、むしろ、皆さんの方が意識が高いと思います。


日本では、政治家や行政の意識がまだまだ足りない。その中で言うと、もちろん頑張っている企業はたくさんあります。ただし、環境はお金がかかるとか、景気が悪いので環境対策にそこまでお金を使っていられないとか、そういった意見がまだ大半なんですね。その中でも頑張っている企業を『オルタナ』としても、応援するように行動して行きたいと思っています。

◆さんざん旨いもの食って、好きな車乗って、罪滅ぼしに「エコ」

ケン テリーさんは、今のエコブーム再燃みたいな状況をどう受けとめていますか?


テリー 今日来ている皆さんも、明日からの三日間のライブを楽しみにしているわけですよね。で、今日、前夜祭でエコの話を聞くのはどうかな?と、ちょっとつまらないかもしれないけれど、まあ、とりあえず暇だから行ってみようかというくらいのノリで来ている人も多いと思うんですよ。


 (笑)せっかく僕がお客さんを褒めたのに。


テリー でも、そんなものだと思うんですよ。僕らくらいの大人っていうのは、さんざん旨いもの食って、女遊びして、好きな車乗って。で、罪滅ぼしみたいな形で、ある時から「エコだな」って言い出す。だからそういう大人を見て来ている若い人は「おい、ちょっと待てよ」と思って、当然じゃないかな。「俺だっていい車に乗りたいし、旨いもの食って、しばらくしてからエコって言いたいよ」と。そういうふうに世代によって、エコに対する温度差はものすごくあると思うんですよね。かといって、みんなで旨いもの食って、好きに電気を使って、CO2出して、と言うのも、また変じゃないですか。


ケン はい。


テリー 若い人にどうやってエコを感じてもらえるかというと、エコの知識を持ってると異性にモテるとかね。エコ的な行動をとってると「あの人は素敵な人です」と言ってもらえるとかさ。やっぱり自分に何かメリットがないと、なかなかしないような気がするの。


ケン そうですね(笑)。テリーさんの本でも、本当に「気温が一度上がったら魚が何匹死ぬか知ってるか?」とか、そういった分かりやすいトピックがたくさんありましたよね。


テリー うん、だから今日みなさんにお願いしたいのは、ここで話していることを自分の言葉としてパクりましてですね、いろんなところで使うこと。それで「ああ、いい人だな」と思われたり、会社の面接試験で「あ、採用」とか、合コンでモテるとか。そういう意味合いでメリットとして考えてもらうといいんじゃないかなと思います。


ケン 『ちょいエコでちょいモテ』っていう本が、まさに今のスピリットを象徴してると思うんですが。


テリー そうですね、今ね、怪しい企業もいっぱいあるんですよ。大体テレビのコマーシャルを見ていても、怪しい企業に限ってエコって言い出してる。そこを読み取りながら、「ああ、人生ってそんなもんだよな」って、そういうことも感じながら生きていくと面白いなっていうことですよね。




◆私たちが着るTシャツと、綿を作っているインドの農民

ケン 今、テリーさん世代を我々が見ると、「みなさん、散々やったじゃないですか」という、不満は絶対あると思うんですね。


テリー ありますよね。


小林 もちろん、そういう不満はあると思います。よく僕は音楽を作る時に言うんですけど、右に行こうと思うんだったら、左にふってから右に行かなくちゃいけない。たとえば今回のフェスのTシャツでプレオーガニックコットンを使ってるんですが、そのPOCを作っているインドの人と繋がりたいと思うんだったら、「僕らにとって見返りが何なのか」とか、「どういうふうにして僕たちがそこに辿り着いていく手順があるのか」みたいなことを、本当に考えて行かないと。「いいことだからやりましょう」なんていうことだけでは、絶対についていきっこないんです。


だからテリーさんが言ってる「ちょいモテ」だとか、それも全部含めて僕はインセンティブだと思うので、これからはそういう意味で本当に本音の部分を出して行かないと、と思います。


たとえば貧困という問題があります。アフリカで貧しくって教育の問題にもいろいろ影響が出て、子どもがどんどん生まれて人口が膨れ上がっていって、それは現実に僕たちの食糧問題や水問題にはねかえってくるわけだよね。今世界で起こってる人口問題はいずれ僕らに必ず返ってくるし、そういう現実を前にして、僕たちが何をやるかだと思うんですよ。「いいことをやろう」じゃなくて、本音でどういうふうにしていくかだと、僕は思っているんですよね。


 今いいことをおっしゃったと思います。要するに環境だけじゃないんですよ。アフリカ・アジアの貧困問題、それから教育の問題、全部が繋がっているわけです。たとえば温暖化の問題がありますが、温暖化の問題だけやっていればいいのかというと、決してそんなことはない。


でも、僕が見る限りでは、そういうことに興味を持った人たちは、ちゃんと人権問題とか、フェアトレードの問題まで意識が行くんですね。そうなってくると、エコという言葉だけではくくれないと思います。最近アメリカでも「グリーン」という言葉がかなり使われはじめていて、グリーンというのは、エコだけじゃなくて、ソーシャルであるとか、エシカル(倫理的)である、そういった価値観も含んでいるわけですね。


枝廣 「いいことをやろう」とか、「テリーさんたちの世代はやっていたのに私たちはそれをガマンしなければいけない」というのは、前の世代からの考え方やものの見方そのままで言っていると思います。前の世代と今の世代で何が一番違うかというと、前の人たちには見えていなかった、いろいろな繋がりが見えるようになったこと。


つまり、前は格好よくしたかったら洋服を買えばよかったけど、今は綿の作り方にも何種類もあるということを知っているほうが格好いいと思う。普通に安い綿を作っているところでは、たくさん化学肥料を使ったり、農薬を使ったり、枯葉剤を撒いて葉っぱを落としてから刈り入れをしている。農家の人たちの健康を害したり、地球に負荷をかけて綿を作っている。そういう綿の作り方もあるし、時間もお金もかかっちゃうけど、オーガニックコットンというのもある。


今は、森さんがやってらっしゃるような活動のおかげで、自分が着ているもののいろんな繋がりがクリアに見えるようになっていますよね。私たちにとっては、「ねばならない」というよりも、その繋がりを知ったうえで本当に気持ちのいいことって何だろう、ということを考える時代だと思います。たとえば、オーガニックコットンとそうじゃないコットンの作り方を知ったとしたら、やっぱりオーガニックコットンのものを着たいと思うんじゃないでしょうか。


ほかにもチョコレートはカカオマスというカカオの実から作りますが、児童労働をたくさん使っているところがあります。朝から晩までカカオの実を収穫している子どもたちに「チョコレートって知ってますか?」と訊くと、チョコレートを知らない。チョコレートを知らない子どもたちが朝から晩まで穫っている、そのカカオで作ったチョコレートを私たちがおいしいって食べられるのか。その繋がりを知ったら、「オーガニックの、フェアトレードのチョコレートを食べたいと思うと、私は思います。なので、そういった繋がりが見える時代になった時の気持ちよさとか幸せというのは、繋がりが見えていなかったときとは違うと思うんですね。


(その2につづきます!)

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