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2009/9/ 1
【eco-reso talk 7】その4 食べ物は、私たちの体を作るもの

eco-reso talkレポートもついに最終回。私たちが日常的に繰り返している「食べ物を買う」という行為は、その食材が手元に届くまでに関わる人たちやシステムを支えることにつながっているのです。


司会:ケン・マスイ
ゲスト:澁谷 剛(株式会社ろのわ)
東野翠れん(写真家)
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)
小林武史


◆本当に有機野菜はお財布にエコじゃないの?


ケン これは最後の質問になりますけども、「環境にも健康にもよい有機野菜ですが、財布には全くエコじゃないです」という質問です。これはよく今の経済状況の中でも言われていますよね。「なんとかなりませんか?」っていう、ざっくりしすぎた質問なんですけども(笑)、東野さんはどうお考えですか? もちろん経済と身体にいいものの戦いが日々あると思うんですけども。


Lonowa駒沢の野菜売り場。国産の新鮮な食材が揃っています。Lonowa駒沢の野菜売り場。国産の新鮮な食材が揃っています。東野 スーパーマーケットでも最近は有機野菜のエリアが増えてきてると思います。有機野菜ってほかの野菜と比べると「ちょっと高いな」と感じるんですけど、売り場を一周してまた戻ってきちゃうんですよね。そして、有機野菜のほうを買いたいなっていう気持ちになる。もちろん「これは高すぎるな」とか、それぞれの基準はあると思うんですけど、「気持ちよく買える」っていう意味で有機野菜を選んでしまいます。


ケン 靴を買うときに「ずっと履くんだから高いの買え」とか言うじゃないですか。野菜を食べるときは、それこそずーっと自分の体に入るから、高いのをなんで買わないんだろう? と、僕はいつも思ってて。鞄もそうだし、楽器もそうですよね。安い楽器を買うと、すぐ飽きちゃって捨てちゃう。でもいい楽器を使うと、それを愛さないといけない気持ちが湧いてくることもあると思います。


枝廣 今、ケンさんがおっしゃったとおりだと思うんです。そこで支払うお金のことだけを考えると、20円高いとか高くないって話になっちゃいますよね。でも、そこでもうちょっと長期的に考えて、これは数字としてはわかりませんが、たとえばお医者さんにかかって払わなきゃいけないお金とか、寿命とかのことを考えるとどちらが安いか分からない。


うちも有機野菜を買うことが多いんですけど、キレイに洗えば皮まで食べられるんですよね。だからニンジンの皮のキンピラとかも作れる。農薬を使って作ったニンジンだったら、皮は全部捨てるじゃないですか。ちょっと高かったとしても、皮まで食べられると思うと、実はそんなに値段の差はないかもしれない。


それでも高いというんなら、多少食べる量を減らしてもいいのではないかと思うんですよ。今と同じ量を食べようと思うと、値段が高くなるけど、量をちょっと減らしたら値段が同じになるかもしれない。


小林 枝廣さんは知恵の宝庫ですからね。皮まで食べると言うけれど、皮まで食べるくらいきちんと料理できるといいですよね。そんなに凝ったものじゃなくても、手間を惜しまないとか、愛情をかけてやると、おいしくなることもあると思うし。みんながそういうことを選べるようになったら、それだけでもずいぶん変わってくるかもしれない。


◆これからもみんなをつなぐ広場を


ケン 前夜祭入れて4日間、このeco-reso talkを行ってきましたが、時間がきてしまいました。最後にゲストのみなさんから一言ずついただいて、この場を解散ということにしたいと思います。では、初日から登場いただいた枝廣さん、みなさんに最後の思いを伝えてください。


ap bank fes'09、kurkku kitchenの看板。食良くんのマークが下にたくさん並んでいます。ap bank fes'09、kurkku kitchenの看板。食良くんのマークが下にたくさん並んでいます。枝廣 今回のフェスではさまざまな食べ物が出ていますけど、それぞれにいろいろな印がついてるんですよ。その印を見ると、これは旬の野菜だとか、どんな思いで作ってここに来ているのかが見えるようになっているんです。ぜひ食べ物のブースに並んだときに、そんなところも見てください。単に食べるだけじゃなくて、「この食べ物はどこから来たんだろう?」「その先はどうなってるんだろう?」と、ちょっと来し方行く末に思いを馳せる、そんな時間を持ちながら食べていただけたらいいなと思います。


ケン そして、「人をつなげる食材」をコンセプトにしていらっしゃいます、澁谷さん、一言お願いします。


澁谷 農業の中の問題もたくさんあるんですけども、やっぱり日本の農業が一番苦しんだ最大の理由は、1ドル360円の為替が今や100円ということで、輸入品が3分の1以下になったんですね。農業ってご存知のとおり、いきなり生産量を3倍にしたり、コストを3分の1にしたりできない産業なので、今は消費者に支えてもらえないと続けられないんです。ただ、少しでも農業分野としても、消費者に満足や安心といったものを返せるようにがんばっていきたいなと思っております。


今は国のレベルでも新規就農者を増やそうなどとやってますが、教えるのは生産技術だけなんです。でも、作った野菜が売れないと生活できないんですね。ぜひぜひ購入ということで、みなさんに支えていただければなと思います。


ケン ありがとうございました。そして、東野翠れんさん、ご感想を。


東野 このトーク中に思い浮かんだことがありました。何年も前にアメリカに遊びに行ったときのことです。母と友人が車の前の席に座ってたんですね。女同士の会話みたいな感じで私はボーッと聞いてたんですけど、母が「30歳をすぎて、自分がほんとに食べたいものや、どう生きたいかっていうことを、ようやくわかってきた気がする」って言ったときに「人生ってあっという間だな」って感覚的に思ったんですね。私は今25歳なんですけど、30歳になる前には食べたいものはしっかりわかっておきたいですね。


先ほど小林さんがおっしゃっていた「ある日、お金があっても買えないときが来るかもしれない」っていうのとちょっと似ている言葉で「ある日、野菜や果物が溢れていても、それは農薬でいっぱいで、食べることができないかもしれない」っていうことを最近聞いたんですね。だから、なにかを買うこと、選ぶことには、それそのものを支えるっていう気持ちも含まれてくるんだろうな、と思いました。


ケン 25歳ってことは、小林さん、ちょうど倍ですね(笑)。


小林 知らなかった。僕より大人だなって思うところも多々あります。


ケン 最後にこのトークセッション、そしてこの3日間を含めて感想をお願いします。


小林 このフェスは今年で5年目なんですけど、僕も櫻井もいろんな意味で迷ったりもした5年間だったような気もするんですね。ap bankを始めてからだともっと長い月日が経ってますけども、今年は5年目で、原点回帰ということも含めて、なんか抜けたかもみたいな感じがあるんです。またやっていけるんだろうなという感じが、そういう充実した感じはすごくしてます。


ウェブサイトになるんですけど、eco-reso webという、フェスが終わってもみんなをつないでいけるような広場を作っているところです。


僕は音楽の夏フェスだけじゃなくて、それこそ季節によって、秋フェスや冬フェスのようなものができないかなと考えています。そして、生活者として、個人として、その広場がみんなをつないでいくものになればいいなと思っているので、期待してください。

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