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「沿志奏逢 3」Release Special 小林武史Interview(後編)

data : 2010.06.29category : 「沿志奏逢 3」リリース記念 Special FEATURE
若手アーティストとのレゾナンスという新たなテーマが加わったBank BandのNew Album「沿志奏逢 3」。3作目にしてBank Bandのさらなる繋がり、そして新たな方向性について、レコーディングのエピソードを交えつつ、小林武史が語ります。
※明日からは櫻井和寿インタビューを掲載します!



"初期衝動"みたいなものに向かっている
―― 
若いア−ティストの曲で、小林さん自身「これはチャレンジだったな」みたいな作品は?
小林 
「有心論」はさすがにやってて一番ハラハラしましたね(笑)。さっきも言った「Reborn」や「若者のすべて」だったら、櫻井のボ−カルとBank Bandの演奏で引きつけてやれば跳ね返るものも分かったけど、さすがにラッド(RADWIMPS)まで行くと、スピ−ド感と、あとエディット感が物凄く早いんです。要するに、へたにオッサンがやるとボロが出やすいという(笑)。だから最初はどうなんだろうとも思ったけど、仕上がりには満足してますよ。そして最後の最後、11曲目に僕らのオリジナルの「奏逢〜Bank Bandのテーマ〜」が入っていて、これをやることで胸にBank Bandの名札つける、みたいな感じですよね。
―― 
"沿志奏逢"も三作目ですけど、それぞれの意味合い、そしてBank Bandの一員としての小林さんの意識も変化してきたんじゃないですか?
小林 
最初、このバンドはセッション主体のものだったんですよ。いわゆる"同録"というヤツで、あとから細かいところを直すとかじゃなく、せ−のでやったからこその雰囲気を大事にしていた。もともとBank Bandは名うてのミュ−ジシャンが揃っている、それが出来たわけです。ジャズ的なインプロビゼ−ション、つまり即興ですよね。即興でお互い反応し合う、その醍醐味だったというか......。それと、当時の僕らはそもそも時間をかけないでやることに美徳を感じてた。なぜかというと、時間をかけるとお金もかかっちゃうから(笑)。
―― 
ap bankの運営や融資の資金を得る為なのに、制作費が膨らんじゃ意味ないですものね(笑)。続く2008年の『沿志奏逢2』は、ap bank fesが定着していったことが大きく影響している内容でもありますよね。Bank Bandのオリジナル曲も増えていくし......。
小林 
2枚目はそうですね。フェスに向かっての軌跡としての「to U」だったり、あと、Bank Bandとしてフェスに出てってステ−ジを支えつつ、でも過去の名曲をやるだけじゃない自らの中の"名曲モ−ド"というか、「これいい楽曲だよね」っていう新たなオリジナルも生まれてきてね。それらも含んだものとして『2』は広がっていったんですよね。そして今回の3枚目は単純に若くなったのもそうだけど、初期衝動みたいなものに向いてる要素が強いんじゃないですかね。多少ぐちゃぐちゃでも想いが迸ってくるようなものというか、そのことに対して真っ直ぐというかね。そもそもBank Bandの「奏逢」からして、若いしね。もちろん小田和正さんの「緑の街」とか、過去の先達への敬意も忘れてないわけですけど。「緑の街」のアレンジは、小田さん自身凄く褒めてくださいましたけど。
―― 
Bank Bandのメンバ−間の信頼関係はますます深まっている様子ですね。
小林 
もの凄く深まってるし、チ−ムワ−クが凄いです。メンバ−は多少流動的ではありますけど、四家(卯大)君をはじめて弦が四人、さらに山本拓夫君と西村浩二君のホ−ンが居て、コ−ラスも含め総勢13人なんだけど、全員が物凄く主体性あるんですよ。普通はこの人数だとアレンジャ−がいて、譜面を書いて渡してね。すると「まぁお上手」みたいにはなるけど、さらに演奏する時はコンダクタ−がいないとまとまらない。でも僕らは譜面に頼らないヘッド・アレンジでも、その場で生きた演奏になるんですよ。そんな時は僕自身はクォーターバックというか司令塔で、全体の流れとかニュアンスは作っていきますけどね。それに弦やホーンの人達が、バンドの一員としてこれほどポジティヴに自分達の役割果そうとするバンドって他にはないんですよ。あと、僕らはこのエネルギーのままライヴをやってるじゃないですか? そして去年のフェスでやった「ステップ!」とかっていうのは、まさにつま恋で得たエネルギ−を生かしてレコーディングをやったんですけどね。
―― 
『沿志奏逢』と言えば、毎回ジャケットのデザインも斬新ですよね。話題となった、一枚目の"キュウリ"からして......。
小林 
今回の頭蓋骨のジャケットを見て、個人的にはエマ−ソン・レイク・アンド・パ−マ−の『恐怖の頭脳改革』ってアルバムを思いだしたんですけどね。凄い邦題ですけど(笑) 、あれはもっとメタリックな頭蓋骨で、確かこの『沿志奏逢3』と同じ観音開きでね。でも、今回の森本千絵のア−ト・ディレクションは凄くいいですよ。人間が中心なだけじゃない、生き物すべてが繋がっているという、そんな死生観というか、東洋人が根底に持っている思想も感じ取れるのでね。すべてのことがカテゴライズされないで繋がっているという、その象徴的なものとしてもこのジャケットが在るんだと思うし。
―― 
ここからBank Bandは、そして『沿志奏逢』は、どんな場所を目指していきそうですか。
小林 
もし次の『沿志奏逢』をつくるとしたら、ちょっと傾向は変わっていくのかな、というのは思いますけどね。ただ、「次のフェスをどうするか?」とか、「今度、ap bankとしてこういうことがあるから......」とか、そういうことと『沿志奏逢』を作るモチベ−ションで繋がっているからね。ap bankはこれからも続いていくだろうし、あと、フェスもね......。今年の開催に関して色々と話し合ったというのは、もともと「こういうことは義務感で続けていくものではない」と思っていたからで、そこにLOVE CHECKという、新たなム−ブメントが加わったのが今年なんですよ。ただLOVE CHECKに関しては、むしろ的確に言うことが出来ないものでいいんだと思っているんです。入り口は物凄く広いしね。敢えて大風呂敷の方がいい? でもホント、そうかもしれない。かつてLOVE&PEACEっていうのがあって、いい加減なところもあって揶揄もされたけど、今の時代の日本のなかでは、ついあの感覚も思っちゃったりもしてるんでね。これに関しては、いずれ色々なことがちょこちょこと起こったりするんじゃないですかね。音楽とは別のところでもね。

(取材 小貫信昭)

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