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甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも)の料理

data : 2010.11.25category : 甚五右ヱ門芋

「甚五右ヱ門芋を一番おいしく料理するのはうちのおばぁだから。食べてって」。そんな春樹さんの言葉に誘われて、佐藤家に伝わる甚五右ヱ門芋料理をごちそうになった。

おいしい甚五右ヱ門芋の食べ方

甚五右ヱ門芋を守ってきたのは母親たち

「佐藤家はね、代々、母親が甚五右ヱ門芋を守ってきたの」と語るのは春樹さんの祖父・信栄さん。
代々、稲作農家だった佐藤家では、男性は稲作りが忙しいため、女性たちが甚五右ヱ門芋の栽培を手伝い、種芋を守ってきた。
「だって、育てれば買わなくてもいいでしょ。冬のうちにたくさん作っておけば、あとは冷凍にして一年中食べられるからね。」と祖母の清子さんは言う。

「とにかく食べてみて。おばぁの甚五右ヱ門芋料理は最高だから」という春樹さんの言葉に、「ふつうの、毎日食べてるようなものしか作ってないよー」と清子さんは少し照れた様子。

ずらりとならんだ甚五右ヱ門芋料理。この日、ごちそうになったのは芋煮、天ぷら、煮物、そしてコロッケだった。

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まずは、山形でさといも料理といえばこれ、という芋煮。
そもそも「芋煮」の定義ってなんですか?と問うと、「芋が入っている汁っけのあるものなら芋煮って言うわねえ。牛肉か豚肉か、しょうゆか味噌かなんかは、家ごとに違うのよ」と清子さん。
佐藤家は豚肉を使いしょうゆの味付け。山形の特産品で「原木なめこ」という普通のなめこより3~5倍くらいの大きさがあるなめこを入れる。

ほぼまるごと、大きいまま入った甚五右ヱ門芋は、柔らかいけど煮崩れないのが特徴。箸をいれると縦にすっと割れる。ねっとりとした歯ざわりだけど、口の中でサラッととろける。「甚五右ヱ門芋は火を通すとつるつるっとしてんめから(うまいから)」と清子さん。つるつるっといくつでも食べてしまいそうだ。


そして感動したのは甚五右ヱ門芋で作ったコロッケ。裏ごしした甚五右ヱ門芋で作ったコロッケは、まるでクリームコロッケのような舌触り。いもの甘みが際立つので、ソースをつけなくてもおいしい。

佐藤家では親芋も、孫芋ができて硬くなった子芋も食べる。
親芋というのは、さといもの根の部分。そこから子芋が生え、さらに子芋から孫芋が生える。
通常、市場に出回っているさといもは孫芋か、孫芋のできていない子芋。ようするに根の末端の部分。子をつくると固くなってしまうので、末端の部分にあたる芋がおいしいとされているのだ。そのため、親芋はあまり市場にはでまわっていない。「それぞれの食感の違い、美味しさがあるから、いずれは売り物にして多くの人に食べてもらえるようにしたいんだけどね」と春樹さんは言う。

その日の天ぷらはいちばん固い親芋の部分で作ってくれた。子芋とはまったく違い、シャキシャキとした歯ごたえがあって、レンコンとじゃがいもの間のような食感だ。揚げたてのサクサク、ほくほくした味わいは絶品。「これ、食べだすと止まらなくって。塩でもマヨネーズでもおいしいんですよ」と春樹さん。スナック感覚でビールなどにも合うそうだ。
売り物にならないくらい小さい芋は煮物に。ちょうどひとくちサイズで見た目もいい。 「この辺のひとたちは甚五右ヱ門芋のことをね、ネックハックって言ったりするの。残すところがないからね」と信栄さん。根も葉も食べられるから「根食葉食(ネックハック)の芋」といういうわけだ。 「茎や葉はね、炒めものにしたりおひたしにしたりするの。乾燥させれば保存も効くしね」
大切な食材を残すことなくきちんと頂こうとする昔ながらの知恵だ。

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佐藤家に伝わるおばぁのレシピ

清子さんに甚五右ヱ門芋料理の作り方を教えてほしいとお願いした。
「作り方っていっても、量なんて決まってないのよ。何を入れるかを覚えたら、あとは自分の味が決まるまで何回も作ってね。味を覚えて工夫するの。そうすれば、おいしくなっから。」と清子さん。
母の料理とはそういうものかもしれない。

台所にお邪魔して材料と手順を教わった。分量はすべて「適量」。 さて、自分の味にできるだろうか。

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「佐藤家の芋煮」

<材料 すべて適量>
甚五右ヱ門芋
豚肉
なめこ
長ネギ
※こんにゃくを入れてもよい

しょうゆ

砂糖
※量の目安としては、しょうゆ:酒:砂糖=2:1.5:1 

<作り方>
1:甚五右ヱ門芋の下ごしらえをしておく。(※以下、下ごしらえはすべて同様に)
★甚五右ヱ門芋の下ごしらえ
まず、甚五右ヱ門芋を調理するときは下ごしらえをするとよい。熱湯で1分ほど茹でた後に、たわしや固いスポンジでこすれば、皮がつるりとむける。芽の部分など固いところだけ包丁でとっておく。「皮をむく時は手が滑ったり、ぬめりであとでかゆくなったりするから、軍手をするといいのよ」と、清子さんが教えてくれた。


2:お鍋にたっぷりの水と下ごしらえした甚五右ヱ門芋を入れる。一煮立ちしたら、砂糖と醤油を加え、好みの味付けに整える。


3:2が沸騰したら、豚肉、なめこを入れる。アクをとりながら、すべての材料に火が通ったら、最後に長ネギを入れる。


「おばぁのコロッケ」

<材料 すべて適量>
甚五右ヱ門芋
玉ねぎ
にんじん
豚ひき肉

小麦粉

パン粉

コショウ

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<作り方>
1:鍋に水と下ごしらえ(★)をした甚五右ヱ門芋を入れ、いもに火が通るまで茹でる。
2:1の甚五右ヱ門芋を裏ごしする。キメはそんなに細かくなくても大丈夫なので、裏ごし器がなくてもザルなどで代用すればよい。


3:玉ねぎとにんじんはみじん切りにして、豚ひき肉と一緒に炒めておく。
4:2と3を混ぜあわせる。隠し味に少々のパン粉を入れる。塩コショウで味付けをしておく。


5:4を丸めたら、小麦粉→溶き卵→パン粉の順で衣をつける。衣のサクサク感を楽しむため、小さめに丸めるのがおすすめ。
6:油であげる。中身はすべて火がとおっているので、強火でさっときつね色になるまで揚げたらできあがり。


satoimo-22_08.jpg 「親芋の天ぷら」

<材料 すべて適量>
甚五右ヱ門芋(できれば親芋)

天ぷら粉

<作り方>
1:甚五右ヱ門芋の親芋を食べやすい大きさに切る。サクッと噛む歯ごたえが楽しいので、大きめにふたくち分くらいの大きさにするのがおすすめ。
2:濃いめに溶いた天ぷら粉に1をくぐらせ、油で揚げる。


「小さい甚五右ヱ門芋の煮物」

<材料 すべて適量>
甚五右ヱ門芋(小さめのもの)

しょうゆ
みりん

砂糖
※量の目安としては、しょうゆ:みりん:酒:砂糖=3:2:1:2

1:甚五右ヱ門芋の下ごしらえ(★)をしておく。
2:鍋に水と甚五右ヱ門芋と調味料を入れ、中火にかける。ふつふつとしてきたら弱火にして、芋がやわらかくなるまで煮る。



甚五右ヱ門芋は佐藤春樹さんの運営するオンラインショップにて購入できます。
「いつか"親芋"も買っていただけるようにしようと思っています」とのこと。
旬の時期に収穫したものがなくなってしまったら店じまいなので、どうぞお早めに。
⇒甚五右ヱ門芋のサイト:「森の家


(撮影/松村隆史、取材と文/編集部)
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