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よしもと芸人・銀シャリの、「ヨシきたッ!刈ったれ!」体験記

data : 2011.02.24category : イベントレポート

なにわの漫才コンビ銀シャリが、日頃の運動不足を断シャリすべくヨシ刈りにチャレンジ! 大阪・高槻市の鵜殿にドカーンと広がる原っぱで、慣れない鎌さばきに悪戦苦闘。はてさて、どうなることやら⁉

刈るから育つ、鵜殿の良いヨシ

都会に残る豊かな自然空間、鵜殿のヨシ原

関西に住む人たちの暮らしを潤してきた近畿最大の河川といえば、淀川。琵琶湖から流れでた瀬田川は途中で宇治川と名前を変え、京都と大阪の境目で木津川、桂川と合流して淀川になる。この3つの川の合流点から4kmほど下った高槻市の東部にあるのが、「鵜殿のヨシ原」だ。甲子園球場のおよそ18倍という広大な土地には、400種あまりの植物が自生するほか、ハヤブサやオオタカなどの鳥の採餌場となり、キツネやタヌキなどの動物が生息している。まさに都会の中にある自然の宝庫なのだ。

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このヨシ原でヨシ刈りを体験するのは、「最近は、なかなか自然に触れたり運動したりする機会がない!」という関西出身の芸人、銀シャリのふたり。ヨシ原に到着するなり、辺り一面を覆い尽くし、風になびくヨシのスケールの大きさに「まじでデカいですね! サトウキビ畑みたい。あれを刈るのか〜」とびっくり。

ヨシは、水辺や湿地に生えるイネ科の植物。地上にでている茎の部分は、春から夏にかけて一気に背を伸ばす。その高さ、なんとおよそ5メートル! 実はこのヨシ、とても環境に良い植物。なぜなら、ぐんぐんと成長するために二酸化炭素をたくさん吸収してくれるのだ。さらに、ヨシは大きい体をつくろうとチッソやリンを地下水から吸い上げるため、淀川の水質浄化にもひと役かっている。

昔からこの地域に住む人々は、冬になると枯れたヨシを刈り取ってヨシズやスダレの原料にしてきた。また鵜殿のヨシは、宮中や寺社などに伝わる日本古来の音楽や舞である雅楽に使われる楽器、篳篥(ひちりき)にもっとも適した素材。つまり、日本人にとってヨシはなくてはならない植物だったのである。しかし今では、日本人の生活様式の変化によってヨシ自体が使われなくなっただけでなく、ヨシ製品は中国からの輸入が主流になり、ヨシ原のヨシは刈り取られなくなってしまった。
「ヨシは手入れをしてあげないと、質の良いものが育たなくなってしまいます。しかも、枯れて腐ったヨシは吸収したチッソやリンをまた川に戻してしまう。だから、冬に刈り取りをすることが重要なのです」と教えてくれたのは、ヨシ原の環境を保全する活動をおこなう「鵜殿ヨシ原研究所」の所長、小山弘道さん。そこで小山さんたちはボランティアを募り、毎年鵜殿のヨシの刈り取りをおこなっている。

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銀シャリ、いざヨシ刈りに挑戦!

この日も20名ほど集まったボランティアの方々に混じって、さっそく銀シャリのふたりも作業着に変身! 鎌を手に見よう見まねでヨシを刈り取ってみる。ツッコミの橋本さんは「俺、こういう作業下手やから、自分の足刈りそうでめっちゃ怖いわ!」と言いつつ、一本一本、慎重かつ丁寧に刈り取って運んでいく。一方、ボケの鰻さんは「まず全部刈ってから掴んで一気に運び出した方が要領ええやろ〜」と、スゴ技を考案! しかし得意顔も束の間、一気に刈りすぎてうまく掴めず、橋本さんの邪魔になって

「欲張り過ぎるからや! お前、全部刈りで人に迷惑かけんなや。結局、効率悪いやん(笑)」と怒られる場面も。作業ひとつとっても、それぞれの性格が出るのが面白い。

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小山 ここには、ヨシによく似たオギという植物も生えているので、刈り取ったらヨシだけを選別します。
 オギとヨシ、分かりにくいな〜。
小山 中身が違うんです。オギは茎の中が詰まっているけれど、ヨシは中が空洞になってるでしょ。
橋本 ここが一番甘くて美味しいところらしいっすよ。
 甘いの? (ヨシを吸って)全然甘ないやん。
橋本 いや、食べたらあかんやろ(笑)! これ、大航海時代のペンみたいですね。

小山 ヨシペンっていうのもあるんですよ。これを斜めに切って、墨を付けて字を書くんです。
 ほんまっすね、断面がペンみたいになってる。
小山 大学受験の前に教えればよかったかな。
橋本 いやいや、ヨシペンにいちいち墨つけて受験してたら、マークシートなかなか時間かかりますから(笑)!
 オギの方ではダメなんですか?
小山 うん。オギは柔らかいからね。
橋本 ヨシは皮が固いから中が空洞でもいいんですか?




小山 そう。ティッシュペーパーを湿らせて空洞のところに入れて。
橋本 今でいうインクを入れるところなんですね。
 へぇ~、ペンの原点ですね。
橋本 中身が空っぽのヤツのほうが勉強しないとダメですもんね!
小山 でも、すいすい詰まっていくから楽しい。
 なるほどね(笑)。
橋本 吸い上げていきますからね、いろんなことを。

小山 最初から詰まっているとね、入りにくいから。
橋本 そうですよね、最初からあると固定概念にとらわれて。お父さん、勉強になります(笑)。
 見た感じだと、オギの方が書きやすそうな感じしますけどね。
小山 オギの方が実際は弱いんですよ。
橋本 意外に、詰まっている人間の方が繊細やったりするから弱いんですよ〜。結局、なんにも考えてない人間の方が強いんですよね。

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 俺見ながら言うのやめろって(笑)!
小山 聞いている人が本当だと思うじゃない。
 ねえ〜、お父さん。
橋本 それがね、本当なんですよ(笑)。
小山 せっかく関西で止まっているのに、これが記事になったら東京まで広まっちゃう......。
橋本 「せっかく関西で止まっているのに」ってことは、鰻さんがアホって認識はあるんですね(笑)。
 認識ありますやん(笑)!

橋本 鰻さんがアホという認識は関西でとめておいてほしいという、大将の心意気です(笑)。
 何を言うてるんですか(笑)。大阪の恥みたいなこと。つつきますよ!
橋本 お父さんをヨシでつついたらあかんよ(笑)。


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その後はコツを掴んだのか「楽しくなってきた!」と着々とヨシを刈り、穂先を揃えて縄で束ねていくふたり。以前、作業アルバイトをしていたという鰻さん、ヨシを束ねる慣れた手つきはまるで昔からヨシを刈り続けているベテランのよう(笑)。橋本さんも、鰻さんから「ほれ、お兄ちゃんもやってみぃ。そこで縄を緩めちゃダメだからね!」と指導を受け、「弟子っこ厳しいなぁ! 今日、俺だけ来たみたいで嫌やねんけど」と笑いながら、ようやく刈り取ったヨシの束が完成! 小山さんからも「ふたりとも見込みあるね。この辺りの残っているヨシ、全部刈ってもらいたいくらい」と、太鼓判を押してもらった。

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小山 穂先を揃えたら、ヨシを縄で縛りましょう。
橋本 これは、お父さんを縛ったらいいんですか?
 お父さんとヨシ一緒に縛ったらあかんよ(笑)!
橋本 え!? あかんの? だってお父さん、毎日ヨシ刈りで5時間も時間に縛られてるから。
小山 いや~、なにか悪いことしたのがバレたかと思ったよ(笑)。
橋本 お父さん、笑いの感覚、天才的ですね〜(笑)。

自然に触れ、自然を知る楽しさ

作業を終えて、ほっと一息! めいっぱい体を動かした後だけあって、ふたりも食が進む。「まさか淀川に、こんなヨシ原があるなんて知らなかった。今日ヨシを刈ってみて、燃やさずに人の手で刈っていくのが一番いいということが分かりました」と鰻さん。橋本さんも「今日はなんだか癒されましたね〜。この取材をきっかけに知らなかった場所に来られて、久しぶりに運動不足が解消できてよかったです!」と晴れ晴れとした表情を見せてくれた。

一所懸命に体を動かして、びっしりと生い茂ったヨシを刈り取り、運び出す。すると目の前に広がるのは、どこまでも見晴らしのよい景色。この達成感、なかなか味わえるものではない! そして、その行為に自然は必ず応えてくれるのだ。

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「鵜殿の保全活動を始めてから、減り続けていたヨシが徐々に回復してきました。大阪では絶滅したと言われていたサワトラノオやアゼオトギリなどの植物も、このヨシ原で見つかったんです。春になると、オドリコソウやノウルシなどがとてもきれいな花を咲かせますよ!」と教えてくれた小山さん。そう、この場所の自然は、人の手によって大切に守られているのだ。

ヨシ刈りをきっかけに周辺の自然に興味が湧き、それはやがて地域の環境を守る気持ちへと繋がっていく。寒い中での作業にも関わらず、小山さんやボランティアの方々から返ってくるホッカホカの笑顔、それがすべてを物語っているように思った。

鵜殿ヨシ原でのヨシ刈り集めは、毎年1月上旬〜2月下旬まで、ほぼ毎日行われている。3月からは、つる草を抜いてヨシを育てる作業がスタート。また、鵜殿の自然観察会も定期的に開催中。参加希望の方は、メールにてお問い合わせを!

鵜殿ヨシ原研究所
http://udono.jimdo.com/
udono@ares.eonet.ne.jp

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刈り取ったヨシはどうなるの?

ヨシの新たな使い道「ヨシ紙」

使い道のないヨシは、せっかく刈り取っても焼き捨てられてしまう。これでは、二酸化炭素をまた出すことになってしまうし、なによりもったいない! そこで生まれたのが、ヨシから紙を作るというアイデアだ。 ヨシ紙を手がける山田兄弟製紙の代表取締役、山田晃裕さんは「10年ほど前に、うちの前社長が小山先生と出会うきっかけがあり、社員総出で鵜殿のヨシ刈りに参加してみたらとても面白くて。それ以来、毎年半分レクレーション、半分ボランティアの気持ちで楽しくヨシ刈りに取り組んでいます」と語る。

ヨシ紙の年間生産量は15トン程度。主に企業の名刺や、一筆箋などに使われている。実はap bank fes'09で販売したレターセットに使われていたのも、このヨシ紙なのだ。しかしまだまだ、前途は多難だという。
「ヨシは中が空洞なので運搬の際に嵩張ってしまい、どうしてもコストがかかってしまいます。この紙の魅力である鵜殿のヨシ原にまつわるストーリー、それをどうやって伝えることができるのかが課題ですね」。

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「ヨシ原に行くと、元気になれるんです。鵜殿のヨシ原はパワースポットなのかもしれないですね」と嬉しそうに話す山田さん。単に紙を作って売るのではなく、そこに込められた思いを伝えていく――。山田さんの物づくりへの考え方を変えるきっかけを与えたというヨシ紙、そのふんわりと柔らかな手触りをその手で確かめてみてほしい。

山田兄弟製紙 http://yamada-keitei.com/

ヨシ紙ができるまで

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1 刈り取ったヨシは、乾燥させてからパルプ加工場へ運びそこでチップに加工して、球体の圧力釜で煮た後、洗浄を繰り返しフレーク状のヨシパルプになる。

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2 一般的な木材パルプにヨシパルプと水を加えて混ぜ、繊維をほぐす。更に繊維を叩き、薬品を加えて繊維の結合を強める。

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3 パルプからゴミなどの不純物を取り除き、水分をきる。

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4 機械で漉き、網目状になったロールにパルプを均一に載せていく。

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5 更にプレス機で水分を吸いとり、100℃くらいの円筒の鉄板で乾かす。一気にではなく、徐々に水分をきっていくのが、紙の強度を出すポイント。

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6 ロールで巻きあげて、できあがり。使う紙の大きさに合わせてカットし、検品してから紙として流通する。

ヨシ紙を使ったアイテムをkurkku online shopでただいま開発中!
アイテムの詳細はエコレゾ ウェブにて発表予定。お楽しみに!





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銀シャリ
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。大阪NSC25期生。橋本直(ツッコミ)と鰻和弘(ボケ)で2005年に結成。幅広い年代に受け入れられる漫才が魅力の実力派コンビ。2008年、第29回ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞受賞。2010年、第40回NHK上方漫才コンテスト優勝。また、昨年末のM-1グランプリではファイナリストに選ばれるなど、人気急上昇中。

小山弘道
1937年、鹿児島県生まれ。鵜殿ヨシ原研究所所長。大阪市立大学理学部附属植物園で研究職を務めたのち、高槻市緑地環境保全等専門相談員として1976年よりヨシ原の保全に努める。1998年からは、国土交通省近畿地方整備局淀川河川事務所淀川環境委員会委員。35年の長きにわたり、鵜殿のヨシ原の自然と生き物の保全活動を年間200日以上おこなっている。



(撮影/松村隆史 取材・文/編集部)


【取材協力】鵜殿ヨシ原研究所、山田兄弟製紙、大日本印刷、大日本商事

【商品協力】今回ランチタイムに使用したアイテムは、kurkku online shopにて購入できます。

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