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ここからまた歩き出す、「おらほの復興市」

data : 2011.11.10category : イベントレポート
10月16日に宮城県石巻市でおこなわれた「おらほの復興市」。このイベントを支えた人々や心待ちにしていた人々に、東日本大震災からこの日を迎えるまでの想いを聞いた。


地元の人々の力で創り上げた、手作りの復興市

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「おらほの復興市」は、10月16日に石巻市総合運動公園で開催された東日本大震災の復興イベント。当日は、真夏のような晴天に恵まれた。
飲食・物販ブースでは、目や舌を楽しませてくれる地元の特産品が目白押し。「こども広場」では電動カートや輪投げといった遊具で思い切り遊ぶ、元気な子どもたちの笑顔があちこちに。さらに、でかでかと大漁旗が掲げられた会場中央のステージには郷土芸能や地元演者、ナオト・インティライミらの特別ゲストが登場し、多彩なパフォーマンスを披露。復興市を大いに盛り上げた。
この復興市は「おらほ」(この地の方言で、私たちの、という意味)という名の通り、地元に住む人々が中心となり、被災地の「今」を県内外に届けようというもの。産業や生活の安定には未だ遠くとも、自分たちの力で立ち上がり歩みを進めようという想い、そしてこれまで支援を続けてくれたボランティアへの感謝の気持ちが込められたイベントには、飾ることのない確かな温もりと、この地に芽生えた希望の光が溢れていた。









ナオト・インティライミ(ミュージシャン)

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これまでも被災地の子どもたちの前で歌う機会などはあったけれど、ap bankのボランティアとして瓦礫撤去や泥かきを手伝わせてもらった経験があったので、「おらほの復興市」には自分から懇願して伺わせてもらったんです。今日は天気にも恵まれて、まさにインティライミ(=太陽の祭り)in石巻みたいな感じで(笑)。ボランティア仲間とも再会できたし、たくさんの人たちと繋がれてよかったです。子どもからおじいちゃんおばあちゃんまでノリノリだったし、お母さんなんかは表拍子で手をたたくから、たまらないのよ(笑)。けれど、ノリだけじゃなくてその奥にあるものを感じたい、と思いながら歌っていましたね。全国には色々なお祭りがあるけれど、この復興市は背景にあるものが違うから。逆境で生きていても、音楽を聴いている時だけは嫌なことを忘れて夢中になれる、そんな力が音楽にはあると信じて、僕は歌い続けていきたいと思っているんですが、今日は自分のなかでも心に残った意味のあるライブになりました。これからもアーティストとして、そしてひとりの人間として、タイミングをすぐに見つけてこの場所にまた来たいと思っています。



福島カツシゲさん(コメディアン・ピースボート)

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「おらほの復興市」は、ボランティアだけでなく、みんなの力で創ろうという思いから始まりました。もちろんナオト君や八神純子さんにも来てもらったけれど、ほとんどが地元の人たちのパフォーマンスです。今日はたまたま最初に太鼓があって、獅子舞があって、凧も飛んでいて。そんなに急には切り替えられない人もたくさんいると思うけれど、新年のつもりでスタートをきるきっかけになればいいなと思っています。僕は、もともとピースボートで水先案内人をしていたのがきっかけで、5月のゴールデンウィーク終わりにボランティアとして来たんですよね。最初は「3日くらい手伝って、僕は僕なりの震災の伝え方をしよう」と思っていたんですけれど、実際に来てみて「これは3日で帰れないな」と感じて、今に至るという。それで、僕はいま『石巻通信』というボランティア向けの期間限定の月刊誌の編集長をしているんです。ピースボートだけでも、8000~9000人近く来ていたボランティアの人たちに向けて、「石巻がこんなに変わりましたよ、一人ひとりの力は小さいけれど、みんなが集まればここまで町は変われるんだよ」ということを伝えたいと思っています!



古厩志帆さん(め組JAPANボランティア・学生)、岩本季和さん(め組JAPANボランティア・学生)、
佐藤太稀くん(5歳)

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夏休みを利用してボランティアにやってきたときは、ひまわりがだいぶ咲き始めて、ちょうどみんなが元気になってきたころでした。家を直したり会社や漁業を再会したり、という準備に向けて目標を持ってやっている人たちが、色々な話を聞かせてくれて。「みんな、思っていたよりも強いな」と逆に元気をもらったし、すごくキラキラしていて格好よかった。今日はそのときに出会った懐かしい人たちとも会うことができました。(古厩さん)

私は、お盆が明けてから夏休みが終わるギリギリまで、約1か月間ボランティアに参加していたんです。だからたくさんの人と顔見知りになりました。さっき来ていた子どもには、ちょっと忘れられていて悲しかったけど(笑)。今回は3日間しかいられないので、全然みんなに会いきれなくて。今日帰らなくてはいけないのが、めちゃくちゃ寂しいです。(岩本さん)



及川芳信さん(石巻災害復興支援協議会 事務局)

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震災から7か月、大分復興してきたという手応えはあります。町の様子も変わってきたしね。きれいになっていたでしょう? でも瓦礫や全壊した家を取り除いただけなので、新しい建物を建てるところまではなかなかできていないし、半壊で中身がぐちゃぐちゃになった家は取り壊しもできずに残っているんです。前のような町の状態に戻していくのは、とても時間のかかることだと思いますね。それに、まずは海沿いが復興して加工業者が動き始めなければ、雇用も生まれない。先は長いと思います。でも、具体的な目標が立てられるようになっただけでも大きな進歩。震災直後は先がまったく見えなかったからね。今日こうしてみんなで集まって、確認できたことはとても大切なことだと思います。ボランティアの人達の力も大きいです。



へんりぃさん(ap bank Fund for Japan ボランティア)

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今日はボランティアで出会った人たちを中心に、石巻に来たことのない人も一緒にバスを借りて、総勢91人でやってきました。ここまで集まるとは僕も思っていなかったので、びっくりしています。僕が初めて被災地に来たのは、4月末ごろ。そのときの石巻は、まだ町中に車がゴロゴロ転がっていたり、ヘドロの匂いで臭かったりする状況で、とにかく町を歩いている人たちが元気なく俯いていて。だから、今日のような様子は想像できなかったですね。ボランティアで知り合った人や町の人たちと、こうして笑顔で集まれるということがすごくうれしいです。実はまだライフラインが通っていなかったり、地盤沈下して水に浸かってしまったりしている場所もあって、人が住んでいるところとそうでないところとの差が激しいんです。実際の店鋪は津波に流されてしまって営業の見通しがまだ立っていないけれど、復興市に出店している方もいらっしゃって。そういう人たちを応援する意味でも、とにかく今日は美味しいものをたくさん食べて帰ろうと思っています!



登坂亮太(ミュージシャン・kurkku 3店長)、諸橋新之介(kurkku シェフ)

石巻に来たのは5か月ぶりくらい。高速を降りて、あのときとの様子の違いにすごくびっくりしました。初めて来たときにはヘドロだらけで信号も止まっているし、道も割れていて通れないという状態で。そのころには「この先どうしていいのか分からない」という雰囲気が町全体に漂っていたのが、今では人々の目に力が宿っている感じがします。まだまだこれからだけれど、具体的な目標が決まってくると立ち上がれる感じがしますよね。今日は、久々に真菜美とも再会できてよかったです!(登坂)

最初に来たときには、この辺りもまだ道がなかったんです。僕らが初めて来たのは、震災直後の3月16日。当時はとにかく悲壮感があって。目の焦点が合っていないし、みんな常に探しものをしているような目付きだった。でも、こうして一見すると被災したことが信じられないくらいに復旧してきて。今日高速を降りたときに自転車に乗った女の子が笑顔で歩道を走っているのを見て、ちょっとほっとしました。でも、海側に行ったらまた状況は違うと思う。だから今日は、そちらにも寄って帰ろうと思っています。(諸橋)



中村真菜美さん(「おらほの復興市」事務局サポート/災害復興支援ボランティア)

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この"おらほの復興市"が何だったのか、それはまだ分かりません。その答えが出るのは、きっともう少し先のことなのだと思います。でも、ひとつだけ言えることは、多くのひとたちにとって、久しぶりの再会と、よき出逢いの場になったのではないでしょうか。発災から半年以上が過ぎ、少しずつではありますが、復興に向け歩き出している方々が、ひとりまたひとりと増えてきました。ただその一方で、まだ立ち止まったままの方々がいるのも現実です。今でも瓦礫やヘドロが、たくさん残されている場所もあります。こうして今回、復興と名の付く場を創り上げられたからといって、このままみんなで進んでいけるかといえば、そうではないのです。だから私は、もう少しだけこの場所で、地元の方々の半歩後ろからささやかではあるけれども、お手伝いを続けようかと思っています。徐々にではありますが、街にも明かりが灯りはじめました。再開したお店も増えてきています。是非みなさん、東北の地に遊びに来てください。それがきっとこれからの、ひとつの応援のカタチなのだと思います。



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