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五感を使って楽しく学ぶ「100人試食会」イベントレポート

data : 2012.04.18category : イベントレポート

東京ミッドタウンで開催された「Tokyo Midtown 5th Anniversary Food Relation Network by ap bank / kurkku "on the Table"」。今回は、4月1日に行われたイベントのメインワークショップ「100人試食会―テーブルの上の33種の調味料―」の模様をリポートします!


原材料や製法にこだわった調味料がずらりと勢揃い

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青空の下、東京ミッドタウンの芝生広場で行われた「100人試食会―テーブルの上の33種の調味料―」。料理の基本となる調味料の魅力を試食と生産者のお話を交えながら探っていくというもので、実はこれ、Food Relation Networkのリアル店舗であるfood kurkkuをオープンするにあたり、スタッフたちが連日おこなっていた試食会をみなさんにも体験してもらおうと企画されたものなんです! 集められた調味料は酢・塩・味醂・醤油・味噌・砂糖の6種類33品。どれも原材料や伝統的な製法にこだわる生産者のものばかり。ap bankのイベントでおなじみのケン・マスイさんと、food kurkkuでプロジェクトリーダーを務める"スーさん"こと鈴木佳男を司会に、前代未聞の大試食会がスタートしました!






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「胃液の分泌を活発にする効果があるので(笑)」というスーさんのアナウンスとともに、最初にテーブルに並べられたのは「お酢」。明治26年から京都でお酢づくりを続ける飯尾醸造の飯尾彰浩さんに解説していただきながら、6種類のお酢を試飲していきました。
まずはじめに試飲したのは、日本で初めて原材料に無農薬のお米を使った飯尾
造の「純米富士酢」。この「純米富士酢」をはじめ、今回の試食会で紹介したお酢はすべて「静置発酵」という昔ながらの手法でつくられています。一般的な米酢はバイオエタノールを使い、機械で攪拌して1〜数日で発酵させるので淡泊な味がしますが、「静置発酵」は100〜150日間かけて自然に発酵をうながすため、濃厚なコクや芳醇なお酢の香りが出てくるそうです。その後もすし酢、横井醸造の「真黒酢」、純りんご酢、赤酢などを試飲するなかで、参加者から「おいしい!」と好評だったのが飯尾醸造の「ピクル酢」。生野菜を漬けるだけで簡単にピクルスができるというもので、実際に一晩漬け込んだ、にんじんやキャベツ、長いもも試食していただきました。
「お酢は隠し味として少し加えるだけで旨味が増すので、ぜひいろんな料理に使ってほしい」と飯尾さん。抗菌作用もあるお酢は、水で薄めてうがいをすると風邪予防になるというマメ知識も教えていただきました!




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2つめの調味料は「塩」。日本の伝統的な天然塩づくりを行っている海の精の川内啓以さんと下田ちひろさん、蒲刈物産の猿田秀樹さんをゲストに招き、6種類の塩を試食しました。
海の精から持ってきていただいたのは「あらしお」「やきしお」「ほししお」の3種類。しっとりとしたあらしおは素材の旨みを引き出す万能タイプの塩で、お米を炊くときにひとふりするだけでも、おいしいごはんができるそうです。一方、あらしおを高温で焼いてつくるやきしおはサラサラしており、料理の仕上げのひとふりにぴったり。下田さんは"マイソルト"としていつもカバンの中に忍ばせているんだとか。そんな下田さんのイチ押しが、天日干しでつくる口の中でじっくり溶ける結晶の大きなほししお。てんぷらやお寿司のつけ塩、サラダのアクセントにも使えるほか、「お吸い物にすると極上の味わいになるんですよ!」(下田さん)。

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沖縄の粟国島周辺の海でしかとれない「粟国の塩(釜炊き)」、アル・ケッチァーノの奥田シェフがつくった「月の雫の塩」を味わい、最後に登場したのが蒲刈物産の「海人の藻塩」。藻塩というのはホンダワラという国産の海藻を使ってつくられる塩のことで、海藻の成分が塩の結晶に入り込んでいるので、まろやかな口あたりが特徴です。猿田さんから「縄文時代の遺跡で発見した土器から製塩方法を再現したものなんです」と説明があると、会場からは驚きの声が上がりました。
1997年に塩の専売制度が廃止されるまでは、食塩と精製塩しか手に入れることができなかった塩。いろんな塩が手に入るようになったいまだからこそ、お気に入りのマイソルトを探すのも楽しそうです!


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3つめの調味料は「味醂」。岐阜県川辺町で150年以上続く蔵元、白扇酒造の加藤孝明さんが開口一番、「味醂は日本酒や焼酎と同じお酒の仲間で、江戸時代ごろまでは甘みのある高級酒として飲まれていたんです」。お酒として飲まれていたなんて知りませんでした! 「だから酔っ払わないようにね」と念押しされつつ、まずはじめにいただいたのは、白扇酒造の「福来純三年熟成本みりん」。「味醂は熟成によって味が変わります。3年間熟成させると、料理で使うのにちょうど良い深みのある甘みと旨味が出るんです」と加藤さん。あまり売られていないつくりたての味醂「白味醂」、10年熟成させたという「古々美醂」とも味比べをしながら、それぞれの違いを確かめていきます。

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スーさんからは2種類の味醂が紹介されました。香りとコクのバランスが絶妙の「九重味醂」は、煮物でつやを出したいときにも最適なんだとか。スーパーやディスカウントショップなどでもよく見かける「みりん風調味料」は、味醂をつくることを禁止された時期にできたもので、お酒ではありません。味醂本来のコクは少ないもののあっさりした味なので、使い勝手がいいとのこと。 今回は3種類の味醂(「福来純三年熟成本みりん」、九重酒造の「九重櫻」、みりん風調理料)で調理したかぼちゃの煮付けと、味醂を使わないで煮たかぼちゃの煮付けの食べ比べもおこないました。会場から「味醂を使っているほうが味に深みがあるし、つやも出ますね」と感想が漏れると、加藤さんからは「甘味だけでなく料理にさまざまな味をつけることができます。いろんな料理に上手に使ってみてください」とメッセージがありました。




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4つめの調味料は「醤油」。ゲストに登場していただいたのは、片上醤油の片上裕介さん。奈良で醤油づくりを始めた先代から受け継いだ木桶を大切に守りながら、国産大豆と天然醸造にこだわった醤油づくりを続けています。 テーブルに並んだ醤油は10種類! 味の差がわかりやすいよう、かまぼこにつけながらの試食です。それにしてもいろんな種類がある醤油。そもそもどんな違いがあるんでしょう? 大豆、小麦、食塩でつくられる醤油ですが、スーパーでよく見かける醤油は一定の品質のものを安くつくれるよう脱脂加工大豆を使用しています。スーさんいわく「全国で売られている75%の醤油は、油を絞ったあとの脱脂加工大豆を使ったもの」だそうです。

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一方、コストがかかるものの、おいしいものができるのが、油を絞らずに大豆をそのまま使っている丸大豆の醤油。なかでも国産の丸大豆を使い、昔ながらの木桶でじっくり寝かせてつくられる天然醸造の醤油は、木桶に独自の酵母や乳酸菌が住みついているので、桶一つひとつで味が違うと言います。「機械生産のようにまったく同じ味をつくることができないからこそ、その時々の味を楽しんでほしい」と片上さん。


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濃口醤油と淡口醤油の違いも説明してくれました。二つとも大豆と小麦の配合比率は同じですが、使う食塩の量が違うそうです。たしかに淡口のほうが少ししょっぱい気がしますね。しかし、今回の試食会で出された片上醤油の淡口醤油は、信州味噌をつくるテクニックを取り入れ、色は薄いながらも味は濃口と同じようにうまみを残した醤油を実現! リピーターさんの中には「白身魚のお刺身を食べるときはこの醤油じゃないとイヤ」と言う人もいるそうです。




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5つめは「味噌」。ステージに上がった長野県の井上醸造の井上直さんに、見覚えのある方もいたのでは......? 何を隠そう井上さんは、Food Relation Networkが発行するフリーペーパー「KOKO」にも登場していただいているんです!
「味噌造りで肝心なのが麹」と語る井上さん。どんな穀物に麹菌を繁殖させるかで、米味噌、麦味噌、豆味噌など、味噌の種類が決まる味噌。熟成期間は短いものだと数週間ですが、場合によっては5年間かけるものも。井上さんのような天然醸造の蔵元は、少なくても1年以上寝かせるところが多いようです。

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今回味わったのは、井上醸造の「いのうえ 糀みそ」、「けやきみそ」と、九重商店の「特選白味噌」の3種類。そのまま舐めて、またお味噌汁でも味比べをおこないました。白味噌を使った鶏むね肉(米沢郷牧場)の西京焼きもテーブルに並び、「お酒を持ってくればよかったです」と悲しい顔をする参加者の方も......。関東地方ではあまりなじみのない白味噌ですが、今回試食した白味噌は一晩漬けるだけで簡単に西京焼きを作れるそうなので、ぜひお家で試してみてください!
井上さんには「スーパーでパック詰めされているものと違い、天然醸造の味噌はたまりという液体をたっぷりふくんでいるので、お味噌汁にもとけやすい。そういった昔ながらの手作り味噌もこれからは味わってください」と締めくくっていただきました。







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100人試食会のトリを務めたのは、デザート作りに欠かせない「砂糖」。スーさんの説明のもと、5種類の砂糖を使った特製の牛乳プリンで、味比べをおこないました。砂糖には大きく分けて、サトウキビから作られるもの、砂糖大根から作られるものの2種類があります。まずはじめに試食したのが、古くから和菓子などで使われている和三盆。砂糖の粒子を細かくする「研ぎ」や糖蜜を抜く「押し舟」などの行程を経て造られるもので、とても上品な口当たりの砂糖です。ミネラルや旨みがたっぷりつまった洗双糖や砂糖大根を使ったもの、黒糖のほか、国産のさとうきびを原料にした珍しい上白糖も試食しました。







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2時間にわたりおこなわれた試食会。会場では熱心にメモを取る姿もちらほら見え、食に対する関心の高さがうかがえました。参加者の方からは「たくさんの種類が味わえて勉強になった。家庭でも使っていきたい」「味の違いがわかるか不安だったけど、どれも奥深い味わいがあって楽しかった」といったコメントをいただきました。「調味料は料理に欠かせない存在だからこそ、いいものを使ってほしい。ふつうのものより少し値は張るかもしれないけれど、一回に使う金額はそんなに高いわけではないので、ぜひいろんな調理料に挑戦してください」とスーさん。今回試食会でピックアップした調味料のなかにはfood kurkkuで取り扱っているものもあるので気になる商品があれば、お店を訪れてみてください!







「100人試食会―テーブルの上の33種の調味料―」で試食した調味料
●=NATURAL LAWSON & food kurkkuにて取り扱いあり

 酢 ●純米 富士酢(飯尾醸造)/●富士 すし酢(飯尾醸造)/●ピクル酢(飯尾醸造)/●真黒酢(横井醸造)/●純りんご酢(横井醸造)/赤酢(横井醸造)
 塩 ●海の精 あらしお(海の精 株式会社)/●海の精 やきしお(海の精 株式会社)/海の精 ほししお(海の精 株式会社)/●粟国の塩 釜炊き(沖縄海塩研究所)/●月の雫の塩(アル・ケッチァーノ)/●海人の藻塩(蒲刈物産 株式会社)
 味
 醂
●福来純 三年熟成本みりん(白扇酒造)/九重櫻(九重味醂)/みりん風調味料/福来純 白味醂(白扇酒造)/福来純 古々美醂(白扇酒造)
 醤
 油
【こいくち醤油】●天然醸造醤油(片上醤油)/●キッコーゴ 丸大豆しょうゆ(近藤醸造)/下総醤油(ちば醤油)/●弓削多 有機醤油(弓削多醤油)/吟醸生しょうゆ(弓削多醤油)/●丸中醸造醤油(丸中醤油)/菊醤(ヤマロク醤油)
【うすくち醤油】●淡色 天然醸造醤油(片上醤油)
【再仕込み/たまり醤油】初雁醤油(松本醤油商店)/●高麗王むらさき(弓削多醤油)
 味
 噌
【合わせ】●いのうえ 糀みそ(井上醸造)【赤・豆みそ】●けやきみそ(井上醸造)【白みそ】●特選白味噌(九重商店)
 砂
 糖
さぬきの和三宝糖(ばいこう堂)/●ゆうき市場の洗双糖(風水プロジェクト)/●甜菜糖(創健社)/喜界島黒糖 角(鹿北製油)/国産上白糖(第一糖業)



※このほか、牛乳プリンに使用した北海道根釧路牛乳(よつ葉乳業)、西京焼きに使用した鶏むね肉(米沢郷牧場)もNATURAL LAWSON &  food kurkkuで購入できます。

(撮影・取材・文/成田敏史、編集部)

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