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ATSUSHI(Dragon Ash)×オオキノブオ(ACIDMAN) POWER of LIFEスペシャル対談

data : 2010.12.20category : POWER of LIFE

12月12日(日)、横浜赤レンガ倉庫にて開催された「POWER of LIFE photo exhibition & Live in YOKOHAMA」。このイベントは、Dragon AshのATSUSHIさんが発起人を務めるプロジェクト「POWER of LIFE」が掲げるテーマを写真展とライブを通じて表現したもの。今回は、ACIDMANとThe NO PROBLEM's がライブパフォーマンスを披露した。
エコレゾ ウェブでは、イベントに登場したATSUSHIさんとACIDMANのオオキノブオさんにインタビューを敢行。このインタビューに、イベントで行なわれたトークセッションでのコメントも交えたスペシャル対談をライブの模様と共に独占公開!

ATSUSHI×オオキノブオ(ACIDMAN)、ふたりの出会いから、パフォーマンスに対する想いまでを語る。

互いに命の尊さを体現する者として、共通する想い

「生命力の素晴らしさや尊さを様々なかたちで表現し、多くの人に考えるきっかけを伝えよう」という想いから生まれたプロジェクト、「POWER of LIFE」。第一弾として、アスリートやミュージシャンなど、この活動に賛同する人々の「生命力を感じる瞬間」を撮影し、写真展を各地で開催している。 今回のイベントでは、写真の被写体としても参加したACIDMANがライブを披露。その背景には仲間として、そして表現者同士として結ばれた、二人の厚い信頼関係があった。

――前回、ATSUSHIさんにお話を伺ったのが今年の4月だったんですよね。そこで、POWER of LIFEの活動内容や想いを掲載したところ、「アニマルシェルターの存在を初めて知った」という声や、「写真展を見に行って、とても格好よかった」という感想など、すごく多くの反響があったんです。その後、大阪・梅田での写真展を経て今日のイベントに至るまで、その半年間の想いについて、まずはお聞かせいただきたいなと。

ATSUSHI それまで東京、北海道、盛岡で写真展を開催したときは、純粋に写真を展示して見てもらっていたんです。

でも、大阪でのイベントの最終日に、たまたまタイミングが合ったのでノリでライブをしてみたら、すごく手応えを感じて。 写真展の中にライブやトークを組み込むことで、余計に僕らの想いが伝わるんだな、ということに気が付いたんですね。ずっと「アートで命を救おう」というスタンスは変わらないのですが、そこが半年経って変わったことだと思います。それで今回は、赤レンガ倉庫といういい場所でイベントをできることになったので、初めて「写真展とライブ」というかたちでイベントをしてみようと。ライブの一発目としては、音楽で生命力を表現しているACIDMANにやってもらいたいという気持ちが強くて、オオキ君を誘ったんです。

――オオキさんがPOWER of LIFEの活動を知ったきっかけは?

オオキノブオ(以下、オオキ) 2年前、POWER of LIFEの立ち上げの頃ですね。ATSUSHIから「写真を撮らせてくれ」と言われて、「何に使うの?」と聞いたら、「命の素晴らしさを伝える写真展をやりたい」という話で。POWER of LIFEというタイトルもすごくよい響きだし、ATSUSHIがずっとそういう想いを持っていたことも知っていたしね。

それに、その収益で犬や猫を保護する活動をサポートしたいという、純粋な気持ちから始まっているところも気に入って。

ATSUSHI それで、Zepp Tokyoでのライブ中に写真を撮らせてもらったんだよね。

オオキ そうそう。それに俺らも音楽で、命のことを歌っているから。「人が生きて、死んで、物がなくなって、そして生まれ変わって、そこに大事なものは何があるのか?」というね。そういう人間の真理を追求するためにロックバンドをやっていて、ロックの音を鳴らしている。そういう考えとATSUSHIの想いには、リンクするところがあると感じたんです。

ATSUSHI 写真の被写体は、まずは友人のアスリートやミュージシャンといった仲間内から始めたんですが、オオキ君に関しては、ACIDMANとしての活動も共感できて仲間でもある、というふたつがあってお願いしました。

オオキ 普段から、しょっちゅう飲みに行くような仲間なんです。出会ったのは、たぶん5〜6年前の野外フェスのとき。





でも、正直言えばそのときはATSUSHIのことはあまり好きじゃなかったんですよね(笑)。「Dragon Ashは好きだけど、ダンスなんて全然認めないよ」なんて思っていた。 けれど、RUSH BALLという大阪のフェスでライブを観たときに、彼のダンスに釘付けになって。ライブとして、すごく成立するものだなと思ったんです。それから、彼と話すようになった。

ATSUSHI 照れますけれど、そんな感じのところですね(笑)。

オオキ ATSUSHIのダンスは、ただ踊って気持ちよいからというよりは、芸術的な方向のセンスがあるんだろうと思いましたね。そしてその後、彼のソロのダンスパフォーマンスを観て「こいつ、やっぱりアーティストなんだな」と、なんとなくの直感が確信に変わったんです。俺が一所懸命歌ったり、役者が演技をしたりするのと一緒で、彼は汗だくになって踊ることで生き様を表現している。身体で芸術を作っているというのを感じたんですね。

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大切なのは、正解を知ることではなく考えること

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POWER of LIFEが一般的なチャリティと一線を画すところ、それは伝えたい気持ちをアートとして表現している点にある。 直接的な言葉で訴えかけるのではなく、想いを写真やパフォーマンスに昇華させる――。観る側は受け止め方を委ねられることで、想像力を働かせて本質を捉えようとするのだ。それこそが大事なことだと二人は語る。

――POWER of LIFEを立ち上げてから2年半、活動を取り巻く状況に変化はありますか?

ATSUSHI 一口にチャリティといっても、なかなか難しくて。厳しいのは、始めた頃と全然変わっていないですよ。もちろん利益を得たいわけではないけれど、損益では継続していけないから、ちゃんと運営していこうと思っています。

だから今回のイベントでは、初めてライブイベントとしての入場料を頂くことにしたんです。チャリティを全面に押し出すのではなくて「普通のイベントだと思ったら実はチャリティだった」という見え方のほうがいいかなと思っていて。

――そのほうが、きっと継続する力にもなりますしね。

ATSUSHI 自分がこれまで考えてきた「表現者として、何を伝えていきたいのか」ということや「仲間たちと何かできないかな」といったことが、POWER of LIFEという活動によってすべて繋がって、ここまで突っ走ってきたわけですけれど。やっていくうちに、余計に考え過ぎてしまったり、そのことで改めてPOWER of LIFEについて考える機会もあったり。






軸は全然変わっていないですが、そういうことを繰り返すごとに新たに知ることもあって、それを自分で受け止めてどう消化していくのか、ということを考えていますね。

オオキ クリアしなくてはいけないことも多いけれど、ATSUSHIもこれから成長していくと思うのでね。発起人のATSUSHIも、命のことを知っているから「こうだぜ」と言っているわけではなくて。本人も絶対、命のことを1%も分かっていないし、それはみんなだって俺だってそうだと思う。 だけど「命ってなんだろう」ということを考えるのが、まず大事なことで。きっといろんな考え方があるけれど、きれいごとだろうが、そうじゃなかろうが、なんでもいいと思うし。

ATSUSHI オオキ君の言っていたことが、まさにその通りだと思っているんです。この時間をみんなで共有することで、命について考えるきっかけになってくれたらいいよね。そこに正解はひとつもなくて。

オオキ そうだよね。

ATSUSHI 「命は大切だぁー!」みたいに言ってもね。

オオキ うん。誰も分からないことだし。でも、だからといってそれを見ないで日々をただ生きるというのはちょっとつまらないからね。特に俺たちなんてさ、ものすごく贅沢な国に生まれて、みんな普通に生きている。

けれど、世界中には生きることにめちゃくちゃ必死で、夢なんか持つ余裕すらない人たちもたくさんいて。俺も伝える側にいるのであれば、せめてなにかしらのアクションを起こしたいな、と思ってこの活動にも賛同しているんです。友達であり仲間である人間が、最初は自分の身銭をきって、まだ軌道には乗らないけれど活動を続けていきたいと言っていて。それで、ここまで大きなイベントを計画して、今日同じステージに立てるというのは、とても美しいことのひとつのように思うんです。

目を背けずに、現実と向きあってほしい

POWER of LIFEが生まれたきっかけ、それは保健所や愛護センターなどの行政機関に持ち込まれた犬や猫をアニマルシェルターという施設に保護し、里親を探す活動をしている「NPO法人 犬と猫のライフボート」をATSUSHIさんが訪問したことだった。
年間に28万頭以上の犬や猫が保健所で殺処分されているという現実は、動物が好きな人ほど目を背けてしまう。しかし、勇気を出して現状と向きあうことが、問題を解決する一歩に繋がるのだ。

ATSUSHI 「アニマルシェルターの話を聞いたから、動物を保護しに行こう!」というだけの問題ではない。もちろんできる人がいたら、それに越したことはないんですけれど。例えば、今日来てくれた人たちが、周りの友達に「実はライブを観に行ったら、こんなことがあって、こういうことを知ってさ。 アニマルシェルターという存在があるらしいよ」というだけで、いろいろな問題が変わってくるんじゃないかなと思っていて。まずは今ある現状を知って、ちゃんと目を向けて。そして自分なりに命への考え方を持ってもらえたら嬉しいです。

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「POWER of LIFE photo exhibition & Live in YOKOHAMA」イベントレポート

あらゆる表現を通じて、命について共に考える一夜

イベント当日、会場には約80点の写真が展示された。ATSUSHIさん自らカメラを向けた作品もある。「例えば為末君なら、走っているときのアキレス腱が一番生命力を感じる。その瞬間を撮ろうと思いました」(ATSUSHI)。 ライブ前にはATSUSHIさんとオオキさんによるトークセッションを展開。後半からは「NPO法人 犬と猫のライフボート」のスタッフ、金子さんも加わり、ライフボートの活動内容や課題について現場の立場から話を聞かせてくれた。

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そしてACIDMANのライブがスタート。この日はアコースティックセットでの登場となった。 まさに赤レンガ倉庫で演奏するに相応しい「赤橙」や「Under the rain」といった名曲の数々を披露。アコースティックなサウンドが、彼らの叙情的な世界観をより一層深めていく。 ステージを締めくくったのは、ニューアルバムの表題曲「ALMA」。この曲のタイトルは、チリに建設中の巨大電波望遠鏡の名前であり、スペイン語で"心"、"魂"、"愛しい人"という意味を持つ言葉だそう。 「ALMA電波望遠鏡が完成すると、宇宙の生まれたての姿を観測することができると言われているんです。本能だけでなく、人間として生きていることを実感できることは素晴らしいし、自分がどこから来て、どこへ行くのかを考えるのはとてもロマンのあることだと思う。隣の人を嫌ったり、戦争をしたりしていたら勿体ない。そういう想いを持ったから、今回のイベントに参加しました」(オオキノブオ/Vo&G)。

遥か彼方で地球を見守る宇宙のように、彼らの奏でるメロディーが会場を優しく包み込む。今ここで共に生きる喜び、それを私たちに体感させるパフォーマンスを魅せてくれた。

続いての登場は、キヨサク(MONGOL800)を中心とするセッション集団、The NO PROBLEM's 。この日の構成メンバーは、ATSUSHI(Dancer)、画家の大城英天、木下航志(Key&Cho)、四家卯大(Cello)。 ATSUSHIの身体に大城英天がペインティングを施して、ライブが幕を開ける。MONGOL800の「blue blues」でキヨサクの切なく温かな歌声が響き渡ると、それに呼応するかのようにATSUSHIが憂いをダイナミックに表現。一瞬にして、会場が静寂に包まれる。 「演奏中に聴こえてくる筆の音や、ダンスの足音も面白い。そんな五感すべてで感じ取ることのできる何かを表現したい」というキヨサクの言葉通り、さまざまなフィールドで活躍するアーティストたちが即興でステージを創りあげる、これが彼らの醍醐味だ。

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「今日来てくれたエネルギーが、ひとつでも命を救えたら。自分にできることは何だろうと、それぞれに考えてもらえたらって思います。でも、無理せずにいい感じでやれたらいい」(ATSUSHI)。 彼らの伸びやかな感性から紡ぎ出されるパフォーマンスは生命の賛歌となり、一人ひとりの心に美しい花を咲かせたに違いない。

写真で、映像で、踊りで、そして音楽で。さまざまな角度から、それぞれが想う「生命力の素晴らしさ」を私たちに届けてくれた「POWER of LIFE photo exhibition & Live in YOKOHAMA」。約100年もの間、人類の繁栄の歴史を見つめ続けてきた赤レンガ倉庫という空間で、命について共に考えるイベントが開かれたことも、もしかしたら必然的なものだったのかもしれない。 「今後はアスリートともイベントでコラボレーションしていきたい」とATSUSHIさんは語る。POWER of LIFEの活動から、これからも目が離せない。

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ATSUSHI
1996年にダンスを始め、クラブ等でイベントに出演。2001年よりDragon Ashのサポートメンバーとして、すべてのPV、ライブ、ツアーに出演。2003年Dragon Ashに正式加入、振り付けも担当している。2006年からは、ソロダンサーとして国内外で活動開始。ソロのステージではさまざまな動きを取り入れ、Dragon Ashで見せる踊りとはまた違った表現をおこなう。ジャンルや枠にとらわれない、身体を活かしたダイナミックな踊りを信条とし、今日のダンサーの在り方を変えることを目指している。
POWER of LIFE http://poweroflife.jp
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ACIDMAN
1997年結成。オオキノブオ(Vo&G)、サトウマサトシ(B)、ウラヤマイチゴ(Dr)からなるスリーピースロックバンド。2002年、アルバム『創』でメジャー・デビュー。「生命」をテーマにした壮大な詩世界と、あらゆるジャンルの音楽を取り込み「静」と「動」を行き来する幅広いサウンドに定評がある。今年12月1日(水)には、1年4か月ぶりとなる8枚目のアルバム『ALMA』 をリリース。来年2月、Zepp Tokyoでの公演を皮切りにライブツアーを開催し、5月1日(日)には3度目となる日本武道館公演が決定している。
オフィシャルサイト http://acidman.jp
モバイルファンサイト http://acidman.mobi/
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『ALMA』
ACIDMAN
EMI Music Japan
¥2,800(税込/発売中)





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「POWER of LIFE」オリジナルTシャツ販売中
会場でも販売していたkurkkuのプレオーガニックコットンを使用したTシャツは、kurkku online shopでもご購入いただけます。その利益は寄付と「POWER of LIFE」の運営費用となります。


(撮影・岩下秀徳 取材と文・編集部)



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