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〜代々木VILLAGE by kurkku オープン記念企画〜 (1)

日常の延長線上にあるGREAT ESCAPE
〜代々木VILLAGE by kurkku オープン記念企画〜 (1)

data : 2011.11.22category : 代々木VILLAGE

2011年11月18日にオープンした「代々木VILLAGE by kurkku」。総合プロデューサーには、小林武史とともに音楽プロデューサーの大沢伸一が名を連ね、施設全体の基本コンセプトに意見を加えるとともに、上質な"音"を提供する「MUSIC BAR」をプロデュース。トータルデザインディレクションと「code kurkku(コードクルック)」のインテリアデザインは気鋭のインテリアデザイナー・ワンダーウォール片山正通が担当。メインレストランとなる「code kurkku(コードクルック)」のフードプロデュースは、京都で最も予約がとりにくいといわれているイタリアンレストラン「イル・ギオットーネ」オーナーシェフ笹島保弘が手掛ける。さらにプラントハンターと呼ばれる花・植物生産卸業"花宇"5代目、西畠清順がその個性豊かな庭園を全面プロデュースしている。 この、前代未聞の空間を創りだした5人のプロデューサーが、オープン前夜に一堂に会しそれぞれの想いを語り尽くした。

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5人でバンドを組んでいるようなチームワークだった

始まりは、小林武史×大沢伸一

小林 この5人がこうして代々木VILLAGEオープン前夜に集まれたというのも、すごくエポックな話だね。

一同 そうですね。本当に。

小林 代々木VILLAGEが出来るまでには、本当にたくさんの人が関わってくれたんだけど、最終的にはこの、ある意味突出した5人で仕上げられたということが、僕は本当によかったと思っているんです。バンドみたいなチームワークだったと僕は思っているんですけどね。それぞれが好きにやっていて、そのクリエイティビティのある魂が居場所を求めていて。やっと、居心地のいいところを見つけてそこに巣を作ったらこんなことになった、という感じです。
一番始めの、大きな始まりとしては、僕と大沢くんのひょんなやりとりからなんだけどね。ちょっと落ち込んでいた大沢くんに、「最近、元気ないじゃん」と声をかけたところから。

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大沢 そうそう(笑)。正直、僕はあの頃落ち込んでいたんです。そろそろ経済的な負荷を一番大好きな音楽からちょっとづづ抜いてあげないといけないなと思っていて。そんな時期に、小林さんと出会って話を聞いてもらって。そしたら「じゃあそのためになにか具体的なことをやっているの?」と言われたんです。でもその時僕はまだ何も動き始めていなかった。

小林 それで大沢くんが「お店とかやってみたいんですよね。プロデュースとか。」と言ったんだよね。その時にハタとね、代々木の案件が思い浮かんだ。既にkurkkuが代々木で何かをする、という話は持ち上がっていたんだけど、立て始めたプランに何かが足りないと思っていたんですよ。新しいものが生まれるワクワク感のようなものがね。そこに大沢くんの存在が、なんだかぴったりはまった。

大沢 夢というか、展望として、40代でなにかそういう音楽とは違うことを......、音楽にまつわることかもしれないけれど、音楽そのものではないものに、自分の美意識とかを転嫁させて、なんかやれればいいなと思っていたので、小林さんのご提案に二つ返事でOKしたんですよね。お店のプロデュースなんてやったことのない素人なのに(笑)。

小林 始めのうちは週一くらいでミーティングをしていたんだよね。

大沢 結構、頻繁に、重いミーティングをしていましたよね。

小林 そう、定例でね。他の関連企業の方々なども交えてね。 大沢くんと今回のプロジェクトを進める上で安心できたのは、発想に極端な部分もあるけれど的を外しているようなことはなかったし、直すべき部分はちゃんと修正しながら進めてくれるんだよね。まあ、それはミュージシャン気質とも言えるのかもしれないけれど。すごく建設的なミーティングが続いていったんですよ。 最終的には笹島くんや片山さん、清順くんが入ってきてから色々と決まったけれど、大きな意味での代々木VILLAGEというものの器の在り方というのは、この段階で僕と大沢くんで固めたものから、最後までブレなかったですね。レストランはもちろん、いい音楽を鳴らせる場所が欲しいとか、コンテナを生かすというアイデアとかね。

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3.11を越えて、改めて在り方を考えた

小林 それで、しばらくしてから、残りのメンバーが揃ってくるわけですけれど。大沢くんが片山さんを紹介してくれたんだよね。

大沢 僕、このプロジェクトの話をもらった段階でも一度、片山さんのお名前は出しているんですが、その時には別の企業がオーガナイズとして入っていたような事情があって諦めていたんです。でもいろいろあって、最終的にはやはり片山さんにお願いしよう、ということになった。それが今年の5月くらいのことでしたっけ。常識的に考えて無理なスケジュールではありましたが、結果的には非常によかったと思っています。

小林 そう。代々木VILLAGEは、当初は今年の5月くらいにはオープンしている予定だったんですよね。みんなそのつもりで進めていて。でも、とある建築家にコンテナの内装を頼んだ時に、このコンテナの、引いては代々木VILLAGE全体のデザインの在り方、みたいなものについて色々と指摘されたんです。

そこで、自分でも納得のいくものになっていないんだなということに改めて気付かされて、一度、オープンの時期を遅らせていろいろやり直してみようということになったんです。もちろん、スタッフ一同、同意のもとにね。 そうこうしている内に、3.11が来てしまった。あの時はみんな、それどころじゃなくなったでしょう? 僕たちはap bank としてすぐに被災地にかけつけて、ボランティアを募集、派遣するということを総力をあげてやり始めていたし、世間的にもみんな、ありとあらゆることが一旦止まったよね。 みんながボランティアとか、節電とか、国の未来を考えるということを意識し始めて、ちょっといい加減なことがしにくい時期にもなったと思うんです。何かをするなら自分のためより、日本のため、というね。 でも僕は、こんな時期だからこそ、この代々木VILLAGEを形にしなければいけないんだという想いがふつふつと湧いてきたいたんです。新しいことを起こそうというね。そんな時期に、「小林さん、代々木VILLAGEのデザインのことなんですけれども......」と、大沢くんから片山さんの名前がでてきたんです。

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大沢 その頃、デザインのことではあれやこれや考えていたけれど、3.11の後はなおさら、このまま中途半端なまま進めても、中途半端な成功しかないなという思いが強くなったんです。何を持って成功と呼ぶのかは実は分からないけれど、間違いなく経済的なことじゃないと思うんですよ。そこが目標を到達することはもちろんですが、それ以上に、何を残すか、いや、何を起こすかということだと思ったんですね。それには、この代々木VILLAGEというところの魅力を完璧なものにして、僕ら自身が満足できるものにもっていかないと、やる意味自体が薄れてしまうんじゃないかという話を小林さんとして。それならデザインも完璧にしたいと思って、改めて片山さんにお願いしたいということになったんです。

片山 そうでしたか。今のお話を聞いて初めて知ったことも色々とありました。今回このお話を頂いてから、気持ち的には「お断りしよう」とは一度も思わなかったのですが、スケジュールや状況的なことでは、ある意味、すごく難しい条件があるお話でした。




その中でも一番はスケジュール。「え、本当に今年にオープンするの?」というね。それでも、いい意味でそれを言い出せないムードと、同時に、いいものを創りだそうとしている気持ちをすごく感じたので、そこに自分も参加させていただきたいという気持ちが強くあったんです。僕は普段からいい意味で比較的難しい方と仕事することが多いんですが、また来たなと(笑)。今回はまた際立ってややこしい方々(笑)と仕事することになったなと思い、これはものすごく面白い事になりそうだなという予感だけでスタートに踏み切ったという感じです。
始めから小林さんは「今年やらなければだめだよ」と仰っていて、そこに迷いが全くありませんでした。既に第4コーナーを過ぎている状況だけれど、巻きで進めましょうという話をしたんです。

小林 それでもけっこうダイナミックな提案をいただいたよね。

片山 物理的に施工というプロセスもありますので、本当はもう少し時間が欲しかったですが、そういう時間はなかったですね。そこまでの数少ない打ち合わせから、僕が感じたものをぐっと凝縮してお出しするということが必要だと思いました。 今回はデザインをするという感じよりも、「この場所を創る」という気持ちが強かったですね。僕は「GREAT ESCAPE」という言葉をリリースでも使っていますが、代々木のど真ん中にそういうムードが生まれたらいいなと。

小林 そこで清順くんを連れてきてくれてね。

片山 たまたまこのプロジェクトの話を頂く少し前に西畠くんと知り合って、何か一緒にやろうよと言っていたタイミングだったんです。それも運命的だったなと思っているんですよ。僕は彼と会ってから、植物というもののイメージががらりと変わったんですね。植物でありながらすごくROCKを感じるイメージで、今回のプロジェクトとぴったり合うんじゃないかなと感じました。

小林 片山正通という人は、ある種シャープな、都市が好きで人工的なものが得意な人間ですよね。大沢伸一という人もそうだと思うんだけれど。そこからボールがころころっと清順くんのところに転がって、有機的な植物という、ある種、僕が持つ生のグルーブとかニュアンスみたいなところに繋がりだす、という感じがしましたね。この辺りから本当に面白くなってくるんだけれど、まあ、清順くんの話はあとでたっぷりしよう(笑)。
片山さんのすごいなと思うところはね、例えばbarの設計ひとつとっても、入って右側にカウンターがあって、奥がこれより浅くてもいやだし、でもこれ以上遠くてもスピーカーが遠いしという、本当に絶妙な間というか、尺のとりかたがね、もう本当にすごいんだよね。

片山 でもそれは、僕だけの力じゃなくて、こういういい仕事ができる時って、不思議と魂が形を作っていってくれることがあるんですよね。




片山 例えばエントランスはいってすぐの階段も、もともとあった階段の位置を利用しているんですが、出来上がったものを見ると結果的にはなんかすごいいい位置にあるなあ、とかね。

小林 いや、でもそれは結局いい部分を残したからなんだよ。だってダメなところは直したじゃない。えー、今からやるの? それにいくらかかるの? なんていいながら(笑)。そこは最後まで譲らなかったじゃない(笑)。

片山 ははは(笑)。でも、直した方がよくなるとわかっているのに妥協するのは恩返しにならないと思ったんですよ。もちろん費用のことはありますけれど、「これは絶対にやらないと後で後悔する」という部分は正直に伝えた方がいいと思って。でも、最終的にはよい感じになっているんじゃないかと思います。

小林 本当にそう思うよ。

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600坪を越える敷地を持つ代々木VILLAGE by kurkku。カフェやベーカリー、旅行会社など9店舗が入るコンテナゾーンと、レストランやミュージックバーのあるビレッジゾーンがある。
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小林武史
(代々木 VILLAGE by kurkku / プロデューサー)

Mr.Childrenをはじめ、サザンオールスターズ、レミオロメンなど、数多くのアーティストのレコーディング、プロデュース、作・編曲、ライブ演出などを手がける。 映画「スワロウテイル」(1996)、「リリイ・シュシュのすべて」(2001)、「地下鉄に乗って」(2006)など手がけた映画音楽も多数。 2003年には櫻井和寿と一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、環境プロジェクトなどに対する融資のほか、2005年からは野外音楽フェス"ap bank fes"を静岡県つま恋にて毎年開催、2010年には、農業事業を実践する法人として「株式会社耕す」を設立するなど、活動の幅を広げている。

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大沢伸一
(代々木 VILLAGE by kurkku / プロデューサー)

'93年のデビュー以来、MONDO GROSSO、ソロ活動を通じて、革新的な作品をリリースし続けている音楽家、DJ、ミュージシャン、プロデューサー。ソロ名義で発表したアルバム『The One』('07)は、英Southern Fried/米Dim Makからもリリースされている。'09年には、国内外のリミックス・ワークをまとめた『TEPPAN-YAKI』を、日英でリリース。2010年6月リリースのアルバム『SO2』収録曲「SINGAPORE SWING」が世界的クラブヒットを記録し、今年7月にはそのヒット曲をタイトルとしたPaul Chambersとのコラボアルバムをリリースした。
official site:http://www.shinichi-osawa.com

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片山正通(Wonderwall)
(代々木 VILLAGE by kurkku / トータルデザインディレクター、「code kurkku」インテリアデザイナー)

2000年、自身のオフィス・ワンダーウォールを設立。クライアントのコンセプトを具現化する自由な発想、また伝統や様式に敬意を払いつつ現代的要素を取り入れるそのバランス感覚が、国際的に高く評価されている。主なプロジェクトは、BAPESTORE®/*A BATHING APE®各店、ユニクロ海外旗艦店(NY,パリ,ロンドン)、NIKE原宿、colette(パリ)、PASS THE BATON(丸の内,表参道)、DEAN&DELUCA(六本木, 名古屋他)、ピエール・エルメ・パリ青山、2011年5月にオープンしたホテル、ザ・リッツカールトン・香港のメインバーOZONEなど。2011年4月、武蔵野美術大学空間演出デザイン学科教授に就任。作品集「WONDERWALLARCHIVES 01」(パルコ出版)が発売中。
official site:http://www.wonder-wall.com

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笹島保弘
(代々木 VILLAGE by kurkku / 「code kurkku」フードプロデュース)

1964年大阪府生まれ。高校卒業後、サービスに魅せられレストランの世界へ。 フジテレビ「料理の鉄人」では、初の東西イタリアン対決も経験。2002年、"京都発信"のイタリアンを目指し、オーナーシェフとして「イル・ギオットーネ」を開店。3年後には東京に「イル・ギオットーネ 丸の内」を開店。2007年、イタリア・ミラノで開催された料理サミット「イデンティタ・ゴローゼ」に日本人として初参加し、ジョルジオ・アルマーニ氏主催のチャリティーディナーに料理人として参加。2008年、京都、鴨川沿いに「イル・ギオットーネ クチネリーア」、2010年京都、烏丸に「トラットリア バール イル・ギオットーネ」を開店し、全4店舗を展開している。現在、テレビ・雑誌などのメディアでも活躍中。
official site:http://www.ilghiottone.com

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西畠清順
(代々木 VILLAGE by kurkku / 植物卸屋)

植物卸屋。幕末より続く、花・植物生産卸業 "花宇"の五代目として生まれる。 日本中はもとより世界中を駆け巡って集めてきた植物は、数千種類。植物に関するあらゆるプロジェクトに応え、日々提供し続ける植物たちはさまざまなシーンで世の中を彩っている。"花の奇跡を信じない人はみてもしょうがないブログ" が好評。 ジャンルを超えて支持されるその仕事はいままでになかった切り口で植物の可能性を伝え、植物そのものの発見と、その魅力の再発見にも尽力している。 著書に"プラントハンター 命を懸けて花を追う"。
official site:http://blog.hanau.jp



(撮影/中野幸英、取材・文/編集部)


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