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Bank Band

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ついさっきまで燦々とフィールド照らしていた太陽が、穏やかな速度で西に沈みはじめ、空に淡い橙色をつけている。本当に暑くて熱かった、3日間が終わりに近づこうとしていた。今年のap bank fesの大トリを飾るBank Bandが、静かにステージに現れる。この国で生まれ、この国の音楽シーンを彩り、育み、豊かなものにしてきた様々な"聴き継がれるべき名曲群"。それらを生んだ制作者と楽曲そのものの魂を継承し、新たな音楽の息吹を捧げるために集結した、総勢14名のミュージシャンたち。音楽が人と人をつなげ、その連鎖が大きな何かを生んでいく ――。それこそが、Bank Bandの、そしてap bank fesの核心であることを証明するライブがはじまった。アタック感の強さを押し出したサウンドと、第一声からあらん限りの力を尽くすような櫻井のラップを含むボーカリゼイションが際立つ1曲目「有心論」(RADWIMPS)。ファンキーなグルーヴでフィールドのダンス欲を煽る2曲目の「ステップ!」(RCサクセション)。熱情的なロック・サウンドで、人生における不条理と憤りを燃やしていく「遠い叫び」(仲井戸麗市)。このステージに臨むBank Bandの情熱と覚悟がひしひしと伝わってくる。櫻井が口を開く。「まだまだライブは終わってないけど、ホントにありがとう。久保田(利伸)さんが言っていたとおり、ホントにいいお客さんだと思う。最高!」。そこからメンバー紹介を挟んで一転、日替わりの4曲目「慕情」(サザンオールスターズ※1日目は「糸」/中島みゆき、2日目は「緑の街」/小田和正)で身を焦がすような叙情性を紡ぐ。さらに肉体労働者の視線で汚染されていく街と人間の心を映し出す「煙突のある街」(真島昌利)と、文学的な筆致で不穏な気配に覆われた現実と未来への願いを描く「僕と彼女と週末に」(浜田省吾)へとつながれていく。この2曲の連続性からくる、強烈なリアリズムは、ライブを一層重厚なものにした。市井に生きる僕らが、この暮らしと未来を守るために目を逸らさずに直視しなくては、乗り越えなくては、想像しなくてはいけないこと。こうして、時代の波に消費されることのない音楽は、時空を超え、その生々しさを損なうことなく僕たちに、リスナーに、問いかけ続ける。「ハートビート」(GOING UNDER GROUND)でふたたび陽性のグルーヴを解放したバンドは、今年のap bank fesの精神的支柱にもなった「若者のすべて」(フジファブリック)へ。茜色の空に掲げるように、フジファブリックのバンドタオルを掲げる男性の姿が見える。そうだ、こうして音楽は様々な形で生き続けるのだ、と強く噛み締める。本編ラストは、「Reborn」(Syrup16g)。五十嵐隆が綴った言葉の一語一句を、Bank Bandのサウンドに乗せて櫻井が噛み締めるように唄っているという目の前の光景がまた、何にも奪われることのない音楽の生命力、そのすばらしさを顕していたように思う。そして、アンコール。「歓喜の歌」(遠藤賢司)を大地に返すように響かせ、オーラスはやはり昨年誕生したBank Bandのオリジナル曲「奏逢〜Bank Bandのテーマ〜」だった。最後の力を振り絞るように2つのステージをまたがって、全力疾走しながらフィールドに向かってメロディを放つ櫻井。それを受け止めたオーディエンスたちは、ある者は思いっきり飛び跳ね、ある者は友人や恋人や家族とともに身体を揺らし、ある者はフィールド後方から少しでもステージに近づこうと駆け寄ってくる。やがて、この日出演した ほぼすべてのアーティストがふたたびステージに登場。こうして、今年のap bank fesもまた、そこにいるすべての人の生気と音楽愛が共鳴し、循環することで生まれた多幸感に包まれながら、その幕を降ろした。音楽を愛するみなさん、また必ず会いましょう!
(三宅正一)

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