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2009年6月24日

「農業が作る未来」前篇

今年、ap bankは石垣島で初めての米作りをしました。なぜ、ap bankが農業? なぜ、石垣島? 田植えと稲刈りを経験した小林武史に、農業についての思いを聞いてみました。


◆実感を求めて、農業へ

農業って大事だな、ということは数年前から思っていたんです。
なぜなら「食べること」は生きていくうえでの基本だから。
動物でも植物でも、人間は何かの命をもらうことで、
生きていくことができるんですよね。
もっと言うと、社会のつながりは、
命とかエネルギーの循環でできています。
経済だって、交換とか循環のあらわれであるわけで、
だからこそ、大事なつながりが見える社会になっていくといいな、
と思うんです。

ここのところ、不況ということもあって、
世の中が閉塞的になってきているのは間違いなくて。
多くの人がリアルな感情から遠ざけられているんじゃないかな。
でも、本当は、実感を持つチャンスは
たくさんあるんだと思う。

今回、縁あって、石垣島で米作りを経験することができました。
といっても、僕自身は、
2月に田植え、6月に稲刈りに行ってきただけで、
あとは地元の農家の方が日々の面倒をみてくださって。
でも、ささやかなその経験が、
本当に楽しくて、感動したんですよ。

発見もたくさんあったし、とにかく喜びに満ちた出来事で、
農業への思いを、強く、あらたに持ちました。


◆田植えと稲刈り

田植えについては、泥の感触、
苗を手に持ったときの感覚とか、
東京に戻ってからも、不思議なくらい、
ずっと手に残っていたんですよ。
それはリアルな経験だった。

それから4ヶ月経って、6月に稲刈りに行ったわけですが、久々に自分が植えた田圃の前に立ったとき、とにかく黄金色の稲穂が奇麗で、胸がキュンとなってしまった。

今回、僕が立ち会ったのは、
田植えと収穫という、
農家の方たちが繰り返しているサイクルの、
始まりと終わりのポイントに過ぎないんだけど、
やる気になりましたね。
言葉にはしなかったけれど、静かに燃えるものがあったんです。


◆農作業と音楽

稲刈りには大塚 愛さんとSalyuの二人が
参加してくれました。
彼女たちと一緒に経験できたというのも、
よかったと思います。

最初はみんな、鎌を使って、
手で稲を刈っていったんですよ。
列になってね。
みんな同じだったのかもしれないけれど、
鎌で稲を刈るときの「ジャクッ」という音が
途中から気持ちよくなってきたんですよね。
そこは自分もミュージシャンだから、音にはまりだして。
「これ、サンプリングしたらどうなるんだろう」
とかね(笑)。

打楽器的に、どういう打面に近いんだ、とか。
考えると、何にも似てないんだよね。
打楽器の音とも違うし。
やっぱり切る音って、独特なんだなと思った。


◆アーティストの感想

くわしくはまた、これからeco-reso webでも
鼎談を掲載すると思うんですが、
少しだけ話しておくと、二人ともやっぱり感受性が豊かで。

Salyuは「稲を刈るときのサウンドの衝撃が大きかった」
と言ってましたね。
「日常音であるはずなんだけれど、すごく心に入ってくる音だ」
「空気の香りもそうだし、ジャクッていう、
手に伝わってくる振動とかが、自分にとっては新鮮で、
気持ちのよいものだった」とか。

大塚さんは
「刈りながら、生命力が湧く作業なのかなって思いました」
と言っていたのが、印象的だった。
二人ともシンガーで、身体を鳴らしてる人たちだから、
掴みかたがわかってるんだね。

コンバインに乗って刈り入れをしましたコンバインに乗って刈り入れをしました後半は、コンバインを使っての刈り入れも教えてもらって、僕たちも、ap bankのスタッフも、みんな乗ったんだよね。
最後にカメラマンの浅田政志くんが乗って、すべてを刈り終わったときには、思わず拍手してしまった(笑)。

ときどき、みんなで集まって会社でもバーベキューを
やったりして、それも楽しいんだけれど、
農作業で集まると、ただ飲んで楽しいだけとは違う、
親密な感じになるんだよね。

農作業は、一人で黙々とやっていると、孤独だけど、
みんなで役割分担をすることで、
共同作業ならではの信頼感が生まれるのかもしれないな。

(撮影/浅田 政志 構成/eco-reso web編集部)

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