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2009年7月30日

お米プロジェクト 第5回「石垣でつくったお米が『石垣島米』になるまで」

「ap bankお米プロジェクト」のレポート最終回。ついに収穫、でも「刈ったら終わり」じゃないんです!

◆ いよいよ収穫。

6月のある朝。東京はまだ真冬だったころに植えたお米を、とうとう収穫します。朝早く田んぼに到着し、黄金色に揺れる稲穂を見るなり、小林も思わず「おぉーっ!」と声を上げます。今回の稲刈り作業には、大塚 愛さんやSalyuさんも参加してくださいました。手順を簡単に説明し、一斉に刈り取り作業のスタートです。

実がしっかり実った稲穂実がしっかり実った稲穂まずは、稲刈り用の鎌で、手作業で刈っていくという、昔ながらの方法を体験。鎌の扱いはちょっと心配したのですが、皆さんすぐに慣れてしまって、やがてリズミカルな音をたてて、どんどん前に進んで行きます。ある程度手作業を終えると、こんどは、コンバインでの刈り取りにも挑戦しました。

小林 「コンバインって、どんな機械なんだ?」
豊増 「4つの機能が合わさって(コンバインされて)いるから、
   コンバインなんです」
小林 「そのまんまだな」
豊増 「はい。そのまんまです」


脱穀後の稲穂。実がすっかり落ちています脱穀後の稲穂。実がすっかり落ちています......という説明のとおり、コンバインは、

・刈り取る
・脱穀する
・脱穀した籾(もみ)を
 タンク(または籾袋)に詰める
・稲藁(わら)をカットする

という複雑な工程を1台でやってのける、すごい機械です。そんなコンバインを使って、3時間ほどであっという間に収穫を終えました。


◆ 収獲されたお米が、fes会場に届くまで

稲刈りを終えて、ほっとするのもつかの間。収穫を終えたお米が、お米としてちゃんと出荷されるまでには、まだまだ、やることがたくさんありました。

1. 生籾を乾燥させる
2. 籾すりを行い、玄米にする
3. 30kgずつ紙袋に詰め、検査場に運び、検査を受ける
4. 検査に合格したものだけが、出荷される
5. 石垣島から、精米工場へ約1週間かけて運ぶ
6. 精米工場に届いた玄米が、白米に加工される
7. fes会場に届く

こんなに!!


◆ 乾燥

乾燥後の籾。収穫後、籾はすぐに乾燥させます乾燥後の籾。収穫後、籾はすぐに乾燥させます収穫を終えた私たちは、ダンプカーいっぱいの籾を載せて、すぐに乾燥所へ向かいました。刈り取ったばかりのお米は「生籾」といい、これをすぐに、専用の乾燥機で、水分量15.1%まで乾燥させるのです。農協に出荷する場合は、ライスセンターやカントリーエレベーターという巨大な設備で全てやってくれるのですが、今回は生産者から直接購入するお米なので、そうもいきません。個人用の乾燥機を使って実施します。


◆ 籾すり

これが籾。お米を殻のようなものが包んでいます。殻の表面には目に見えない毛がチクチクこれが籾。お米を殻のようなものが包んでいます。殻の表面には目に見えない毛がチクチクお米は、稲穂から収獲した段階では、「籾」と呼ばれています。外側に殻のようなものがついていて、この殻を剥がしたものが、玄米です。玄米にするために、籾の殻を取る作業を、「籾すり」と言います。

これが玄米。殻がとれたものです。この状態で流通しますこれが玄米。殻がとれたものです。この状態で流通します実は、石垣島には、個人用の籾すりを行う業者がありませんでした。そんなわけで、なんと私たちは、約1トンの籾すり作業を、すべて家庭用の精米機で実施することに。およそ20時間かけて、収穫されたお米は、なんとか「玄米」になりました。


◆ 検査

JAのライスセンター。JAのライスセンター。さて、今回最も心配だったのが、検査。収穫したお米は、玄米にしただけでは出荷できません。30kgずつの紙袋に詰め、「検査」を受けてはじめて、「石垣島産 ヒトメボレ新米」として認められ、出荷できるようになります。籾すりが終わった翌朝、私たちは玄米をすべて、JAのライスセンターに運びました。

検査の様子。紙袋にブスッと刺して、お米のサンプルを抽出します検査の様子。紙袋にブスッと刺して、お米のサンプルを抽出しますそこで、「等級検査」、「色検」とよばれる検査を受けます。等級検査は、お米の粒の大きさ、揃い具合を検査するものです。色検は、文字通り、お米の色を検査します。

ナイフではありません。検査に使われる器具。お米が50gほど入るようになっていますナイフではありません。検査に使われる器具。お米が50gほど入るようになっています私たちのお米は、減農薬米で、農薬を普通に使用したお米と比べると、粒の大きさは不揃いでした。また、家庭用の精米機を使用したために、玄米の中にはまだ、若干の籾くずや青籾が混じっています。

これは水分量を測る機械。今回は16.1%とやや高め。17%を超えると出荷できませんこれは水分量を測る機械。今回は16.1%とやや高め。17%を超えると出荷できませんこうした籾くずや青籾なども、白米に精米される段階で、最終的にはすべて取り除かれます。だから、品質としては問題ないといえば、ないのですが、検査のルールでは、玄米の段階でこうしたくずが一定以上混じっていると、「等級外」とみなされ、出荷できなくなってしまいます。いくらおいしいお米でも、形や色が揃っていないと、流通しないのです。果たして、検査に合格するのか?


◆ 石垣島米、石垣島を出る。

検査に合格したお米。合格印と封印シールが貼られます検査に合格したお米。合格印と封印シールが貼られますなんとか検査に合格し、いよいよ石垣島から出荷です。検査済みのシールの貼られたお米を積んで、あらかじめ手配しておいた運送会社へ。

無事に検査を終え、港へ向かうお米たち無事に検査を終え、港へ向かうお米たち石垣島から、東京まで約2500km。この距離を船で運びます。船のコンテナの中では、温度が70度ちかくになるそうで、玄米の劣化を防ぐために、10℃の低温コンテナで運ぶことにしました。

手間暇かけてようやく出荷できるようになったお米を、一袋一袋、丁寧にコンテナに積み替えます。このお米たちは、明日、石垣港を出発します。


◆ 生産と消費が繋がることで、生まれるもの

低温コンテナにお米を積み終えたとき、大濱さんはこう言いました。

「ほんとうに、ありがとう。」

ありがとう......? 
大濱さんは、「今回、ap bankのお米づくりを引き受けたことでとても勉強になったよ」と、繰り返し言います。もう何十年もお米を作っていますし、米作りには自信があります。もちろん、天候に左右はされるけど、天気を読み、機を逸せずに対策を打つことはできる。農協に出荷すれば100%一等米です。そういう生産者でした。

だけど、大濱さんにとって、「買ってくれる人」が目の前にいるところでお米を作るという、独特のプレッシャーは、今まで経験したことのないものでした。今までとはちょっと違う責任感、と言います。多くの稲作農家は、自分の作ったお米が、どこの誰に食べられているかを知ることはありません。大濱さんも、そうした農家の一人でした。

「ap bank fesの会場で、このお米を食べてみて、もし、おいしかったら、電話をくれないか」別れ際に、大濱さんはそう言いました。

農家から直接お米を仕入れることで、私たちには当然、「顔のみえる」安心感があります。同じように、生産者にとっても、私たちの顔がみえることに、大きな意味があるようでした。

ap bankの、はじめてのお米づくり。
自分たちで何から何までやったとはとても言えないけれど、

「まずは、生産から消費まで、しっかり見届けてみよう」

そう言って、はじめたプロジェクト。
ひとまず、石垣島編はこれで終了です。

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