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2009年7月16日

「大塚 愛×Salyu×小林武史 石垣島で稲刈り」【前篇】

音楽の原点には、農業がある

6月はじめのある日。
日本で一番早くお米が収穫できる場所、石垣島でap bankが田植えをした田圃の稲刈りがおこなわれました。
参加したのは、音楽プロデューサー・小林武史、大塚 愛さん、Salyuさん。
全員が初めての稲刈り、
大塚さんとSalyuさんにとって初めての農業体験は、
どのようなものだったのでしょうか?

◆稲の美しさ

小林武史 最初に何よりもまず言いたいのは、この若いお嬢様方への感謝です(笑)。本当に、よく来てくれたよね。

Salyu いえいえ、こちらこそ声をかけてくださってありがとうございました。
本当にインパクトのある体験ができました。

小林 僕は田植えもしたけれど、ここを訪れたのはその時以来で。
稲の美しさとは違う、黄金色の稲穂が一面に波打っている様子を見た瞬間、
胸がキュンとなりました。
田植えから始まって、収穫で終わるというサイクルを
農家の方は繰り返しているんですよね。
今回、僕たちが立ち会わせてもらったのは、
始まりと終わりだけなんだけど、さらにやる気になりましたね。
稲穂を前にして、実は静かに燃えるものがあったんです。

◆音の気持ちよさ

小林 今日は、まず鎌の使い方を教わって、
ともかくジャンジャン刈っていたら、
みんなそうかもしれないけれど、
音が途中から気持ちよくなってきたんだよね。
鎌で稲を刈るときに「ジャクッ」という
独特の音がするでしょう? 
やっぱり音楽を仕事にしているせいか、音にはまりだして。
「これ、サンプリングしたらどうなるんだろう」とかね(笑)。
打楽器的に、どういう打面に近いんだ、
とか考えたけど、何にも似てないんだよね。
打楽器の音とも違うし。
切る音って独特なんだなと思った。

Salyu 私も、そのサウンドの衝撃は大きかったです。
日常音であるはずなんだけれど、自分にはその音を聞いた経験がなくて。
そういう意味では初めて聴く音なのに、すごく心に入ってきました。
体感というのでしょうか。
稲を刈った瞬間の 空気の香りもそうだし、
手に伝わってくる振動が自分にとっては新鮮で、
気持ちのよいものでした。刺激的でしたね。

小林 二人はシンガーで、身体を鳴らしている人たちだからね。

Salyu 共鳴には敏感ですよね。
響きが伝わってくるのは気持ちよかった。
だから音楽的な作業にもなったかと。

大塚 愛 私は初めての経験で、「手を切らないだろうか」とか、本当に心配だったんです。でも、不思議なもので、感覚的に「ここまでの力でいいんだ」とか、わかるんですね。

Salyu そうだよね。
あと最初、スタートラインにたったときに、「無理」と思ったんです。
だからこそ、「自分はうまいな」と信じて、
励ましていかないと続いていかないな、って。
好奇心を出していたら、そのうちに慣れた感じはありました。

小林 ゴールが一番早かったよね。

Salyu 早かったでしょ。
今日のメンバーで、自分が一番できないと思ったからこその頑張りです。

◆音楽との共通点

大塚 今日、経験したのは本当に
一部の一部だったんですけれど。
音楽と農業、ジャンルは違えど、
何かを一から作ってゴールして、
それを商品にして売る――
という過程は、同じじゃないかな、と感じました。
音楽を作るときも、私は一からつくっているので。
時間と気持ちをかけた過程があってこその、最終作業。
稲を刈るというのは、過程の最後のほうにあって、
今日は音楽でいうと最後のミックス作業みたいな気がして。
そういう感覚は一緒のような気もしたんです。
できあがっていく過程をずっと見ながら、
最後、商品になってお店に並ぶまでが大事で、
自分の作ってきたものに対する愛着は、
一緒かな、と思って。

小林 本当にそうだね。彼女が良いことをいってくれたけど、
音楽も、基本的には自然にある周波数を切り取ると音階になって、
組み合わせていくとコードになって、
そのコードを組み合わせていくと、
なぜか人間の感情をなぞっていくような音ができるものじゃない。
でも、それって自然界にいっぱいあるものを使っているんだよね。
打楽器ももちろん、シンセサイザーのような
デジタルのものでも自然界のものだって、僕は思っているところがあるんです。
自然界のものの中で、エネルギーをかけて、
組み合わせて作るという意味では、農業も一緒なんだよね。

その結果、僕らにとってもっと必要なエネルギーに変えることができる。
それを僕らも取り込んでいって。
音楽も、ただ作りたいから作っている。
大塚 愛にしてもSalyuにしても、そういう生み出すものを通して、
さらにそのエネルギーが役に立つものを作りたいと思うようになる。

僕たちは、食べるという形で、
何かから命をいただかないと、
エネルギーを取りこめない。
だからこそ、取り入れたエネルギーが
もっと良い方向にいくようなことを
考えるという意味では、
僕らがやっいてることの原点に
農業があるんだろうなと思うんです。

(撮影/浅田 政志 構成/eco-reso web編集部)

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