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COOL Renovation クール・リノベーション

あらゆることに環境コンシャスな現在、建築においても安易にスクラップアンドビルドを繰り返すのではなく、「古い建物」という資源をもっとみんなに喜ばれながら再生していく方法があるのでは?建物が持つの良さを再発見し、時代の変化を見据えた新しい価値を提案する、そんな「クール・リノベーション」を訪ねる。

2010.01.05 第2回diage(中国・上海)

70年の歳月を経て、新たなる繁栄が再びよみがえった老房子(ラオファンズ)
世界各地の人々が集まり、ワインを片手に美味しい食事を楽しみ、アートを語る

©ナカサ・アンド・パートナーズ

この場所で70年を越えて、時代を見守ってきたレンガのアーチ

©ナカサ・アンド・パートナーズ

モダンアートが展示される白く静寂な空間

©ナカサ・アンド・パートナーズ

1930年代、あるスペイン人のヴィラとして上海繁栄期の租界に建てられたスペイン風邸宅。当時は華やかな社交の場となっていただろう洋館は、その用途を変えながらも70年を越える年月を時代と共に過ごし、いよいよ廃墟と化していた。
そんな老房子(ラオファンズ:歴史ある洋館)が2006年、日本人クリエイターたちの手によって、新たに、そして、再び人々が集まる場所として、命を授けられることとなった。

複合商業施設として「diage(ディアージュ)」と名づけられたその建物のコンセプトは「対話する場所」。「diage」は、文化的・時間的な対話・融合によって進化していく場所にしたいというつくり手の想いがこめられ、「相」「対」を意味する接頭語[dia-]と「状態」「時代」「場所」を表す接尾語[-age]によって生まれた造語だ。

「diage」は主には1階のレストラン、バーラウンジ、2階のギャラリー、ショップなどから構成されるが、建物全体としてのリノベーションは、単なる老房子の復元ではなく、古きよき時代の面影を残しつつ、現代の手法を交えて新しい姿で蘇えったと表現できるものとなっている。

エントランスから続くロビーは大理石や漆喰の壁、ロートアイアンなどクラシカルな素材をベースとして空間が構成されているが、その漆喰の壁を飾る絵は、プロジェクターによって映し出されたグラフィックアートだ。独特の重厚感を醸し出す1階レストランとバーラウンジの向こうには、真っ白に抜けて見える2階のギャラリーが時空の交差を感じさせる。一つ一つのディテールに表現される斬新なアイディアとセンスが全体をモダンアートのように見せながらも、その空間を支えている70年以上にわたってその姿を維持するレンガアーチの圧倒的な存在感で突然過去の空間に迷いこんだかのような錯覚さえおこしそうだ。そんな不思議なパワーがあふれる空間だ。

歴史的にも様々な文化が行き交ってきた上海の老房子で、今もなお世界各地から集まった人々それぞれのバックグラウンドと創造性が「diage」を拠点にこの上海で交わり広がっていくことになる。

【DATA】
diage
所在:中国上海市徐匯区東湖路20号
URL:www.diage.org.cn

案内人

梶原文生((株)都市デザインシステム)

1965年東京都生まれ。1992年建築・不動産コンサルティングを目的とした都市デザインシステムを創業。事業展開が難しいと言われていたコーポラティブハウスのコンサルティングで注目を浴びる。エンドユーザーの視点で、「いいもの」を創るための「しくみ」を提供しつつ、付加価値と社会的意義のある新しい選択肢を創り続ける。東北大学工学部建築学科非常勤講師。

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