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COOL Renovation クール・リノベーション

あらゆることに環境コンシャスな現在、建築においても安易にスクラップアンドビルドを繰り返すのではなく、「古い建物」という資源をもっとみんなに喜ばれながら再生していく方法があるのでは?建物が持つの良さを再発見し、時代の変化を見据えた新しい価値を提案する、そんな「クール・リノベーション」を訪ねる。

2010.03.09 第4回COI西青山(東京・西青山)

COI西青山2Fのカフェ「RESPEKT」。
床から天井までのウィンドウで感じる解放感とそこから眺められる並木に癒される空間

使われないサブエントランスがコンセプチュアルなブックストア「COOKCOOP」として再生され、並木越しにのぞける大きなウィンドウのカフェ「RESPEKT」と共に通りに彩りをそえた。

カフェ・カンパニーのオフィス。
緑が多く、ウッドのパーテーションなどほっと寛げる空間として演出されている。

渋谷の宮益坂上からほど近い築30年ほど経過したオフィスビル。地下1階地上7階建てのそのビルは、外観的にも年月が感じられ、開口部も小さく、閉鎖的な印象だった。

リノベーションでまず最初に行ったのが安全性を高めるための耐震診断だ。築年数の経ったリノベーションの場合、構造補強による安全性の確保は外せない。
室内は天井をむき出しにして圧迫感を取り去り、通りに面した壁は床から天井までを取り崩しながら壁一面の大きな開口部をつくりだした。一日の中でも長い時間を過ごすことが多いオフィスだからこそ、開放的で明るい空間が理想的だ。
ビルの顔となるエントランスはモダンなデザインでその印象を一新し、これまで使われることのなかった非常階段は2FやB1Fの店舗へと続くアプローチとしてよみがえった。

そんな時、新しいオフィスの移転先として自らがコンセプトとしている「地域に根ざしたコミュニティの再生」に見合う場所を探していた「カフェ・カンパニー株式会社」がリノベーション工事中のCOI西青山と出合い、「地域」・「再生」・「コミュニティ」をキーワードに本社を移転することとなった。
これまでカフェを中心に様々な業態で店舗展開をしてきた同社は、COI西青山の1Fにブックストア「COOKCOOP」、2Fにカフェ「RESPEKT」、B1Fにラウンジ「SECO」と3店舗を同時オープンし、その1年後にオフィスに入居することとなった。

オフィス空間は再生されたビルの中で、カフェ・カンパニーらしい内装で仕上げられ、オープンでフラット、緑も多く、選ばれた家具はリラックスしたカフェのような雰囲気を醸し出している。
そして、オフィスで過ごす時間以外にも、ランチはもちろん、打合せやちょっとリフレッシュしたい時、または仕事の帰りがけに軽く飲む・・といったそれぞれのシーンで、同じビルの下階のカフェやラウンジで過ごす時間が増え、空間的にも時間的にもより濃密なコミュニケーションが生まれるきっかけとなった。

このハードとして再生されたCOI西青山が単なるオフィスビルとしてではなく、カフェやブックストア、ラウンジといった多様な空間が共存した場となったことによって、宮益坂からの新たな人の流れ、そして、そこで過ごすそれぞれの人のライフスタイルやコミュニティといったソフト面においても再生へと促されたと言えるのではないだろうか。


(写真はすべて2006年オープン時撮影)

案内人

梶原文生((株)都市デザインシステム)

1965年東京都生まれ。1992年建築・不動産コンサルティングを目的とした都市デザインシステムを創業。事業展開が難しいと言われていたコーポラティブハウスのコンサルティングで注目を浴びる。エンドユーザーの視点で、「いいもの」を創るための「しくみ」を提供しつつ、付加価値と社会的意義のある新しい選択肢を創り続ける。東北大学工学部建築学科非常勤講師。

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