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第3回 知られざる、ジーンズ界のオキテ。2009年12月16日(水)

ジーンズ修理でよくある故障は何ですかね?

「先ほどお見せした裂けた部分を縫い合わせるものももちろんですが、
ポケットのほつれもよくありますね。ちょうどこのジーンズみたいに」

shuzen05-03-1.jpg

ぺろーんと、ポケット口からずいぶんはがれていますね。

「ジャストサイズまたはタイト目ではいている人は特に
このポケット部分も弱くなりがちなんです」

ふむふむ。ではさっそく見せていただきましょう。

まずは、ジーンズ本体のポケットが縫いとめられていた部分、
ここの生地も弱くなってきているので内側から接着芯をあてがいます。

そしてその上から、ミシンたたきで生地を補強していきます。

次は、元のようにポケットをつけていく作業なんですが、
石井さん、ポケットの生地が折り重なっている部分を
少しハサミでカット。

「このちょっとした作業をするかしないかで、
のちのちの作業のしやすさがずいぶん変わってくるんです」

ミシンでポケットを縫うときも、
ハンマーで生地をたたいてはつぶしながら進めていきます。

「もともと生地に厚みのあるジーンズは、
ポケット部分はさらに厚く重なって
ミシンのハリも通りにくくなるんです」

ところで石井さん、
ポケットのステッチもほつれているみたいなんですけど、
これもまた縫い直すんですよね?

「ここは、僕ら修理をする人間は触れないんです」

ミシンで縫えないものなんですか?

「これは、アーキュエットとも言うんですが、
このジーンズメーカー独特のステッチなんです。
商標登録もされているんですよ。
製造段階以外では、僕らでステッチを
入れなおすことはできませんね」

あー!! そうなんですか? 暗黙の了解というか、掟というか。
ほつれていれば、修理するのも当然!
程度に思っていたんですが......、無知でした(笑)。
うーん、ますますジーンズって奥が深い!

さて、ポケットはこれで縫い終わったんですか?

「いえ、最後に重要な、かんぬきミシンでの作業が残ってます」

と、石井さんこれまでの作業とは別のミシン台の前へ移動。

石井さんいわくこの作業はいつも緊張するらしく......。

「針が飛ぶかもしれませんから! 少し後ろに下がってください」

先ほどのミシン音とは比べものにならないくらいの大きな音で動きます。
そして、ある一定の場所だけを縫いとめているみたいです。

「は〜。厚みがあるせいでたまに針が折れてしまうんです。 
修理には慣れている僕でもこの作業は怖いです」

そうか、先ほどの生地をカットして備えていたのは、
このかんぬき作業のためでもあったんですね〜。
と、機械から2メートルも離れた先から見守っていた私でした(笑)。

スリリングな最後の作業を終えて、ポケット修理は完成。

shuzen05-03-2.jpg


ポケットのカド付近にかんぬきの作業のあとが。

もっているジーンズでも確かめて見てください。 
糸が一箇所に重なっている部分です。

では、石井さんの緊張も伝わってくる作業も含め
一連でご覧ください。



いや〜。ジーンズって厚みとか、風合いとか
生地独特の難しさってありますね。

「そうですね。
ジーンズの履き崩した風合いを生かして修理する作業といえば、
これなんかもそうですよ」

作業開始から
一筋縄ではいかないジーンズ修理に感心していた私に

さらなる追い討ちをかけるように(笑)

あらたな一足を差し出してくれたのでした。



次回は、芸が細かい!! 
ジーンズ好きのこだわりが感じられる修理をご紹介します!

第4回へつづく〜。

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