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修繕ばんざい

 

第5回 なんか書きづらい......の正体。2010年3月12日(金)

丁寧にインク汚れを落としたパーツを組み立てていきます。

まず、ペン先とペン芯を組み合わせて
ドライヤーで熱を加えながら互いを密着させていきます。

shuzen10_05.jpg

「ペン芯の素材・エボナイトは熱を加えると変形するんです。
インクを導く要(かなめ)のペン先・ペン芯ですから、隙間のないよう合わせることが重要です」

そして、ペンの先端・ペンポイントをルーペを使って入念にチェックします。

shuzen10_05_2.jpg

「2つに別れている先端が互い違いにずれていたり、
欠けていたりっていうのはちょっと目で見ただけではわからないです。
一見整っているようにみえても、使ってみるとなんか書きづらい。
それを避けるのは、このペン先のチェックにかかってるんですよ」

金型にプラスチックを流してパーツを作るというのが最近の万年筆生産の主流。
最後の組み立てをかろうじて手作業で行っていても、
新品の段階でペン先に不備があることもあるんだとか。

「それでも、マイスター手作りって言っちゃうんだもんなぁ(笑)」

笑いながらつぶやくこのひと言にも、川窪さんの仕事に対するこだわりが感じられます。

ペン先・ペン芯、本体を組み合わせて、完成。

と思いきや、
「まだまだ。ちゃんとインク詰まりが解消されてるかチェックしなくちゃ」

川窪さん、お湯のみに水を入れ、そこにペン先をひたします。
ペンのお尻についている、インク吸入用パーツをねじり、水を注入。

逆にひねり戻すとホラ。

shuzen10_05_3.jpg

「水滴がおちるってことは、詰まりがなくなったってことね。でも、まだまだ(笑)」

今度は、実際にインクを注入して書いてみます。

「インクの出もいいし、書き味もいいんじゃないかな。試してみてください」

万年筆を渡されて、私もチェック。

川窪さん、修理を終えてお客さんに渡すときには、直接書き味を試してもらうんだとか。

「使い心地の良さは、お客さんそれぞれ。
滑らかにツルツルすべるのがいいという人もいれば、
少しだけ引っかかりがあるほうがいいという人もいますし。
その人の好みに合わせるまでが修理ですよ」

第6回へつづく〜。

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