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伊勢谷友介

no

05

小林武史 × 伊勢谷友介

俳優として活躍する一方で、仲間たちと「リバースプロジェクト」という活動をしている伊勢谷友介さん。

「環境を考えることは新しいモラルを模索すること」という伊勢谷さんが考える、モデルケースとしての「村」とは?

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第4回 人生そのものがアート

 
伊勢谷
僕は人生そのものもアートというか、作品だと思うんですよ。 誰もが「どういうふうに生きたいの?」「お前のプリンシプルはなんなの?」と、問われて生きている。みんなそれぞれの想いがあって、自分の職業を選んでいると思うんですけど、僕らも理念に向かって、社会の中で存在する村になりたいです。
小林
いずれはリアルな村を作りたい?
伊勢谷
まだ前段階ですが、今度、来年の1月に法改正されるんでしたっけ?
私企業が、いままで農地でなかったところを農地にしてもよくなる、という。
小林
ああ、そうだね。山林を農地に変えられるようになったり。
伊勢谷
これはまあ、どこまで言っていいのかわからないけど、想像だからいいか(笑)。
そうなったら、廃校になった小学校で農業をはじめ、まとめてリバースプロジェクトの要素がはめこめたらいいな、と。
水とエネルギーは、都市部なので考えてませんが、衣食住はすべて試せる。酪農と農業が校庭でおこなわれていて、そこで育った牛を潰して、食べるまでの過程を、子供たちに見せなきゃいかん、と。
今や、細胞を再生して工場で肉の切り身を作っていると考えている子供もいる時代なんですよね。危なすぎるでしょう、それは。

エンタテイメント施設として小学校という舞台はすごく面白いと思うし、今、少子化なのでちょうど空きもあるし。なにかいいかたちで地元との交流、かつ対外的には地元のなかにある総合エンタテイメント施設として、僕らとしては実のあることをしたい。循環器となるべくする、商売というものができればな、と思うんです。
つまり、六本木ヒルズのように人が集まってくる、環境について考えられている施設――と、話すと簡単なんですけど。そこにコミュニケーションがちゃんとあるという。 そうしないと普通の人が興味をもって入ってくるのが難しくって。今までも、「見せる」場所はあったけれど、それだけで終わってしまう。来た人が入りやすいものがあったらいいな、と思って。
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小林
僕らも同じようなことを考えているんだよ。
音楽をでも、何をやっていてもそうなんだけれど、僕らは命をいただかないと生きていけないでしょう? 僕らはエネルギーをもらって、エネルギーを発散して、という、交換をずっとやっている。
ap bank をやってきてつくづく思うのは、そういう命の循環が見えたほうが、幸せだということ。それをあまり見せないで、合理的に回してしまうのは、お金の事情にすぎない。圧縮かけて、合理化することに力がかかりすぎちゃっているから、世界中のひずみが全部そこにあるんですよ。すごい勢いをもって富と権力というものにかけてしまっているから。

僕としては、すべては「お金は道具じゃない?」というところから始まっている。 「生命の交換をもっと見えるようにするには、どうしたらいいのか?」ということなの。そのためには伊勢谷くんがやっているような、村という一つのモデルケースやケーススタディを作るということも、大事だよね。
僕らはファーム&ステイをやってみようと思っていて。東京と近い場所でやることができれば、リゾートとしてじゃなくて、都市とのやりとりのなかでの、ファーム&ステイということで、一個のパッケージとして見せられたら、と思うんだよ。
よかったら、伊勢谷くんも一緒にやっていこうよ。
伊勢谷
ぜひ、お願いします!
小林
(笑)
伊勢谷
渋谷区とか、都会のど真ん中でなんかやれたら、すごく面白いなあと思っているんですよ。


生命の循環が見える場所

小林
たとえば、その場所で育てたものがそこで食べられるという、プロセスが見えるかたち。全部をそこでまかなうのは無理だとしても、たとえば鶏を放し飼いにしているような鶏小屋があってさ、そこで絞めた鶏で焼き鳥を出す、とかね。倉庫みたいなところでいいから、煙モクモクで料理する、みたいな。そういうの、どう思う?
伊勢谷
子供には相当刺激的だと思いますよ。ランチを食べに行ったら、ファミレスに行くんじゃなくて「ここで鶏、殺してる!」みたいな。「つぶせないやつは喰っちゃだめだよ」って言われたりして(笑)。そんな体験ができたらな。 食べ物もそうだし、ものを作るってこともね、最近の子供は、誰かが一生懸命、作っているということを知らないんですよ。親の背中を見ないから。親も背中見せらんないし。見せられない環境にしちゃったから。
小林
僕たちのつくる場所にも、リサイクルの家具とかを置きたいね、とは言ってたんだよ。でもあんまりエコエコしまくってる感じもね。これは大事な事なんだけど、循環してなくちゃいけないから、ただのエコの見せ場になっちゃったら駄目だと思う。 でも伊勢谷くんたちと繋がったりしてだからこそまわっているんだっていう循環までいければ、すごくいいな。
伊勢谷
「見える」ようにするのは、大変ですから。
小林
どんな活動も、リアリティのあるところとのつながりが出てこなくちゃならない。 僕は思うけど、伊勢谷くんがアクションをおこすことで、ファンの人や、そういう感覚が好きな人は集まるじゃない。そういうふうに、来てくれる人を広げていかないと。 最初にapbankを作るときにも、環境に興味のある人たちの環境愛好クラブになったら意味がないな、と思った。だから優等生的なエコなんてだめだし、省エネなんてことはまったく言ってないんだけどね。そもそも地球に生きているだけで、人類全員が一様に負荷をかけているから。
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いろいろなものをクリアに見せる

小林
今度、表参道ヒルズでkurkku 3というお店のをやるの。蕎麦を出すんだけどね。
最初は国産そば粉100%にしたかったんだけど、それだと、少量で出さないと、もそもそしちゃうんだって。がっつり食べてもらう蕎麦にしたかったから二八蕎麦にしたんだよね。そういうことも正直に見せていかないと思ってね。
伊勢谷
羨ましい(笑)。
小林
ap bankでも「言葉だけじゃダメなんだ」ということは、徹底的にやるんだけれど。でも、本当にただ正直に集まるだけでも、割と面白くなるじゃん。
だから、農業のことも「何をどう売るのか。そのために何を作るのか」ということの中に嘘がなければいい。たとえば有機野菜は手間もかかる。もちろん美味しくないと有機だって仕方がない。
安全で大事に育てるものにはコストがかかるけれど、有名なシェフに買ってもらう。そういう農業をやっている人もいるしね。たとえば「買ってもらえる農業をやろうぜ」と思ったときに、共感してくれるシェフを呼んできて、能書きいわないで「食べてみて」と言えるもの。
「これ、本当にうまい野菜だ、これで料理を作ろう」と、言ってもらえる野菜を作ろう、と。そうしたら怖いものはないじゃない。低農薬や減農薬みたいな曖昧なことも、その言葉自体はいいんだけれど、どの程度なのか、それは何故なのか?をちゃんと見せるべき。
「その分価格に反映されるんだ」ということも見せてあげるほうがいい。だって、「農薬を使ったものなんか食えるわけないじゃないか!」というと「じゃあ、これまで何を食べてきたんだ?」って話だからね。

だから、そこまで神経質になるのではなくて、見せてあげることだと思ってる。僕は今でも「サステナブル」が大切だと思っているんだけれど。続いていった方がいいよ、社会は。行き詰まって、資本主義と共に自滅するのではなくて。とはいえ、僕は自由競争の社会よりいい社会は今はない、と思っているんだけれど。
伊勢谷
僕もそう思っています。
小林
やっぱり、「人が見たことがないものを作りたい!」みたいな気持ちって、大事だから。
伊勢谷
そうですね。これから僕らも頑張って、「小学校計画」やりましょうよ(笑)。
小林
いいですよ。
伊勢谷
中学校でもいいですけれど。
(撮影/大城 亘 構成/編集部)
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伊勢谷友介プロフィール

1976年、東京都生まれ。東京藝術大学美術学部 修士課程修了。大学在学中の1998年に「ワンダフルライフ」(是枝裕和監督)でデビュー。以後、映画、ドラマなどで幅広く活躍している。2002年には長編映画「カクト」で念願の監督業への進出も果たした。2008年からさまざまなジャンルで活動をおこなう、リバース・プロジェクトをスタート。志をともにするクリエイターとのプロジェクトを進めている。

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