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岩井俊二

no

07

小林武史 × 岩井俊二

『スワロウテイル』での伝説的なコラボレーションから、小林武史の初監督作品『BANDAGE』へ。
互いを「盟友」と認める二人が、これまでの軌跡をふりかえりつつ、新しいスタートラインについて、語る。

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第4回 そして『リリイ・シュシュのすべて』

 
岩井 
『スワロウテイル』の次に小林さんと作った、『リリイ・シュシュのすべて』ではさらに難易度が上がったわけです。リリイ・シュシュは「カリスマアーティスト」という設定なので、物語の中心にいる、みんなが崇めている存在自体を架空で作らなくてはならなかった。
小林 
『リリイ・シュシュのすべて』の音楽は、当時、爆発的に売れたわけじゃなかったけれど、長くコツコツ売れているんだよね。今でも「好き」という人が結構いるし。それもまた、すごいことじゃない。

去年のはじめにSalyuが武道館ライブをやったんだけど、3分の1くらいはリリイ・シュシュの曲だったんだよ。リリイ・シュシュの曲と今までのSalyuを繋げたようなライブなんだけど、ものの見事にハマッて、満員の武道館で、アリーナ全員、じっと座って聴いてるという......。
岩井 
それも、すごい。
小林 
あのライブは、業界でも指折りのライブと言われてね、本当に素晴らしかった。演出も良かったし、Salyu自身が、リリイの頃から10年近くかけてつなげてきた感じがした。
僕も岩井君も、「リリイは時間をかけていこう」と言い合っていたんだけど、文字通りそうなった、というか。

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盟友として

小林 
『スワロウテイル』と『リリイ・シュシュのすべて』を作っていく過程は、岩井くんとの喧々諤々のやりかたも含めて、2作とも全然違ったけど、うーん、何て言うんだろう。岩井俊二という人とのあいだでは、僕も単に映画音楽をやるという感覚では全然なかった。すごく踏み込みながらつくるというか、依頼されてのスタートなんだけど、僕のほうからも提案するし、かなりのコラボ的作業だった。
岩井 
『リリイ・シュシュのすべて』は、1回僕が挫折しちゃった事があったんです(笑)。 撮影数か月前に、脚本がどうしても書ききれなくて。普通のレベルで言えば、できているんですけどね、納得できなくて止めちゃった事があるんですよ。
その時に小林さんと飲んで、お家に遊びに行って。そのときに、映画のためにできあがっていた曲を何曲もあらためて聴かせてもらったら、素晴らしいんです。ここで映画作りを止めてしまっては、もったいない状態なのがよくわかった。 でも、どうしても、「このまま映画にしてよいのか」ということが見えてこなくて。それで、「映画でハマらなくてもインターネット小説という姿だと、合点のいく形になるかも」と思って、曲もそこで聴いてもらいながらネット版の連載小説をやってみることにしたんです。 そうしたら一般の人も書き込んでくれて、勝手に「リリイ・シュシュ像」というのを作り上げていってくれたんです。たぶん、そこが物語に足りなかった部分で、自分以外の人たちの予想もつかない思いが噴き出してきたことで、なんだか自分の中ではっきり映画の形が見えてきた。連載が終わる頃には確実に映画になるのがわかってきたんですよ。 だから、あの時小林さんに家に呼び出されて、説得されなければそこで終わっていたかもしれない(笑)。未だに映画化されてない秘作一本として、「そういえばリリイ・シュシュとかってどうなってた?」みたいなものになっていたかも(笑)。


(撮影/大城亘 構成/編集部)
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岩井俊二プロフィール

1963年生まれ。宮城県出身。映画監督、脚本家、プロデューサー。横浜国立大学卒業後、1988年よりプロモーションビデオとCATVの番組制作をスタートし、その独特な映像世界が注目を浴びる。 1993年、テレビドラマ『ifもしも~打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』で日本映画監督協会新人賞受賞。『Love Letter』(1995年)で数々の映画賞に輝く。そのほか『スワロウテイル『四月物語』『リリイ・シュシュのすべて』など話題作多数。最新作としては、NYを舞台にしたラブ・アンサンブル映画『NEW YORK, I LOVE YOU』(主演:オーランドブルーム/クリスティーナリッチ)がある。(2010年2月公開)

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