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小林武史×THE BAWDIES
フェス特別篇

ap bank fes'10 Special Talk

THE BAWDIES

ap bank fes'10参加アーティストを迎えての特別企画、第二弾!!
「接点」や「繋がり」が全くないんじゃないかと思っていたお互いの存在が、ふとしたきっかけが縁となって、出会い、繋がってゆく。「ap bank fes’10」3日目、7月19日のBAND ACTに登場するTHE BAWDIESと小林武史の関係もまたしかり。世代やキャリアの違いを超えて、「音楽」が結びつけた対談がここに実現した。さぁ、この初対面を機に、どんなレゾナンスが起こるのだろう……。

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第2回 「音楽があればもっと繋がっていける」

 
小林 
半年くらい前に、まだビートルズがライブをやってる頃のライブ映像を観たんだけど、実は彼らって凄いライブ・バンドなんだよね。リンゴ・スターのドラムの叩き方とか好きなんじゃない?
M 
ええ。俺、ビデオ観て、パクってますもん(笑)。
小林 
アグレッシブだよね、彼のドラムって。
ジョージ(ハリスン)もジョン(レノン)もポール(マッカートニー)も凄くてさ、なんでこの人たちはスタジオに閉じこもっちゃったんだろうって思った。でも、僕はスタジオに閉じこもってからのビートルズに惹かれていたんだけどね(笑)。ビートルズがスタジオにこもりだした『リボルバー』あたりから'94年くらいまでって"スタジオ・アート時代"だと思うのね。スタジオという場所、ある種、閉鎖的な場所でいったいどんなことができるのか実験していく時代が延々あった。でも、それ以前の音楽は、お客さんがいる音楽を共有する場や口コミから広がって、それが培われて、受け継がれていくものだった。
R 
僕らに関して言えば、これまで僕らはライブの感覚をそのままCDに詰め込むっていうことを数多くやっていたんですけど、ようやく前作くらいからスタジオで作る作品とライブは別物なんだっていう考え方になってきましたね。でも、自分たちがやっている音楽のせいもあると思うんですけど、音質がどんどんハイパーになっていくと違和感を感じてしまうんです。音がスカスカの方が落ち着くんですよねぇ。

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小林 
でもさ、新しいもの、新しい音楽を吸収したいという思いはあることにはあるんでしょ?
R 
60年代の音楽って僕らの時代ものではないので、自分たちから向かっていかないと吸収できないけど、今の音楽は生活していればどこからでも入ってくるから、あえて僕は自分から吸収しようとしてないんです。でも、それが僕らには丁度いいのかなって。あえて吸収しなくても、勝手に体や感覚には入ってくるだろうし、きっと生きている中で時代の空気感は無意識に感じているだろから、自分たちのベース・ラインは自分たちのルーツ・ミュージックなんだということをしっかり持っていれば、そこに新しい感覚が入ってきても、うまい具合にBAWDIESサウンドになってくれるんじゃないかと思ってます。
小林 
打ち込みの音楽がいっぱい出てきて、そういう音楽が持つ可能性もいっぱいあるけれど、感覚的なものを開いていく音楽っていう意味では、ROCKって何を詰め込んでも成立する音楽だし、いろんなところに広がっていける道具だと思うんだよね。ロック的な精神がカウンター的な役割を担っていくべきだし、そうあるべきだと思う。うん。それは世代も時代も超えたところでね。
R 
オーストラリアでツアーをやった時に、僕らのライブを若い世代の人たちだけじゃなくて、60歳以上の方たちも見てくれていたんです。その人たちが若い子たちと一緒になって、自分の好きなように踊っているのを見て、"あぁ、ロックンロールっていうものがしっかり受け継がれているんだなぁ"と思ったんです。親が聴いていた音楽を子供に聞かせたり、子供の前で踊っている姿を日常の中で見せたりしているからこそ、自然と音楽が次の世代に受け継がれている。だから、そういう子供たちが10代半ばでバンドを組むってなったときに、彼らのオリジナルにはちゃんとルーツ・ミュージックが生きているんだな、と。日本だと世代世代で(音楽が)バッサリ切られているんですよね。その時代に流行ったものを輸入して、それを聴いて、はい、そこで終わりっていう......。だから、日本の若いバンドを見ていても、受け継がれていないものが多すぎて、どこがルーツなのかがわからないし、最近流行っているものでしかないのかなっていう寂しい気持ちもあります。海外のバンドとの差はそこにあるんじゃないかなって。それこそ、代表的なのはビートルズだと思うんですけど、ロックンロールもソウル・ミュージックも、年代に関係なく、誰が聴いてもいいと思うものはいいんだから、もっとみんなと共有できたらなぁって思うんですよ。僕らが紹介しているっていうのもあるんですけど、僕らのライブに来てくれている中学生くらいの子に"最近、何聴いてんの?"って聞くと、"サム・クックがヤバいです"とか言うんですよ(笑)。
小林 
サム・クックがヤバいかぁ(笑)。最近よく思うことなんだけど、僕もどんどん歳を取っていって、歳を取ったら丸くなるのかなと思っていたのに、丸くなるなんていうのは一切ないね(笑)。自分が必要としている感覚は、演奏する初期衝動なんだというところに凄く向かっているし、感情がゴツゴツしている。そういう初期衝動は何歳になろうがなくならないし、なくなるべきものではないと思ってる。THE BAWDIESっていうバンドは、いい時に、この時代に出てくるべきして出てきたバンドなんだろうなってすごく思うよ。ホント、目のつけどころがいい。

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THE BAWDIESのみなさんは、「ap bank fes」への出演依頼があった時は、どんな気持ちだったんですか?
J 
ビックリしました。僕らのようなバンドが呼ばれるとは思ってなかったので、そうか、そうかぁ~って噛みしめるというか。
T 
ホントに俺たちでいいの!? 間違いじゃないよね? 違うバンドと間違えてない?って(笑)。
R 
日本のミュージック・シーンをトップで支え続けている小林さんやMr.Childrenさんが出ているイベントなので、"えっ? 僕らが? なんで?"って正直言って思いました(笑)。ずっとライブをやってきたバンドのインディー感ってあると思うんです。偏見かもしれないんですけど、そういう僕らのようなインディー感のあるバンドとトップでやっているアーティストって、全く違うところにあるものだと僕らは思っていたけど、(出演依頼の話を聞いて)全然そうじゃないんだって思えたし、今日、小林さんとお話して、音楽に対する情熱や思っていることは何ら変わりがないんだなって......。とにかく、僕らのようなロックン・ロール・バンドに気づいてくれたっていうのが驚きもありましたけど、凄く嬉しかった。
T 
普段の活動だけでは接する機会のない人たちと接することができる場所だと思うし、そういう場所でライブができるのはとてもいい経験になると思いました。なので、頑張りたいです!
M 
僕は「ap bank fes」をTVの放映で観ていて。いろんなボーカリストさんの後ろで櫻井さんやBank Bandが演奏しているのを観ていたから、俺らが呼ばれたっていうのを聞いて、いったい俺らはどこに出んの!?って思っていたという(笑)。
小林 
そりゃそうだ(笑)。
M 
でも、今年からツー・ステージにして、バンドもいくつか出るんだっていう話を聞いて、あ、今までのとはちょっと違うap bank fesになるんだなぁって。
いろんなバンドが出演するところに、僕たちが入れてもらえることで、僕たちのライブを観たことがない人にも観てもらえるし、僕らの音楽を印象づけられたらいいなと思ってます。

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小林 
そもそも「ap bank」を作った当初って、"CO2を減らしましょう"とか、そういう優等生的な話から始まったわけじゃないんですよ。いろんなことの繋がりを考えた時に、お金っていうのもひとつの道具だし、自分たちがそれらを社会に何らかの形で戻して、返していくには......っていうカウンター的な考えからスタートしたものだったわけ。で、そんな中で、今、カテゴリー化されている音楽を、新しい人もキャリアがある人も、ひとつのステージの上で繋げていけるんだっていうことを証明するっていうのも、環境的なことでどこからでも世界を捉えていけるんだってことと何ら変わりはないことなんじゃないか、と。結局、寄ること......、それぞれが寄っていくっていうところから再生していくんじゃないかっていう、ね。音楽の流行のサイクルは早いけれど、先達の人たちが生み出した名曲、隠れた名曲ってたくさんある。それを再利用していくことも大事なんじゃないかって思うわけ。なんでもかんでも新しいものに飛びついて、飽きたらまた次の新しいものを......っていうんじゃなくて、古いものを忘れていくっていうんじゃなくてっていう作業も、フェスという場所でできるんじゃないかという思いもあって、「ap bank fes」がどんどん"歌もの"になっていった。でも、櫻井も僕も"歌もの"だけに偏っているんじゃないかっていう懸念はあったんですよ。先達の人たちが生み出してきたものと絡んできたけど、"その先は何だ?"って考えた時に、このフェスは、ちゃんと出会ったり交流があったり、繋がりがあるべきだろうっていう場所なんだし、"まぁ、しょうがないだろう"って保守的に流れて行きがちな思いを再生したいっていう思いがあるなら、そこにはものすごいパワーを持ったバンド、歌ものとはまた別の音楽伝達装置であるバンドが必要だと思ったんだよね。
R 
根本に音楽を愛しているという人たちって、会話でも共有できること、繋がれることがいっぱいあって。それは若い人もキャリアのある方も、バンドもソロのボーカリストも、そして、ファンも......、会話することで繋がっていける。で、そこに音楽があれば、もっともっと結びつくことができるんですよね。

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小林 
大衆音楽って、それぞれの国のそれぞれの言葉で歌われているわけだから、日本の音楽も日本語に帰化していくわけだけど。そういう要素が大衆音楽の素晴らしいところだと僕は思っているのね。でも、どこかで、もっと混ざっていく、境界を越えていくっていうこともあってしかるべきだとも思っている。
凄い勢いで欧米のものが入ってくる時代に、あなたたちもあなたたちの親御さんも僕も音楽の温床の中で育ってきた。今、日本が経済とかその他のいろんなものが関係した中である段階を経て、内向きになっているじゃない? でも、だからこそ音楽が外と繋がっていくもの、境界線を越えていくための何かになってくれるんじゃないかと期待しているんだよね。「ap bank fes」もね、ややもすれば"日本の音楽っていいですね"なんてことになりがちなんだけど、違うものと違うものを際立たせるコラージュ的なものになっていいと思う。うん。ネオ・コラージュしていけばいい。一緒のステージに立てて、仲良くなれて良かったね、じゃなくて......。いや、仲良くなるのは別にいいんだけどね(笑)。THE BAWDIESには好き勝手にやってほしいな。肉体的な感覚を見せつけてほしいし、ひっかきまわしてほしい(笑)。
R 
僕らはステージでは、ただただ自分たちの音楽を鳴らすだけですけどね(笑)。でも、多くの人に僕らのことを知ってもらえるチャンスなので、ひっかきまわすくらいの気持ちでいたいです。

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T 
うん。あとは、打ち上げで酒の力で交流させてもらって(笑)。
小林 
おっ! お酒、好きなんだ。
M 
僕はある程度で止めておけるんですけど......。
R 
うちには捨て駒が2人いるんですよ(笑)。TAXMANとJIMという2人が相当飲むんで(笑)。
小林 
ROYくんは飲まないの?
R 
そうなんですよ。ひと口も飲めなくて。しかも、飲みの席でも真面目な話しかできないんですよねぇ(苦笑)。
小林 
THE BAWDIESは最終日の出演だもんね。じゃ、ドカーンとやって頂きますかね(笑)。
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では、最後にTHE BAWDIESから、「ap bank fes'10」に来て下さる方たちへのメッセージをお願いします。
R 
とにかく、楽しんでほしいです。その気持ちがいちばんですね。僕ら自身、これまでは何をしたらエコのためになるのか、何がためになるのか、何をしたらいいのかよくわかっていなかった。でも、「ap bank fes」に来て、音楽を楽しんだら、それが何かのためになるんなら、こんなに素晴らしいことはないじゃないですか。なので、とにかく、笑って、楽しんで、汗かいて、踊って下さい。
(撮影/水野嘉之 取材・構成/松浦靖恵)
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THE BAWDIESプロフィール

唯一無二の圧倒的なボーカルを武器に、メンバーが敬愛するリズム& ブルース/ロックンロールのルーツを昇華した楽曲、誰もを楽しませてくれるライブが各地で噂を呼ぶ。2009年4月、NAOKI (LOVE PSYCHEDELICO)初プロデュースによりメジャーデビュー。2010年4月にはセカンドアルバム「THERE'S NO TURNING BACK」を発売。現在40本にも及ぶ全国ツアーを開催中! 今もっとも目が離せない「世界基準」の最新型ロックンロールバンドである。
http://thebawdies.com/

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