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矢沢永吉

no

03

小林武史 × 矢沢永吉

5年目を迎えた、ap bank fes’09のシークレットゲストとして、圧倒的な存在感を示した、矢沢永吉さん。

新しいアルバム『ROCK'N'ROLL』をリリースし、驚くほどのパワーで走り続けている矢沢さんに、「ap bank fesでの矢沢さんは完璧だった」と語る小林武史が、待望のインタビューをしました。

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第6回 「音楽はいつまででもできるものだな、と思った」

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今回は、ライブの話からスタート。海外のミュージシャンと一緒にパフォーマンスをしている矢沢さんは、彼らの「どんな細かいことでも真剣に仕事をする」姿勢に学んだそう。そして、「音楽がまた楽しくなってきた」と語ります。


小林
武道館のライブなどでは、外国人部隊の中でやってらっしゃいますけど、あの人たちは、矢沢永吉という人をどう捉えているんでしょう。普通の日本人とまったく違う、自分よりも強い男を見て、どう思っているんですかね。
矢沢
どう思っているんだろう。
アメリカの連中とやり始めた頃、僕だってどっちかというと洋楽に憧れてバンドを作ってきているから、まず海の向こうの本家本元の連中とやるのは恐縮しちゃって。ビビリもあって。
小林
ビビリがあったんですか?
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矢沢
ものすごい、ありましたよ。憧れもあるし。
ドゥービー・ブラザーズが来たときには、「これがドゥービーか」と思うじゃない。「やっぱり本場の奴らは違うな」とか。

でもある日ね、「あかんあかん!」と思ったことがあったんです。「ちょっと、待てよ」と。「本家か本物か知らないけれど、俺のコンサートをやるのに、俺が何をしたいのかはっきりしなくちゃいかん」と。何かの話の中で、強くそう感じてね。 だから僕ははっきりこう言ったの。「あんたがたは、確かに世界のドゥービー・ブラザーズだけれど、日本へ行ったら俺は矢沢だから、頭に入れといてくれ」って。そしたらね、それから彼らはバチッと一つになりましたよ。それまでは、なんとなく「おお、分かった、やろうぜ、やるんならやろうよ」と始まって、「よ ろしくお願いしまーす」みたいな気分がこっちにもあったんだけれど。
でも「俺がボスだから」って言ったのを境に、矢沢と一つになったのを僕は覚えてます。

あとで飲んでいる席で聞いたのは、「はっきり言うけどね、矢沢みたいにピシッとものを言う日本人に会ったのは初めてだ」って。そのとき、すごく俺たち嬉しかったし、「頑張ろうね、一緒に」という気になれたんだよね。

尊敬とか、憧れとか、洋楽すげーなと思うのは、わかるが、ソレはソレ。「このプロジェクトは、誰のための何のプロジェクトで、どうするつもりなんだ」っていうことは、絶対にぶれちゃいけないんです。
小林
映画も軍隊というところまで言っちゃうくらい、彼らはチームプレーが得意ですよね。本当に、一人ひとりの末端まで、何の役割をしているのか、ということがものすごく明確だから。あれは、僕らも学ばなくてはいけないことではあるんだよね。
矢沢
僕がものすごく学んだのは、今、小林さんが言われた通りのこと。どんなに細かいことでも、海外のミュージシャンは真剣に仕事をやる。ちゃんとやりますよ。そこに、びっくりした。以前の僕にはなかったところだから、彼らから結構、学びました。
小林
そうした経験から、今の矢沢さんのバランスはできているのかもしれない。
矢沢
以前の僕にはね、たとえば今から20年前に作った自分の作品を小馬鹿にする自分がいたの。
「ちょっと勘弁して、20年前のアレンジでしょ、20年前に作った俺の作品でしょ。今の俺なんて、引き出しがいっぱいだし、勉強しまくっているから、あん なアレンジ、今の俺だったらしないね。もう全部、アレンジを取り替えたいくらいだよ。」と言っている自分がいたんですよ。

でも、彼らと付き合い始めてから、そういうことは一切なくなりました。全然違うんですよ。20年前は20年前で、ものすごいキラキラしていたんですよ。そういう考え方を教えてもらいましたね。

彼らは面白いですよ。すごくキャッチーな、今のモードの格好いいアレンジも「だよね」ってやるけれど、「悪いけどさ、今年はオールディーズのために、俺の初期の作品を結構取り入れたいんだけれど、聴いて」って言うと、チーパーな音に聴こえるかな? とこっちが思っても、彼らは一個一個、それをちゃんとコピーします。昔の音をちゃんとグルーヴに乗せる彼らの姿を見たときに「これがプロなんだな」と思ったんです。絶対に馬鹿にしない。

それで僕は、自分の20年前の作品をちょっと「あのときを消しゴムで消したいんだよ、俺は」と言っている自分が恥ずかしくなったんですよ。それは、すごくいいことを学んだし、今は音楽の話をしているわけですけれど、ひょっとしたらどのジャンルにもそういうことは言えるのかもしれないね。そんな経験をしたら、 音楽がまた楽しくなってきて。音楽は、いつまででもできるものだな、と思ったりしましたね。
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(撮影/今津聡子 構成/エコレゾ ウェブ編集部)
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矢沢永吉プロフィール

1949年、広島県生まれ。1972年、キャロルのリーダーとしてデビュー。1975年、「アイ・ラヴ・ユー、OK」でソロデビュー。以来、日本のロックの頂点に立ち続ける。2009年8月、アルバム『ROCK’N’ROLL』をリリース。60歳記念ライヴ“ROCK'N'ROLL IN TOKYO DOME”では、5万人の観客を圧倒した。

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