小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

レミオロメン神戸公演

2011.03.24 02:58

レミオロメンが、今週末26、27日
神戸ワールド記念ホールでのライブを、
予定通りに行うことを決めました。

震災後、みんなが自粛していて、
5,000人ぐらいのキャパシティーのライブは
ほぼできなくなっていたようなので、
その先駆けの一つになるのかもしれません。
ちなみに主催者代表として、
僕が書いたコメントはこんな感じです。

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地震発生から10日以上が過ぎて、
いま音楽業界も僕たちが何をするべきなのか、
見守るべきなのかなど、いろんな意見が出ています。
もちろん既に行動に出ている人達も大勢います。

ただ、考えた上で何かをやろうとしている人を
やらない方がいいと思っている人が批判したり、
またその逆であったりすることは、
本当に意味のないことだと思っています。
みんなのそれぞれの判断で、
少しずつ始まっていかなければならないと考えています。

3月26、27日に神戸という町で、
レミオロメンがコンサートをする予定になっていて、
彼らが想いを持って、スタッフと現在の状況をよく見たうえで
音楽とともにやるべきことをスタートさせたいという気持ちを聞いて
僕はこのような時期だからこそ実現させたいと思いました。

どうかご理解下さい。
みなさんが、復興のために少しずつ
色々な試みを始めていくことを応援し、願っています。

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こんな感じで、また少しずつ始まっていこうとしています。
いろんなことが元に戻って進んでいくのは素敵なことだけど、
エネルギーのことだけはもう少し考えましょうよ。

僕の記憶では、例えば医療費のこと、
高速道路建設のこと、その他公共事業も、
国レベルでやるやらないなど議論になっていたと思います。
だけど、エネルギーのことについては、
「原発反対!!」というのは聞こえてはいたけれども、
議論の場に、国民として市民としていた記憶がないです。
とにかくまずは議論の場を作っていきましょう。


東京にて

2011.03.22 22:18

結局東京に着いたのは今日の午前中で、
庄内空港離陸前に入ってきたメールやネットの情報で
やや雨の東京にネガを感じながら戻ってきました。

僕たちは(というのはkurkkuやap bank、
ウーロン舎の主要スタッフのことですが)、
今後のミーティングをして、フードリレーションを含む
いろいろな行動の在り方を、かなり深く広く話し合いました。
時間を空けずに、みんなすぐに動こうとしてくれています。
それはいいんだけど、、、

またもや無力感が襲ってきました。
見ようとする視点によって、物事が違って映るから
本当は俯瞰で見たり、本質を捉えたりした方が良いと、
少なくとも僕は思うし、
僕が認めているような人達の意見もそのように言うけれど、
ネット社会の透明性も含めて、ばらばらになる。

できるだけ単純なYES or NO、A or Bで
未来を選択して行く方法も
こういった場合にはありかもしれないけれども、
そもそもそれを判断する情報が、
どこまで与えられるのかも曖昧だし
多数決が持つ価値ですら、よくわからない。
すいません。

久々の東京で、ちょっと悪酔いです。


P.S.
落ち込んでいるところに、うちのケン・マスイの発言に
少し笑ってしまいました。

以下、ケンの発言です。
「昨日東名高速で名古屋から東京へ向かう途中、
静岡の沼津あたりで高速道路の電光掲示板に"シートベルト〜注意"
なことを見て、思わず"シーベルト〜注意"と読み間違えてしまうほどでした、、」



連携

2011.03.21 09:55

昨日は最初に気仙沼へ行きました。
比較的大きな避難所に行って、炊き出しです。
温かい食べ物はまだまだないみたいで、
5百人を超える人に喜んでいただくことが出来ました。
市役所にも行って、今後のネットワークに関して
行政の人とも話をしてきました。
だけど、色々難しいのは、連携、指示系統です。
東北の人たち(僕もそうですが)は、やや遠慮がちなところがあり
(すいません、僕はズカズカしてますが)
各セクションが繫がりにくいのかもしれない。
しかし、夜に行った石巻の、僕らが行ったエリアは、
かなり広範囲にライフラインが止まっていて、
携帯も繫がらない状態です。
それで行き違いがあり、僕らも行程を変更せざるを得なかった。
でも現場は確実にまだまだ色んな物が
行き届いていないところが多いです。
だから、何とかしなければならない。
少しずつ良くなっていくのと、家や家族を失った人たちが
段々しびれを切らしていくのが重なったりもしています。
それは、これからも、そうだと思われます。

柏崎の時もお世話になったピースボートの人たちにも会えて、
話したのは、少しでも連携を作っていこうということでした。
結局、行政の人たちの中に入り込んで、
何とかスピードを上げて、徐々に正確に、ということを
イメージするしかありません。

僕らもいま、長期にわたってのチームを作ろうとしています。
ap bankなどでは"フードリレイション"というのを立ち上げようと
思っていたのですが、その前に惨事が起こってしまいました。
しかし、災害時の、ある意味番外編の"フードリレイション"で
良いではないか、と思ってやっています。
詳しくはいずれ言いますが、簡単にいうと、
「命の循環がもっと見える社会」へのシフトです。
生き物は食べ物、つまり命をいただかなくては生きていけない。
だから、農も料理も食べることも、繫がりが見えて、
安全に楽しく、関わっている人や食材にも、想いを思って、
とか色々あったほうがいいと思うのです。
これはエネルギーのこともいっしょだけどね。

もしかしたら今夜にも東京です。
色々組み立てたり、直したりします。



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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。