小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

祝島へ

2011.05.29 00:07

山口県の祝島にきました。

震災の数日後、一度来ようと思ったんだけれど、
東北のことがどうしても気になり南三陸などへ行って、
以来、祝島には来れていませんでした。

今回来てみて、と言ってもまだ夜ですけれど、
台風の最中、島民と会って話しているうちに、
この島に来なくちゃいけないなと思っていた理由の
すべてが解ったような気がしてきました。

それは長い話だけれど、それでも簡潔に言えば
僕らは大切にしていかなくちゃならないものがあって
それはそんなに大き過ぎることはなくて、
例えば、お金に支配されていることではなくて、
問題もありながら、自分たちでやっていける範囲の
責任のとり方であり、覚悟の仕方ということです。

また難しくなったかな。
つまり、好きに生きるには、
それだけの覚悟がいるということです。
学校教育で覚悟の仕方を教えるのが、まじでいいと思う。
そんな先生がいたような気もする。
教育っていうことをまた考えようかな。




最近の出来事

2011.05.26 02:12

櫻井君との対談はいかがでしょうか?
もう少し話せることもあったような気もするけれど、
まぁそれは追々ということで。

Salyuの新曲「青空」も、
とてもいい状況でレコーディングが進んでいます。
乞うご期待。

先週末、震災後初めて福島県南相馬市に行ってきました。
近々記事として掲載すると思いますが、
高橋さんという女性との対談をしてきました。
できるだけ福島を意識の中に置いておきたいです。
なんとなく話し合うことを躊躇うような
感じになっていくのは止めよう。
とにかく考え方次第では、もはや福島は何でもアリだ、
ということを高橋さんと話し合いました。
それはパンクでありロック的であり、
パラダイムシフトであり、もちろん人間的でもあります。
とにかくタブー意識をできるだけ排除して、
クリエイティブな動きを付け加えていくというか、
コラージュしていくというか、
みんなも特別な、いい意味で特別な福島に期待しましょう。
そして福島と関わりましょう。

翌日宮城県石巻市にも行って、現地スタッフと
減ってきているボランティアについても話しました。
改めて、ボランティアに少しでも関心を持っている貴方、
そして関心を持っているかもしれない友達も、なんとかトライしてください。
僕らも更に皆さんが行けるように工夫したいと思います。

そして宮城県知事である村井さんと、短い時間でしたが面会もしました。
このブログでは書いたことがあったっけ?
村井さんとは何回もやりとりさせてもらっているのですが、
新エネルギーの推進のことや、復興のことなど話してきました。
本当に村井さんはへんな綾のない、心の澄んだ人なんです。
東北の振興には彼は欠かせないのでは、と思っています。

ap bank Fund for Japanのサイトを見ている方は知っていると思いますが、
集まった義援金のうち、2億円を
被災した県に義援金として寄付させていただきました。
直接被災された方に渡ることになっています。
そしてこの時期から、もうひとつ復興に向けた
復興支援金という口座を設けました。
これは直接被災者に渡るというものとは違って、
もう少し広い用途で事業などを通して、東北の人達が自力で活動していく
スキームを作っていくことに使いたいと思っているものです。
今年のap bank fesの収益もこの復興支援金に充てます。
詳しくはいずれまた紹介していきますが、
いまは、いくつかの復興に向けて活動している
NPOのサポートや団体への支援などを予定しています。

今後も精力的に動いていきますので、よろしくお願いいたします。



発表ラッシュ

2011.05.17 00:53

恒例のスタッフへの感謝を表すための会などもあり
いずれにしても、ツアーはここで一区切りついてしまいます。
予定よりも6本短いツアーの終了で、
そのうちの2本は大阪と和歌山の計4本が、
ドームの2本に変わったということで減った2本。
そして、残りの4本は、東北の仙台、盛岡の各2公演ずつです。
本当に残念だけれど、今は代わりの見通しがまだ立ちません。

「ツアー終了」という言い方を昨日見出しでしてしまったけれど、
もちろん東北のことはできる段階になったら・・・と、頻繁に考えています。
それだけではなく、いろんなアイデアも出てきてはいます。
だけど、まだ発表できる段階にはだいぶ距離があります。

今日もap bankのスタッフが東北の方でボランティアをしています。
電話でスタッフと話した限りでは、温かい食事を
まだ毎日食べられていないという地区を訪れたそうです。
やらなければならないことは、まだいろいろあります。

同時にミスチルとしてはスタジアムツアーの発表があったけど、
ここにも東北地方は含まれていません。
が、言うまでもありませんが、もちろん気持ちはあるので、
引き続きいろいろと手はずを考えて行きたいと思っています。
でも必ずいつかやれるからね。
それは必ずやってくるから、その日のことを楽しみにしたいと思います。
東北の人達はもう少し待っていてください。

昨日今日といろんな発表があって、発表ラッシュという感じですが、
もうご覧になった方もいると思いますけど、
ap bank fesの方は、いままで出てくれたアーティストに
声を掛けていくところからブッキングさせてもらいました。
ステージも、昨年トライした2ステージから1ステージに戻して、
よりひとつになるイメージを求めてやっていきたいと思っています。
そういった意味では、馴染みのあるアーティストが多いとお思いでしょうが、
きっと震災後のap bank fesは、
いろんなことが違った聞こえ方になると思います。

ところで、もうひとつ発表があります。
ap bank fes'11 Fund for Japanのコンセプトにも触れていますが、
近々櫻井君との対談がこのエコレゾウェブでアップされます。
実はもう大阪に来る前に、二人で話したのですが、
今回の震災のこと、3.11からの流れも話していますけれど
櫻井君もかなり話してくれているし、
なにより僕らが中心となってやってきているap bankとして、
いまの日本の、そしてこれからのエネルギー政策をどう思うか、
というところまで話は及んでいます。
僕らなりに、みんなに僕らのこの国の未来に関して
より関心をもってもらいたいという気持ちも含められています。

ミスチルファンの人にもぜひ読んでほしいのが、
既にアップされている小出裕章さんとの緊急対談です。
瀬戸内寂聴さんの後で櫻井和寿君の前という順番での緊急対談。
この方は以前から本当にお会いしたかった方なのですが、素晴らしい人でした。
みんなも、いまこれだけ僕らを悩ませ続けている放射能という問題に
小出さんの一見難しいようだけど、本当にシンプルでさえある彼の捉え方から
原子力と人間社会が付き合っていくことの
困難さや怖さが伝わってくると思います。




小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。