小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

ワタ見の会

2011.11.30 11:25

先週の土曜日、東北コットンプロジェクトの
「ワタ見の会」という催しが、仙台の荒浜地区
というところでありまして、行ってきました。

元々kurkkuでプレオーガニックコットンをやっているスタッフが、
東北コットンの進行役みたいなことを
やらせてもらっているものですから、
kurkkuやap bankのスタッフも、何度も現場に行っています。

東北コットンについては、
前にもこのブログで説明したことがありますが、
簡単に言うと、震災の影響で塩害でやられた土地に、
塩に比較的強いコットンを植えて育てよう、
それをいろんな企業やアパレルのメーカーの人達が応援し、
晴れて収穫になった暁にはみんなでいろんな形で商品化していって
盛り上げつつ循環を作っていこうよ、というプロジェクトです。

荒浜地区の農家さんが最初に手を上げてくれて、
本当に頑張ってほしいと思いました。
ただ、今年は台風で育つ途中の綿花が
水没してしまうというアクシデントに見舞われ、
正直思うように育たなかったのです。
ですが、やはりここはくじけてばかりいられないので
更なる技術革新を取り入れつつ、
来年に向けて頑張ろうという決起集会を行ったわけです。

この会では、直接東北コットンに関わっていなかった
仮設住宅に入っていらっしゃる方も、
もちろん無料で食やお酒を振る舞う、というような趣向もありました。
それもあって僕は東北コットンプロジェクトの
応援団のつもりで、この日行くと決めました。

ぎりぎりになって、一青窈さんが来てくれるということになり、
震災後、彼女が歌の炊き出しや
彼女のツアーなどで披露している曲を4曲演奏してきました。

天候には恵まれたとはいえ、
かなりの冷たい風が吹いてくる中で
僕の手はもう演奏不可能の直前までいくような感じでしたが、
一青さんの魂のこもった歌の力で、
本当に皆さんに喜んでもらえたように思います。

彼女は、中島みゆきさんの「時代」のカバーを
震災後やり続けているのですが、
特にその曲を歌った時には、多くの方が涙を流していらっしゃいました。
野外の、しかも荒野の真ん中で弾いていると、
特にぐっとくるものがありました。

何度か被災地でそういうことを続けていて、
わかってくるのですが、
本当に心が固くなってしまわないためにも、
歌や音楽の力というのは、必要だなと実感します。

いずれにしても、いいイベントでした。

東京や大阪から集まってくれたボランティアの皆さん、
本当にお疲れ様でした。



オペレーションについて

2011.11.29 03:15

今日は予想以上の盛況が続いている
代々木VILLAGEなんですけれども、
なかなか僕に伝わりきれていないこともあり、
昨日の深夜から今日もスケジュールを
かなり上下させたりして、ミーティングを重ねてました。

何が問題だったかと言うと、
ずばりcode kurkkuのオペレーション、
特にサービスがまだ行き届いていないということです。

まぁオープンして、こういうことも
予想できていたことではあるんだけれども、
僕の耳に入ってこなかったことが幾つかあり、
それも仕方の無いことと
理解できる範囲ではあるんですけど、
いずれにしても、スタッフ間の中、
そしてお客さんとの関係の中で、
気持ちが通い合わないという症状が起こっていました。

行き届かないのは予想以上の忙しさと、
まだ不慣れということも含めて、
あり得ないことではないと思うけど、
それをいろんな形でリカバーするという気持ちが大事で、
とにかくそれをkurkkuの主要メンツと共に
みっちり話し合いました。
笹島シェフや大沢伸一君とも、
改めて全体像をチェックしていきます。

早い段階でcode kurkkuに来ていただいたお客様が
このブログを見ていらっしゃったら
(って急に敬語になるのもなんですが)
そしてもし、もしじゃなくて少なからずだと思いますが、
至らないところがあり、不快な思いをさせていたとしたら、
この場を借りてお詫び申し上げます。

今後、早急に様々なところを改善して、
皆さんにより楽しんでいただける
code kurkkuを目指していきますので、
ぜひ諦めず、今後に期待していただけると
ありがたいです。

結局、ホスピタリティーということが大事なんだけれど、
それを支えるフレキシビリティーと
スタイルやルールを守って行く気持ちは、
いろいろせめぎ合います。
だけど完全なマニュアルというのは存在しないし、
全部を解き明かす方程式もありません。
それをひとつひとつのシチュエーションにおいて、
ベストな判断をしていけることが大事で、
ただそれは結局ひとつひとつ違うわけだから、
人によってムラも生まれるとは思います。

が、そこにある質のいい共通性が生まれていくことが、
その店やチームの重要なカラーになっていくんだと思うわけです。
いずれにしても、お客様に楽しんでいただいて、
また来たいなと思ってもらうこと以外、
願うことないはずですから、それに向かって
その気持ちを大切にして、精進するだけです。



シークレット参加

2011.11.27 23:50

今日は代々木VILLAGEで、
取材やら、なんだかんだが続きつつ、
code kurkkuのミュージックバーのトライアルも含めて、
My Little Loverの新曲「ひこうき雲」発売記念を兼ねた、
J-WAVEのイベントが行われました。

わずか4曲でしたが、僕とチェロの四家卯大君が
シークレットで参加しました。
僕はバーに備え付けのアップライトピアノを演奏しました。
akkoさんは、残念ながら風邪を引いていて、
かわいそうなことに本調子ではなかったのですが、
イベントの雰囲気はとても良く、
「こういう使い方も十分対応できるんだな」と実感できました。

夜は夜で、だんだん迫ってきているSalyuとのライブの
短い時間のリハーサル。これはまた明日続きをやりますが、
あるバンドのレコーディングを含めて、
とにかく最近よくピアノを弾いています。

ただ、ピアノは一台一台本当に違うので、
置いてあるピアノの場所によって、
弾き方や雰囲気をちょいちょい変えているわけです。
アップライトは一番余韻が短く、
ついでミニコン、セミコン、フルコンなどの順番になるんだけれど、
僕がいまメインのスタジオで使っているファツィオリは、
フルコンサイズではないけれど、よく響くんですよね。
余韻が長い。まぁでもそれぞれにいい味があるものです。

とにかくこの忙しい中ですが、
また近いうちに「WORKS Ⅱ」の制作に取りかかりたいと
一応ここで言ってみちゃったりしておきます。



小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。