小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

年の瀬、ですね

2011.12.23 02:29

ナオト・インティライミの国立代々木競技場第一体育館の
ライブには行けなかったけれど、
頑張ったっていう話はちゃんと聞こえてきていました。

今年もあと一週間と少しとなったけれど、
例年のように少しずつプロジェクト納めが始まっています。
つまり、アーティストや各プロジェクトの
それぞれの今年最後の仕事が行われていく、というようなことです。

大体、3年前だっけ?ミスチルが紅白出ましたけれど、
あれは、異例中の異例で、僕の人生の中で言えば、
年末進行とか、大棚ざらえとか、関係ないと思っていましたから、
つまりクリエイティブは、
あくまで自分や自分たちのペースであるべきだ、以上、
という思いでいたわけです。
今がどう変わったかは、僕自身は正直あまり変わってない。
だけど、会社のレベルで言えば、いろいろで、
まぁ日本は本当に保守化が進んで久しいですもんね。

しかし、悲しいのは、毎年レコーディングスタジオが
減少していくというようなことです。
今日もどことは言わないけれど、なくなるという話を2つも聞きました。
もちろんデジタルが進んで、
いまやパソコンでも音源が作れないことは
ない時代かもしれないけれど、
でも、スタジオの作業というのは、全然別のプロセスがあるし、
人が集まって音楽に身も心も捧げるという意味では、
それはまさに聖域だったのですよ。

僕たちのスタジオは、うまくいってます。
ただ、しのぎを削るということは減ってきているかも。
スタジオでの作業っていうのは、
ある程度多くの人が関わるから、それはそれで行事なんです。
だけど、決してパブリックではなくて、インディペンデントな行事。
まったく嘘の話を集団で作っている映画制作なんかにも、
少し似ているんだね。
それが面白い。



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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。