小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

祝島で鼎談

2011.06.01 02:00

昨日東京へ戻ってきたのですが、
この間も書いたように、週末、山口県の祝島
というところへ行ってきました。

前々から行きたかったんだけれども、
せっかく行くならば、半分ぐらいオフィシャルなことで行きたいなと思い、
前に対談をお願いした京都大学の小出先生と、
祝島の若手リーダー山戸孝君との鼎談を
島民の方たちの前で行うという企画にしました。

いずれ緊急対談でその対談の模様はテキストにしますが、
対談の雰囲気は、台風が近づいてきている中でもあり、
はらはらとした感じもあり、なかなかすごかったです。
でも本当は何がすごいかというと、
話している姿を見守っていた島民の人達の
オーラみたいなものがすごかった。

祝島というのは、山口県の上関町というところの
島のひとつなのですが、
中国電力が企てた上関原発の計画を、
なんと30年間に渡って阻止してきた島なんです。

僕は鼎談前日に、島民の方々とお酒を酌み交わして
祝島に関わるニュース映像のビデオや、
歴史を物語る写真集などを見せてもらったのですが、
とにかくみんな元気なんです。
何かに反対運動を起こす
独特の悲壮感のようなものがほとんど感じられず、
漁業や農業など、島と自然と繋がっているというか、
根を張っている生命力が、
普通にどのおじさんやおばさんの顔にも
表れているというか、輝いているというか・・・
小出さんは然したる根拠もなく、
上関原発は成立しないのではないかと震災前から言っていたらしいけれど、
それも島の人達の根を張った生命力みたいなものが
お金や権力の渦を寄せ付けないだろうと感じていたみたいです。

とにかく対談がアップしたらぜひ読んでみてください。
小出さんとさらに深い話をしております。
ただ、今度祝島に行くときは、
もう少し天気に恵まれた時がいいな。。。
なんと言っても、台風の接近に合わせての訪問になってしまいましたので。
特に外にいる時は雨に濡れまくっていました。


祝島へ

2011.05.29 00:07

山口県の祝島にきました。

震災の数日後、一度来ようと思ったんだけれど、
東北のことがどうしても気になり南三陸などへ行って、
以来、祝島には来れていませんでした。

今回来てみて、と言ってもまだ夜ですけれど、
台風の最中、島民と会って話しているうちに、
この島に来なくちゃいけないなと思っていた理由の
すべてが解ったような気がしてきました。

それは長い話だけれど、それでも簡潔に言えば
僕らは大切にしていかなくちゃならないものがあって
それはそんなに大き過ぎることはなくて、
例えば、お金に支配されていることではなくて、
問題もありながら、自分たちでやっていける範囲の
責任のとり方であり、覚悟の仕方ということです。

また難しくなったかな。
つまり、好きに生きるには、
それだけの覚悟がいるということです。
学校教育で覚悟の仕方を教えるのが、まじでいいと思う。
そんな先生がいたような気もする。
教育っていうことをまた考えようかな。




最近の出来事

2011.05.26 02:12

櫻井君との対談はいかがでしょうか?
もう少し話せることもあったような気もするけれど、
まぁそれは追々ということで。

Salyuの新曲「青空」も、
とてもいい状況でレコーディングが進んでいます。
乞うご期待。

先週末、震災後初めて福島県南相馬市に行ってきました。
近々記事として掲載すると思いますが、
高橋さんという女性との対談をしてきました。
できるだけ福島を意識の中に置いておきたいです。
なんとなく話し合うことを躊躇うような
感じになっていくのは止めよう。
とにかく考え方次第では、もはや福島は何でもアリだ、
ということを高橋さんと話し合いました。
それはパンクでありロック的であり、
パラダイムシフトであり、もちろん人間的でもあります。
とにかくタブー意識をできるだけ排除して、
クリエイティブな動きを付け加えていくというか、
コラージュしていくというか、
みんなも特別な、いい意味で特別な福島に期待しましょう。
そして福島と関わりましょう。

翌日宮城県石巻市にも行って、現地スタッフと
減ってきているボランティアについても話しました。
改めて、ボランティアに少しでも関心を持っている貴方、
そして関心を持っているかもしれない友達も、なんとかトライしてください。
僕らも更に皆さんが行けるように工夫したいと思います。

そして宮城県知事である村井さんと、短い時間でしたが面会もしました。
このブログでは書いたことがあったっけ?
村井さんとは何回もやりとりさせてもらっているのですが、
新エネルギーの推進のことや、復興のことなど話してきました。
本当に村井さんはへんな綾のない、心の澄んだ人なんです。
東北の振興には彼は欠かせないのでは、と思っています。

ap bank Fund for Japanのサイトを見ている方は知っていると思いますが、
集まった義援金のうち、2億円を
被災した県に義援金として寄付させていただきました。
直接被災された方に渡ることになっています。
そしてこの時期から、もうひとつ復興に向けた
復興支援金という口座を設けました。
これは直接被災者に渡るというものとは違って、
もう少し広い用途で事業などを通して、東北の人達が自力で活動していく
スキームを作っていくことに使いたいと思っているものです。
今年のap bank fesの収益もこの復興支援金に充てます。
詳しくはいずれまた紹介していきますが、
いまは、いくつかの復興に向けて活動している
NPOのサポートや団体への支援などを予定しています。

今後も精力的に動いていきますので、よろしくお願いいたします。



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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。