小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

エネルギー

2011.03.18 13:13

僕の周りには、正直元気な人間もいるし、落ちこんでいる人もいるし
様々だけれど、今回の震災の影響が長引けば長引くほど
必ず重苦しい感じになっていくと思います。
もう実際にそうだし。
みんな、とにかくうっかり沈み込みっぱなしにならないようにしてください。
何かと繋がっていた方がやはり活性化すると思うので。

ap bankとkurkkuの何人か、昨日山形に入って
今日から被災地へのボランティア活動の検討を始めます。
本当は僕も昨日行くはずだったのですが、
諸々の理由で諦めました。

山形に入った人達は食、
農業から被災地を支援しようとする人達と繋がっています。
すごいコネクションを持った人達です。
他にも優れたボランティア団体との連携も取れています。

本当は昨日ぐらいから、どんどん動いて行こうと考えていたし、
いまもまだ山形に行った彼らはそう思っているかもしれませんが
なにしろ原発の状況が見えません。
これはしばらく続きそうです。
僕は自然の脅威には本当に圧倒されてしまったし、
同時に、受け入れていくしかない生き物の宿命も感じるんだけれど
そこに得体の知れないパワーを秘めた
ものも存在しているかもしれないと、すごく違和感を感じます。
本当は違和感なんて生易しいものではないけれど、
被災地の人のことを考えると使える言葉も限られるし、
もっと言えば何も言えない。
少なくとも言える段階ではない。

だけど、この国のエネルギーの問題は
前からあったのは本当だと思うのです。
こんな時に言うなって思うかもしれないけれど、
今までもずっと批判をしながら
結局は飲み込むしかない状況が続いていたんだと思います。
だから、今まだ喉元にあるうちに、
飲み込んでしまわないうちに、
みんなともう少し考えたり感じたりしたいと思って、
緊急企画を始めました。
できれば長く続けていきたいと思っていますが、
この企画のタイトルもまだ決定しておりません。
冒頭にいずれつけようと思っているコメントがあります。
それだけ先にここで掲載します。

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喉元すぎたら忘れてしまいがちな僕らだから、
いまから始めようと思いました。

自問自答を含めたこの問いかけです。

「僕らはエネルギーを選べるのか」

食べるものも、着るものも、住むところも、旅行場所も、
移動手段も(手段が一つしかないのは別として)選べるのに、
僕たちは原子力エネルギーを使わないことを選べない。

いい大人なのに。

何故そうなのか、変えることはできるのか。
他の国ではどうなのか、代わりのエネルギーとは?
出来るだけ難しくなく、電力会社にも攻撃的じゃないやり方で
色んな人と考えてみたいと思っています。

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昨日田中優さんと改めて対談をしました。
知ってたこと、いままで知らなかったことなんかも含めて
この日本のエネルギーの周辺には、えーっと思うことがいくつもあります。
だけど、とにかく興味を持てるように解りやすく、
みんなに参加していけるようなことも考えています。



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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。