小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

宮城公演終了

2011.09.26 23:52

宮城でのミスチル2日間のライブを終えて、帰京しました。
この夏の野外ツアーの最後だったのですが、
今年のミスチルの公的なライブの、多分最後となる2日間でした。

宮城の開催場所は、
「国営みちのく杜の湖畔公園 風の草原」という所でした。
交通網の利便性には少し問題があったかもしれませんが、
スタジアムとはまた違った自然の美しさが残っているところで、
すごくきれいでした。これで大雨でも降ったら、
地面がぬかるんだりして大変だったんだろうけど、
2日間とも天気に恵まれて、最高の環境でライブができました。
そして、桜井をはじめ、ステージに上った全員が、
いや、全スタッフも含めてそうだったと思うけれど、
今年の特に3.11以降にずっと願っていた場所として、
ここでファンの人達と出会えたこと自体が、とにかく喜びに満ちていました。
そんな表現しか思い浮かびませんが、本当にやれてよかったです。

SENSEのアリーナツアー、宮城、盛岡公演のチケットを持っていたけれど、
中止のために来られなかった人に対しては、
今回の宮城公演を優先的に購入いただけるよう、
対応させてもらうことができました。
その結果、(アリーナツアーの宮城、盛岡公演に)来るはずだった
約7割もの人達が、この2日間に渡って参加してくれました。

今年ミスチルにとって、最後のライブと言ったけれども、
振り返るまでもなく、今年は一生忘れ得ない、
おそらく日本人の誰にとっても、そんな年になるのでしょう。
ミスチルのことだけを言っても、
2月19日の名古屋から始まったアリーナツアーが、
3.11以降、3月いっぱいの公演が延期、もしくは中止となり、
その時は、この先どうなるのか本当に見えていなかったです。
だけど、「かぞえうた」のように、
一歩ずつまた歩き出して行くことを信じて、計画を立て、練り直し、
ap bank fesを経て、スタジアムツアーを経て、
やっと東北での公演にたどり着いた、という感じです。
同時に、こんなに早くできたという気持ちもあります。
桜井も言っていたけれども、
人間の復旧復興していく力というのは、基本的に力強いと思います。
いろいろ問題もあると思うけれども、
それはいろんな思いがせめぎ合っているからで、
僕自身、ちゃんと復興していく力というのを、
改めて信じていこうと思わせてくれたライブでもありました。

明日も、もう少し宮城公演のことについて、触れてみようと思います。



BACK
NEXT

小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。