小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

ラウンジという中毒症状

2011.11.24 02:29

代々木VILLAGE好評いただいています。
が、僕は日々主にレコーディング、
僕のホームグランドの日々を送りつつ、
ちょいちょいリハーサル。
そういえば、今日がそのリハーサルで、
なんのリハーサルかというと、
知っている方もいると思いますが、
Salyuのライブというか、Salyuとのライブなんですが、
彼女と僕のピアノ、キーボード、
一部コンピューターがご一緒するという、
それだけのシンプルな編成でのライブをやります。
そのリハーサルなんですね。
これが面白い。
前からやってみようとは思っていたのですが、
この時期になったというのが、何かの縁というか。
チケットはもうないみたいですが、
観に来られる方は、ぜひ楽しみにしていてください。

僕が言いたかったのは、そんな忙しい日々のなか、
代々木VILLAGEの「code kurkku」に
ラウンジと呼ばれる場所があって、
行かれた人はわかると思いますが、
入口のところなんですが、
そこに座ってぼーっとしたり、深夜一杯飲んだり、
もちろんミュージックバーもいいんですが、
いつも混んでいるということもあって、
いまは僕はそのラウンジが気に入っています。

なんと言いますか、室内の壁にある緑が
まるで「インセプション」という映画のワンシーンのように
直角に迫ってくるわけで、それが夜、
西畠清順君が創り込んだ植物達の庭へ通ずる
入口の大きな窓ガラスに反射し、
緑の多次元空間になっているんですね。

そこにいることのちょっとした中毒症状がありまして、
レコーディングをやっていても、
そこに終わってから行こうと思って、
だから今日も頑張れるみたいな、
そういった相乗効果もあると言えば、あるのです。

ちなみにその場所では、昼はランチも食べられるし、
ティータイムにはお茶も飲めるし、
ディナータイムでも食事ができたり、
バーからお酒も取り寄せられたり、
そしてバータイムだけになっても
お酒も飲めるし軽食もとれるという、万能スポット。

「なんだ宣伝か」と言われそうですが、
まだ伝わってないからお伝えしたまでで、
僕の中毒症状の理由は、
全くただの事実だというだけです。



グランドオープン

2011.11.19 01:02

今日が代々木VILLAGEの初日だったわけですが、
僕が予想していたよりも、はるかに盛況だった初日でした。

僕の予想は随分低く見ていたのかもしれませんが、
それにしても、代々木に楽しみに
下りてくるということに慣れていない人が、
東京や近郊ではほとんどだと思うので、
もっともっと今日のような光景は、
時間が掛かると思っていたんですね。

初日の初物好きの人達に、
助けられたということもあるかもしれませんので、
まだまだわかりませんが、
僕の感じで言うと、来ていただければ解りますが、
全体としてかなりオリジナリティーがあるプロジェクトだと思うので、
だんだん癖になっていってもらいたいというか、、、。
でもいろんな店舗で、うまくいかないところも出てくると思うけれど、
全店舗で助けていこうと思っています。
同じ船に乗ることを、結局僕がリクエストしてきたので、
うまくいっていないからと言って、
店舗が変わるというようなことが多い昨今、
なるたけ一緒にやっていこうと、行きたいと思う初日でした。
それにしても、人のちからはすごいなと思います。
本当にまだバタバタしているけれど、
一番いいのは、ワクワクした気持ちで臨めていることですかね。
みんなハラハラもしていると思うけれど。

でも、それもこれも、全て来てくれるお客さんあってのことです。
結構インパクトのある施設になっていると思うけれど、
それに囚われずに、お客さんとの距離を
近づけていきたいと思っています。
決して媚びるという意味じゃなくてね。
大体全てのサービスというのは、フレキシビリティーと
スタイルの間でせめぎ合うから、そこには確固たる答えや
how toはありません。全てのケースの中で、
折り合うところというか、その中でのベストを探し出すべきだと思う。

とにかく、代々木VILLAGE開幕致しました。

早く来てね。




思い込み

2011.11.17 01:45

今日の昼間、東北で「カタリバ」という
復興支援としても重要だと思うプロジェクトをやっている女性と、
久しぶりにミーティングをしました。
彼女たちは、東日本大震災にあった子供たちの支援というのを、
いろんなかたちでやっています。

僕らは最初、彼女たちがいろいろやっている中で、
奨学金制度を作ろうとしているという話があり、
そこの相談を受けたのが、きっかけだったのです。

彼女は最初、返済をしなくてもよい奨学金を与えたい
という考えを持っていて、僕はそれに対して、
いつまでに返済しなくてはいけないという、
期限はなくてもよいけれど、
その人が独り立ちできるようになったら、
また奨学金を必要とするような人達に与えてあげられるような、
そういう循環のシステムを目指したらどうなの? と言ったのです。
それがもう何ヶ月も前の話。

正直あんまりレスがなかったので、
どうなんだ?と思っていたわけです、昨日までは。
でも、今日の朝になって、たまたまきっかけがあって
彼女がやっていることをウェブでいろいろ見ることになって、
彼女達がやっている「カタリバ」の延長で、
コラボスクールという、震災後子供たちがふさぎ込まないように、
やる気を起こすために作られた
アフタースクールのようなものなんだけど、
女川町や大槌町などで展開していて、
つまりずっと現地で見続けていたわけですよ。
おまけに彼女のレスは、うちのスタッフのところで
若干の誤解もあり、止まったままだったりもして、
つまり、彼女は僕たちap bankが
奨学金には興味ないと誤解してしまった節もあったわけです。

レスが遅かったのも当然だったわけで、
それを僕はどっかでなんとなくいけてないなぁ、
と思っていたんですよね。
実際は、僕は奨学金に対して、
たかがひとつのアイデアを言っただけに過ぎず、
そのレスが来ないなと思っている間、
彼女達は、現地でずっと子供たちの成長と
向き合っていたというわけです。

誰が悪いということではないけれど、
ひとつの視点から見えることだけで思い込んでいると、
こういうこともあるということです。
僕は思い上がっていたなと思いました。

最近はメールっていう便利なものがあるので、
やっぱりこういうのはグループメールにして、
進捗がわかるようにするとか、やり方を考えなくちゃいけない。

いずれにしても、彼女の名前は今村久美さんというのですが、
今後、いろんなかたちで援助したり、
一緒にチームを組んだりしたいなと、
その誤解を解いた後のミーティングで本当に思いました。

夜は、代々木VILLAGEでレセプションパーティーでした。
みんな一生懸命やり、そして、予想を上回る人がきてくれて、
大盛況で評判もよく、言うことはないようですが、
僕はつくづくパーティーが
そんなに好きではないんだと思いながら(笑)
最後にボジョレーヌーヴォの解禁を祝うフリをして
中締めとなりました。

いよいよ本番は18日からになります。



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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。