小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

久しぶりに書きます

2012.09.09 23:35

しばらくこのブログをお休みしておりましたが、
決して夏バテやフェス疲れで寝込んでいたわけではなく、
また決して世界一周旅行していたというわけでもなく、
何をしていたかと言えば、
いろんなことの整理整頓やミーティングもありますが、
概ねレコーディングをしていました。

今年はミスチルのレコーディングからツアー、
そしてap bank fes三カ所開催と、ずっと流れが続いていて、
ミスチル20周年というのも、
僕にとっても初めての体験だったのですが、
ap bank fes三カ所開催というのも、
初めての試みだったわけです。

僕らがap bankを始めた頃の
環境などに対するみんなの考え方は変わったというか、
いわゆるエコ意識はもう随分当たり前になってきていると思うし、
ap bankの役割も変わってきています。
その大きな指針が、311以降に僕らが立ち上げた
「Fund for Japan」なのですが、それは想いがあっても、
なかなか簡単に繋がったり、
成果が出るようなものでもないのです。
正直、ap bank fes三カ所開催の前も随分悩んだし、
いろんなミーティングを重ねながら、
そしていろんな人に出会いながら、
今年のap bank fes'12 Fund for Japanに突入しました。

「こうすることが正しい」というような、
答えやコンセプトに導かれるのではなく、
ミスチルのパフォーマンスも含めて、
それぞれがいろんな想いで、それぞれの役割を果たしながら、
大きな「ひとつ」になろうとしているんじゃないかな。
「ひとつ」というのは、つま恋、淡路島、みちのく、
三カ所それぞれの場所でもあるし、
全七日間それぞれの一日でもあるし、
ap bank fes'12 Fund for Japanという
「ひとつ」の旅だったとも言えるわけです。

櫻井君も言っていたけれど、
「自分以外の誰かへの想い」というところから
始まっているap bankであり、ap bank fesだと思っているので、
本当に点描画のような小さなドットが連なって、
大きな一枚の絵になるような、そんな感じなのかなとも思います。
結局、すごく手探りをしながら旅を終えたと思うけれど、
そのことが本当に良かったと思っています。

そのまま今のスタジオワークに、
プラスの要素として働いていると思うのです。
今までになかった喜びを、この数週間味わっていました。
この先の展開が楽しみだし、まだまだやることは続くのですが、
きっとまたその先に、新しい循環みたいなものを
作っていくんだと思っています。

土日は作業が休みだったので、
久しぶりに福島に行ってきました。二ヶ月振りです。
今日はもっと久しぶりとなる、南相馬に行ってきました。
その辺りのこともまたここで書こうと思います。



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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。