自然の流れ
2010.10.28 00:12
山下さんが言うには、有機農業の秘訣は、
自然の流れをうまく使うこと、
自然の流れを把握すること、なのだそうです。
例えば、自然に任せていれば害虫は出てくる、
しかし、益虫というものもあって、
自然の流れで自然に力があるようなバランスを作ってあげれば、
おおよそ益虫が害虫よりも勝るというようなことがあるそうです。
まぁ、虫のことはともかく、自然の流れという話は、
音楽を扱っている僕にとってもまったく腑に落ちるところで、
今回高知へ行くきっかけにもなっている
山形県鶴岡市にあるイタリアンレストラン
「アル・ケッチァーノ」の奥田シェフも同じようなことを言っているし、
彼の料理にもそれを感じます。
あ、 そういえば、奥田シェフはマジックハンドというか、
手からある種のチカラが出る人で、
またいつかこれに関しては書いてもいいけれど、
言葉で言っても信じにくいようなこともあったりして......。
そういう意味で山下さんも、
何か特別なものを持っている人だなというのは
間違いないような気がします。
更に山下さんが言うには、
農業というのは誰でもできるものではない、
つまり、向いている人がいるのだそうです。
僕が「どんな人ですか?」と聞くと、
例えば、小学校時代理科が得意だった人、
クリエイティブなことが好きな人、
ひ とつのことを割とこつこつできる人、
自然の中にいるのが好きな人、
そして、やっぱり植物などを見たり育てたりするのが好きな人、
などと言っておりました。
5つのポイント
2010.10.26 20:42
山下さんの言っていたことを大まかに言うと、
5つのポイントに要訳されますかね。
1つ目は、有機野菜の市場が拡大しているのは、
人々が食の安全を求めることや、
環境意識への向上などによって起こってきていること。
2つ目のポイントは、それに拍車を掛けることで、
日本の農家の方々で、約50%が有機農業へ転向したいと考えていること。
これは農水省の調べによるそうです。
ところが3つ目は、現実の日本市場における有機野菜のシェアは
1%もないほどのわずかな比率であること。
そして4つ目は、有機農業を推進していくための
技術の教育がきちんと行われていないこと。
最後に5つ目なんですが、これがイカしていて、
山下さんならそれを教えることができる、ということなのです。
実際彼はこんなことを言っていました。
よく虫食いの野菜を見て、
「有機野菜だからしょうがないじゃない」とか言うけれど
あれは上手くない有機農業なのです。
本当にきちんとした技術でやれば
見栄えもきちんとしていて、安全で美味しい野菜はできる、と。
これが本当の彼の畑に行ってみると、
美しく健康そうにみえる野菜が並んでいるのです。
続きはまた明日。
ちなみに台風が近づいていますね。
耕す×BBQ in耕す木更津農場の開催は、今月30日ですが、
現在はもう少し静観するべきという判断です。
フェスもそうだけど、農業系は本当に自然とのお付き合いですね。

山下一穂さんという人
2010.10.22 14:33
確かに「エッヘン!」とおっしゃった彼は、
初老とも言える年回りを感じさせるところもある一方で、
いい意味で自由に好き勝手に生きている感じがしました。
彼のフルネームは、山下一穂さんと言います。
山下さんは高知生まれで、
20才前後あたりの詳細は解りませんが
28才まではバンドマンをやっておられました。
本人もおっしゃっていましたが、
いわゆる女性たちがいるクラブなどで
"ハコバン"と言われるようなバンドをやっていたらしく、
ちなみに担当楽器はドラムだったそうです。
その後、まぁきっかけがあったのでしょう、
高知に戻られて、学習塾のようなものをやっていたと思われますが、
おそらく帰郷されてから20年ぐらいして
お祖父さんが亡くなるかそのあたりで
遺言があったのかどうか定かではありませんが
とにかくお祖父さんが残した農地で、
農業をやることを思いついたそうです。
なにしろそれが、たった12年前のことなのです。
山下さんはそこから一気に農業の才能が開花したようで、
5年後には有機農業は簡単だと言うような、
有機農業に苦労している方から見れば
なんとも興味深い発言を連発しているような本
『超かんたん・無農薬有機農業』を出され、
更にその2年後には「土佐自然塾」という有機農業の学校を設立されました。
現在、その学校を設立して5年が経ち、彼の農園は12年経ったわけです。
僕らはカフェを出た後、彼の農園に行きました。
そして小松菜や人参、美味タスなど、数種類の野菜をそのまま採って食べました。
それは虫食いなどは全然なくて、だけど本当に完全に有機なんですよ。
そのまま土から採って食べる野菜は本当にお世辞じゃなく
澄んだ甘さや苦味を伴った野菜の味がして、
僕たち一行は彼の実力を思い知ったのでした。
次回は山下さんが語ってくれたことをもう少し書いてみましょう。