ドライスーツ物語 第三章
2010.06.14 01:17
浮上し終えた僕は船に乗りました。
幾分海底にいる時よりは楽になっているのが
不思議に思ったのですが、
僕のアテンドしてくれたガイド
(今更だけど、若くて人の良さそうな男でした)は、
ドライスーツの胸の真ん中あたりにある
でっかいダイヤルのようなものを押すかまわすかをした後、
くつろぎのポーズと表情をしたのでした。
僕はとっさに思いました。
「なんだっけ、このダイヤルは?」
そしてすぐさま、その言葉を口に出してガイドに聞きました。
「あ、これですか?
これは、あのー、ドライスーツの空気圧を調整するものなんですよ」
「・・・!?」
僕は15年前の記憶が走馬灯のように蘇りつつ、
そりゃそうだよなと思うと同時に、
なんでボートに上がってから言ってんだこのガイドは!
と、激情が込み上げてきたのですが、
口から出てきた言葉は、
「潜る前に言って欲しかった......」
と、一言だけ。
ガイドは、
「あ、すいません。」
とさらりと言ってのけてくれましたが、
陸に帰ってからドライスーツを脱ぎ捨て、
セーター、ジーパンがある程度湿っていたので
それも脱いで更衣室の鏡に自分の肩を映して見たところ
それはすごい体になっていたのです。
まず首のまわりには、
何かの首輪をはめられたに違いないような赤い傷跡、
そして喉ぼとけの間から胸のちょうど真ん中、
例のダイヤルがあった位置あたりに
真っ直ぐ赤い線が伸びていて、
ダイヤルの位置には赤い内出血。
どんだけ特殊なことをしたのか、
という以外につきようのない傷跡、
それだけでなく手や腕や足、脇腹など
無数の縛り跡のような赤い傷がついていたのです。
さすがに焦りましたが、つまりは水面で
ある程度ドライスーツの空気を抜いた状態じゃないと
潜水できないから、抜いてはいたんだけれども、
深く潜れば潜るほど、水圧で締まってくるんですよ。
10メートルで約2倍の圧がかかるんですね。
つまりそこまで潜ったら、
ダイヤルを開いて空気を入れてあげなくちゃいけない。
それがドライスーツの正しい使い方だったのです。
kurkku 3新メニューの打合せ。もうじき変わります
続・ドライスーツ
2010.06.12 21:15
季節外れの晴天且つ、十分肌寒いある日、
僕は近海に行き、ドライスーツを着て、
船から後ろ向きで海に入ったのですが、
まず最初、史上最大の感覚を経験することになりました。
ドライスーツとはいえ、手や頭は海水に出ていて、
それが死ぬほど冷たい......。
そういえば15年ぐらい前に着用した際には
ピッタリとした帽子を被っていた記憶も蘇り、
まして手袋もしていたなぁと思ったのも、あとの祭り。
素手と素頭に海水の冷たさが、ギンギンと響いてきました。
海は適当に荒れてもいたので、
とりあえず潜ろうとロープ伝いに潜水を開始したのですが
問題はそこからでした。
潜るにつれて体に激痛が走り出したのです。
太ももやら腕やらが、キューッと締め付けられるのです。
僕は何が悪いのか解らず、
とりあえずどんどん潜っていくしかないだろうと思い、
どうにか10数メートル下の海底に着いたのですが
もうその頃には何が起こっているのかと思うほど
引きつりや締めつけ感、ひっかき感などのオンパレード。
なんと僕はその状態で、気づけば15分ほどの潜水を
痛みに耐えてやっていたのです。
ダイビングって急浮上が一番やってはいけないことであって、
やるんだったらさっさとやれば良かったんだけれど、
時間が経ってからの急浮上こそが駄目なんだよね。
とにかく僕はあり得ない激痛に耐え抜いて
やっとガイドが浮上サインを出してくれた時、
俺は何をやってたんだろうと朦朧としながら
間違いなく人生最悪のダイビングだと思いながら、
ゆっくりと浮上したのでした。
だけどそこには間違った理由が存在していたのです。
明日に続く。
今日のvege-resoゴーヤ。ブログの内容と関係ないですが...
ドライスーツ
2010.06.11 00:41
昨日のブログの話で思い出したんだけど、
敢えて名前は伏せておきますが
東京の近海でどうしても潜りたくなって、
最近季節を厭わず潜った経験があります。
ダイビングウェアというのは
サーフィンとかでも使うような
(とは言っても、ちょっと違うんだけど)
ウェットスーツであることは
一般的に知られていると思うのですが、
これは体とスーツの間に海水が入って
それを体温で温めて保温するというものなんだけれど、
そんなレベルをも超えている低い水温の場合には、
ドライスーツというものを着ます。
ドライスーツとは、極端に言うと
靴下、ジーパン、セーター着用でも着れてしまうもの。
僕は15年くらい前にドライスーツで潜ったきり
それを使うことはありませんでした。つまり、
暖かいところで潜っていたということなんですけど、
ある日ドライスーツを着るしかない状況で海に入りました。
地元のガイドと一緒にです。
ところが正直言って、
そのガイドはケアが全く足りなかったというか、
その後、僕はすごい目に合うことになるのです。
続きはまた明日......?
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