小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

SLAPPY(スラッピー)

2010.06.25 01:34

SLAPPY(スラッピー)という言葉、
本当はなんなんでしょうね。

一応検索してみましたが、
Yahoo!知恵袋で調べてみたら、
「『勢いが良い』という意味です。」
と言っている人がいて、ちょっと僕は
「え?」
と思い、さらに別の解釈では、
「弾ける手拍子」
と書いてあり、
「まぁ・・・ね」
という気分になっていたところ、最後に出てきたのが、
「不規則に波が押し寄せること」
とあって、これが出てきた時に、
「あぁ!やっとしっくりきた」
と思いました。同時に、
「なるほど、正確に言うとそんな意味だったのか」
とも思いつつ、果たして当時
そこまでの意味だと知りながら使っていたのかな
という気にもなりました。

YEN TOWN BANDの音を
もう一回聴いてもらえるとわかると思うんだけれども、
音が素朴に荒れています。
人間味があるというか。

アメリカなんかには、メジャーリーグ級の
上手いミュージシャンがゴロゴロいるけれど
YEN TOWN BANDは、
映画『スワロウテイル』にも通じるものがあって
インターナショナルでメジャーリーガーとバトルするというよりも
もっと人間味みたいなものを通して
繋がっていくことを目指していたんだよね。
ニューヨークのスタジオへ通っていた時に、
それを勧めてくれたエンジニア(ミュージシャン)がいて。

ラスベガス生まれのその彼は、
レニー・クラヴィッツのファーストツアーメンバーで、
ギターはバカテクだけれども、
まだ現役でレニー・クラヴィッツのギターを弾いている男です。
洋楽好きの人はたぶん知っていると思うけれど、
『ロックン・ロール・イズ・デッド』のリフを考えた男でもあります。
(テーテケテーテーテテー×繰り返し)というリフを弾いた、
あのモジャモジャ頭の男。

ドラマーは、スタジオのマネージャー。
つまり、メンバーの人選自体もつぶ揃いではなく不規則。
上手い奴もいれば、いろいろなわけで。
だけど人間臭さのバランスが音に出る、
決して上手いことを競っているわけでもなんでもない。

その時にいい具合に音がバラついている感じを
「SLAPPY」と読んでいたわけよ。
「グーッドスラッピー」ってね。
もしくは「BAD SLAPPY」とも言っていたかも。


続きはまた明日。




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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。