小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

相撲

2011.03.03 23:36

相撲が好きだという話をしましたが、
生涯本当に会いたくて仕方がない人のベスト3に
僕にとってのヒーロー、
千代の富士と野茂英雄さんとモハメドアリがいまして。
まぁその前に王貞治さんがいたり、
野茂君は既に友達であったりもするのですが。

彼らには割と共通しているところがあって、
ものすごい自分の強烈な切り札を持ってはいるんだけれども、
一般的には「そんなんじゃ駄目じゃん!」と見られてしまい、
もはや悪役化していて、周囲からワーワー言われるんだけれども、
そんな最中でも自分のやり方を貫いた、しかも強烈に、、、
という男たちなのです。

千代の富士は、誰しもが認める昭和の大横綱です。
僕がこれまで見てきた力士の中で、あれだけの大横綱は、
みんな大体20代前半に横綱になっていて(若貴もそうだったし)、
ところが千代の富士は、24才ぐらいで
まだ幕内をうろうろしていたはずなのです。
上がったり下がったり、
勝ち越し〜負け越しを繰り返していた頃に、
体も小さかった彼を、「いずれこの人は横綱になる」
と言っていた人は誰もいなくて。
そんな千代の富士が、ある場所を境に「ドン!」と勝ち続けて、
1年後にはあっという間に横綱になったのです。

僕は彼のキレが素晴らしいところが好きでした。
千代の富士は体が小さいのに力が強いので、
相手を投げるという大きな相撲を取っていて、
小さいが故につぶされて、倒れて、
脱臼癖のある肩を頻繁に脱臼して、、の繰り返しだったので、
それを克服しようと、ウェイトトレーニングを始めたのです。

いわゆるバーベル持って重量挙げをやったり。
いまでこそ力士はみんなやっている事だけれども、
当時はあまりいなかったのです。
千代の富士は脱臼肩をさらに筋肉で覆って、
すごく強い鋼のような筋肉をつけていったのです。
元々瞬発力ある、スピード感ある人間に、
一気に決めていく腕力、パワーが備わったので、
僕は、ある場所から千代の富士の1秒間の分析力は、
他の力士の倍ぐらいに見えて。
相手の力士がスローモーションで
動いているような感じに見えるのです。
力がぐーっとついたところから投げようとするので、
まわしを持って引きつけると、相手がいっぺんに浮くのです。
そしてそのまま寄っていくという相撲、
つまり投げるというとリスキーだけど、
きちんと寄り切って投げるという、
堅実な相撲の型ができていったのです。

スピード感と力強さの合わさった、史上初の力士だと思います。

一度千代の富士(既に引退されていたので九重親方ですが)を、
空港でお見かけたしたことがありまして。
よっぽど握手してもらおうかとすごく考えたけれど、
近くまで行って、佇むだけで終わってしまいました。
一度でいいからお会いしてみたい方です。





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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。