小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

仙台〜日産スタジアム

2011.09.03 21:54

たったいま日産スタジアムでのライブを終えたばかりです。
すごく楽しんでライブがやれました。
リハーサルの時からいい感じだったんだけど、
それまでは、どんなタイミングで台風の影響を受けるのか
正直かなり緊張してましたね。

僕はうっかり気づかなかったんだけれど、
開演前に一雨きたらしいです。
が、それ以外は、本番中も雨は降らず本当にラッキーでした。
本当を言うと、4日ぐらい前から僕はかなり警戒して、
2時間置きぐらいに天気予報をチェックしていたんですよね。
もちろん、まさかの台風で中止にならないでほしいという理由で、
目を離せないということではあったんだけれど、
やっぱり大きな箱の野外って、
その時の環境にすごく影響を受けるし、
自然環境だけではなく、メンバーの体調なんかも含めて
全部その場に立ってみていいバランスになっていないと、
大変なことになる気がするわけです。

なにしろたった5人で、
もちろんスタッフの力が支えてくれているんだけど、
5人だけの演奏ですからね。
それで6万5,000人というのは、やりがいもあるけれど、
目に見えぬプレッシャーもあるということで、、、。
うまくいったライブの後に、ぶつぶつ理屈を述べておりますが。

実は昨日台風の最中ではあったんだけれども、仙台に行ってきました。
荒浜地区というエリアで、
ニュースなどで聞いたことがあるかもしれないけれど

津波で深刻な被害にあったところです。
実は初めて行ったんだけど、本当に広いフラットな平野なんですよね。
津波が海のそばにある防風林ごと、すごい奥まで押し流されてしまったのです。
そこへ何をしに行ったかというと、kurkkuやap bankで支援して、
他のたくさんのアパレル関連の会社などが
みんなで応援しているプロジェクトで
その名を「東北コットン」というのがあるのです。

津波で田んぼなどに塩がひどく入ってしまったところがあるのは
みんな知っていると思うけど、
そういうところは、なかなか作物が育ちにくいわけですよ。
そんな場所にコットンというのは、なんとか生育していくらしく、
繰り返しているうちに、その土地から塩が抜けていくらしいのです。

昨日はいろんな会社や団体の人達も集まって、
雨のなか草むしりをやったり最後に懇親会みたいなものをやったりして、
復興に向かってまだまだ見えないところもありますが、
助成金などを当てにして待っているだけじゃなく、
やれることをやっていこうと一歩踏み出した
荒浜地区の農家の人達や、それを支えようとしている
東京や関西のいろんな人達の思いは、かなり素敵でした。

宮城県の村井知事も、ap bank fes以来でしたがお会いして、
これから「東北コットン」のこともちゃんと見ていきましょう
ということを言ってくれました。
でも、なんか素敵でしょ、「東北コットン」って。
最初はまだ収穫が少ないかもしれないけれど
僕らにも回ってくることがあれば、
ライブグッズなどでも使っていけたらな、と考えています。

でも本当に、このツアーの最後が東北でやれるというのは、
すごくいい目標だなと思っています。
その前に、明日の日産スタジアムでのライブも
ばっちり良いライブにしますよ、もちろん。
このスタジアムツアー初の2デイズなんですが、
いい感じでやれそうな気配がしてます。



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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。