小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

代々木VILLAGEガイド

2011.11.13 00:47

前にも軽く伝えていたんですが、全然まだ伝えきれてない
大きなプロジェクトが水面下で進行中で、
それがいよいよオープンまで、あと一週間を切るということになっています。
そのプロジェクトは「代々木VILLAGE by kurkku」というもので、
11月18日にオープンということになるのです。

ある程度情報で知っている人もいるかもしれませんが、
この代々木VILLAGEは、マンションなどの居住空間ではなく、
JR代々木駅徒歩1分の場所にある、
634坪という敷地面積を持つ商業施設なんですね。

なんで、どうしてこういうものをこの時期に造ることになったのか、
もうかれこれ2年以上前からの計画ではあったんだけれど、
しかも東日本大震災があって、1〜2ヶ月は
ボランティア活動などに明け暮れていて、
完全に進行がストップしていたこともありました。
だけど、紆余曲折あり、切磋琢磨あり、覚悟の決め方ありで、
最終的に気持ちの上では、よりパワーアップして
オープンに臨むことになりそうです。

代々木駅の近くというのは、代々木ゼミナールに代表されるように、
予備校の町、高度経済成長時受験戦争を支えてきた町
というイメージがあると思う。
僕らのキーワードは「サステナブル」だから、この町がそういう風に変わって、
東京や日本のこれからの変化のヒントになるような
持続の仕方を作れればいいと思っています。
でも、今回なによりも大切にしたかったのは、クリエイティビティです。
面白く魅力があり、わくわくできるもの、
それは大人の目から見ても十分耐えられるもの。
そういうことをそういう当たり前な大切さを、
ちゃんと追求していくということ。
そういう面白さがあってのサステナブルでしょう。
もちろん安全や透明性などは十分必要なことだし、そこも大切にしています。

どんなものがあるのか上げてみましょうか。

まずメインが、ap bank fesなどではもうお馴染みかもしれませんが、
京都の有名イタリアン「イル ギオットーネ」の笹島シェフが
食のプロデュースをし、kurkkuと初めて組んだ
「code kurkku」というレストラン。ここは、僕や大沢伸一や
ウーロン舎のレコーディングチームなどが、
心地よさの最高峰の音を追求して、
作り上げているミュージックバーを併設しています。
僕のイメージの中では、昔ニューヨークで行った
中規模のホテルなのですが、
すごく上質なラウンジ、レストラン、ジャズバーが備わっている
という空間があって、そのセパレートしてもいるけれど、
繋がっているというような感じを、デザイナーの片山正通氏が
見事に今の時代の大人にとっても楽しめる空間に作り上げてくれました。
本当に色気があってだけど、バブルの頃のリッチ&ゴージャスとは
違うんですよね。レストランの価格帯も普通にお勤めしている人も
ちょっと頑張れば手が届く価格だと思います。
味と満足度は、本当にすごいです。
ap bank fesの時でも、笹島シェフのコストパフォーマンスは凄かったけれど、
今度はそれを十倍ぐらいスケールアップした感じ。

もうちょっとミュージックバーのことに関して言うと、
ここはアナログレコードはもちろん、CDやデジタルソースも使用できますが、
なによりも大型のスピーカー、僕らはタンノイを使っていますが、
それに大出力のマッキントッシュのアンプなどを組み合わせ、
当たり前にスピーカーがよく鳴る、そして響く、というのを目指しています。

最近はiPodなどデジタルソースなどをイヤホンで
ダイレクトに聴くというのが増えているけれど、
良質の大型のスピーカーが持っている、楽器や声の再生能力というのは、
本当に「豊か」という言葉がぴったりで、
ずっと聴いていても疲れないし、飽きない。まぁ、個人差はありますけれど。

とにかく、それぞれのプレーヤーによる楽器の音や、
各シンガーの声質というのが、こんなに気持ちがいいものかと、
改めて音楽の喜びの原点を教わったりします。
もちろん数々の歴史的名盤の素晴らしさに触れることにもなるのは、
言うまでもありません。バーでは、夜遅くまでcode kurkkuが作る
おつまみやパスタなんかも提供します。
ドリンクの値段も、東京のバーのレベルからすると、本当に抑えています。

今日はこんなところにしておきます。まだまだあります。



本日4日目、最終日。

2011.11.06 02:01

なかなか明確に言えないプロジェクトが進行していますが、
こちらは、もう逃げも隠れもできないプロジェクト、と言うかイベント、
東京デザイナーズウィークのap bank Fund for Japanとのコラボレーション。
主体の食の部分を除いては、今日で終わりました。

最終日の今日は、lego big morlと僕、
そしてレミオロメンの藤巻亮太と僕、というコラボレーションでした。
というか、正直言うとlego big morlとは1曲だけでした。
lego big morlは、この間のSalyuと同様に、
この小さなドーム型の小屋に映る映像のショーとして
音楽がめちゃくちゃ合っていました。本当にいいバンドなんですよね。

もうじきリリースされるアルバムは、ちょっとややこしいんだけれども、
レミオロメンのベース前田啓介がプロデュースしているアルバムとなります。
とにかく、音楽そしてロックへの追求心や志が高いアルバムであり、
そういうアーティストですよ。
こういう奴らを育てていかなくちゃ駄目だよね。
プロデューサーということだけではなくて、
シーンが、ということなんですけどね。

そして、このイベントの僕らの最後は、藤巻亮太が歌ってくれました。
しばらくレミオロメンの活動を離れているから
ファンにとっては、たまらないライブだったかもしれませんね。
雨上がりをやった時の映像は、特に綺麗だったようです。
考えてみると、初めて(藤巻)亮太とステージに上ったんだけど、
非常にあまりのピュアさに少し照れました。

でも、よいステージだったと思います。




終わったばかりです

2011.11.03 21:50

東京デザイナーズウィーク3日目の今日は、
夕方から社会学者の宮台真司さんとのトークイベントをやりました。
今夏、ap bank fesのトークイベントで話して以来だったのですが、
すごくいい話ができたなと思っています。
とにかく彼は明快で、歯に衣着せることなくスピードが速い。
僕も似たところがありますけれど、学者且つ話のプロという意味では、
間違いなくNo.1の総合力ではないかと思っています。
昔「朝まで生テレビ」に出ている時から、
群を抜いた存在感だったんだよね。
覚えている人がいるかどうかわからないけれど、
とにかく彼はLily Chou-Chouが好きなのです。
そういえば、去年の12月にLily Chou-Chouのライブをやったなぁと
とぼけていますが、またやりますよ、などと言ってみたりもしたり。

そして夜は、そのSalyuのライブをやりました。
リハーサルもフルで通しでやってしまうほど、
やっていて楽しい馴染みのメンツで、
今日はギターに名越由貴夫君が入っていたのですが、
そういえばLily Chou-Chouのメンツでもありましたね。

いずれにしても、見ていた人はわかると思うけれど、
小さなドーム状の天井に映し出された映像と、
本当にシンクロしているようなお得感でお届けできて、とても楽しかったです。

本番前にデザインの展示を観に行ったのですが、なかなかいいものですね。
まだ行っていない人は、ぜひチェックしてみて欲しいけど、
企業の展示から美大生やいわゆる現代アーティストの展示なんかも並んでいて、
見ていると気持ちが軽くなるというか、つまり気持ちが自由になれます。

明日は行かないけれど、明後日はレミオの藤巻亮太とやるんで、また行きます。


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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。