小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

耕す新年会

2012.01.12 02:00

今年初めてというよりも、
かなり久しぶりに木更津の「耕す」に行ってきました。
正確に言うと、新年会を兼ねたミーティングでした。

いよいよ展開が大きくなろうとしている「耕す」の
今年から来年への緻密なミーティングができました。
それもそうですが、面白かったのは、
その後の新年会で紹介されたアルバイトの若者達で、
一緒にもつ鍋などをつつきながら、いろんなことを話しました。

関東の農業も放射能でいろいろ言われているけれど、
「耕す」はきちんと計測していて問題ありませんが、
風評被害を含むネガティブな感覚が、
いろんなところで沸き起こっているようです。
だけど、その4人の若者は、
実に明るくさわやかで、活き活きとしていました。

お金、つまり収入の多さという事だけではなくて、
コミュニティーとしても「耕す」などを通して
いろんなところと繋がっていけるという想いが
彼らにはしっかりとあるような気がします。

あと、最近夕日を見ながら
うちのスタッフと「つくづく太陽にお世話になってるね」と
話し合っていたのですが、地球上の全ての生き物が
最もお世話になっている太陽の恩恵を
日々感じて仕事ができるのが農業だと思うんだけれど、
そんな事を話していたら、彼らも大きくうなずいていました。

昨年末「カンブリア宮殿」で、
TSUTAYAのオーナーである増田さんが出ていたのですが、
僕は増田さんとかれこれ20年近く懇意にさせてもらっていて、
大好きな先輩なのですが、さすが増田さん、
すごく素敵なことを言っていたので
見た人もいるかもしれないけれど、紹介しますね。

増田さん曰く、人間には「頭」と「心」と「体」があるのだけれど、
最近、頭を使うことが多くなっている。
だけど、頭で考えるという事は、守りに入る事が多くて、
それに結局自分自身を一番守ってしまうということになりがちだと。
で、心が感じるということが大事で、
増田さんの場合は、お客さんにとって、どういったことがあると
そこに喜びが生まれるのだろうかという事を直感使って、
つまり心で感じようとしている、と。
「頭」と「心」の関係を別の例で例えると、
街中で、おばあさんが倒れていたとする。
頭で考えるのは、いま助けなければ、
周りの人が見ている前で恰好悪いだとか、
結局自分の見られ方からくる発想。
心で感じるというのは、
本当におばあさんのことを考え、感じて行動すること。
つまり、心を鍛えていかないと、本当に大切なこと、
必要なことに向かって行ったり、向き合えたり出来なくなり、
結局、頭を使って計算しているようで、
ただの保身にしかなっていない・・・と言うようなことでした。

Food Relation Networkの中で、
だんだん少しずつ、心が機能しているような気がします。
もちろん音楽で演奏することで、心が機能していくのだけれど、
どうしても情報化されてしまう事も多いのでね。




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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。