小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

アナログとデジタル

2012.01.13 23:53

経済の国際競争力というのも大事なんだろうけど、
その前に人々の営みがあってほしいと思うのは、
当然の話だと思うのです。

ブータンの国王が日本に来た時に、
あれだけニュースになったというのも
日本人がどこかで営みこそがベーシックに大切なのだと
解っているからなのだと思うのです。

資本主義のなかで、売れるものを
いよいよ金融に見出してから
先が見えてきていると思うんだけれど、
とにかく経済が僕たちのいま現在やこれからの喜びを
決定してしまうなどと言うのは、
せっかく授かった命がもったいなさすぎる、と思うわけです。
ちゃんと反応して生きていきたい、生き物として。

極めてまともなことを書いていると思うけれど、
なんの前触れもなく書くと、
「なんか小林さん、遂に新興宗教に目覚めたかな」
と思われそうだけど、違います。
でも、新しいコミュニティーのあり方は想像しちゃうね。
「耕す」も多分増えていくと思うので、
これからそういうコミュニティーを増やしていけたらと思います。

そういえば、この間
「一番お世話になっているもの=太陽」
みたいな話をしました。
「ありがとうございます」みたいな対象は、
昔から変わってないんだよね。
そして僕たちは、どうやってもアナログなものだし、
物語としては、
「デジタルが自分で考えていく装置となった」
みたいなことは、SFとしては面白かったけれども、
それももう食傷気味だし。
むしろアナログだということを自覚していたら、
デジタルは必要な分だけ上手に便利に使えるんじゃないかな。

Salyuのアルバムが、ほぼ完成しました。
ぜひ聴いてみて欲しいです。
忙しい中だったけど、
いろんな局面で集中して作ったアルバムです。
しかし、僕もそうだけど、
Salyuも自由だな・・・と、改めて思いました。





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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。