小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

思い込み

2011.11.17 01:45

今日の昼間、東北で「カタリバ」という
復興支援としても重要だと思うプロジェクトをやっている女性と、
久しぶりにミーティングをしました。
彼女たちは、東日本大震災にあった子供たちの支援というのを、
いろんなかたちでやっています。

僕らは最初、彼女たちがいろいろやっている中で、
奨学金制度を作ろうとしているという話があり、
そこの相談を受けたのが、きっかけだったのです。

彼女は最初、返済をしなくてもよい奨学金を与えたい
という考えを持っていて、僕はそれに対して、
いつまでに返済しなくてはいけないという、
期限はなくてもよいけれど、
その人が独り立ちできるようになったら、
また奨学金を必要とするような人達に与えてあげられるような、
そういう循環のシステムを目指したらどうなの? と言ったのです。
それがもう何ヶ月も前の話。

正直あんまりレスがなかったので、
どうなんだ?と思っていたわけです、昨日までは。
でも、今日の朝になって、たまたまきっかけがあって
彼女がやっていることをウェブでいろいろ見ることになって、
彼女達がやっている「カタリバ」の延長で、
コラボスクールという、震災後子供たちがふさぎ込まないように、
やる気を起こすために作られた
アフタースクールのようなものなんだけど、
女川町や大槌町などで展開していて、
つまりずっと現地で見続けていたわけですよ。
おまけに彼女のレスは、うちのスタッフのところで
若干の誤解もあり、止まったままだったりもして、
つまり、彼女は僕たちap bankが
奨学金には興味ないと誤解してしまった節もあったわけです。

レスが遅かったのも当然だったわけで、
それを僕はどっかでなんとなくいけてないなぁ、
と思っていたんですよね。
実際は、僕は奨学金に対して、
たかがひとつのアイデアを言っただけに過ぎず、
そのレスが来ないなと思っている間、
彼女達は、現地でずっと子供たちの成長と
向き合っていたというわけです。

誰が悪いということではないけれど、
ひとつの視点から見えることだけで思い込んでいると、
こういうこともあるということです。
僕は思い上がっていたなと思いました。

最近はメールっていう便利なものがあるので、
やっぱりこういうのはグループメールにして、
進捗がわかるようにするとか、やり方を考えなくちゃいけない。

いずれにしても、彼女の名前は今村久美さんというのですが、
今後、いろんなかたちで援助したり、
一緒にチームを組んだりしたいなと、
その誤解を解いた後のミーティングで本当に思いました。

夜は、代々木VILLAGEでレセプションパーティーでした。
みんな一生懸命やり、そして、予想を上回る人がきてくれて、
大盛況で評判もよく、言うことはないようですが、
僕はつくづくパーティーが
そんなに好きではないんだと思いながら(笑)
最後にボジョレーヌーヴォの解禁を祝うフリをして
中締めとなりました。

いよいよ本番は18日からになります。



代々木VILLAGEの秘密兵器

2011.11.16 00:58

最後に、11月18日オープンには間に合いませんでしたが、
僕としては、秘密兵器と思っているぐらい、
間違いなく人気を集めることになると思うのが
「body kurkku」です。

ここで言いたいことはたくさんありすぎて、
まだまとまらない程ですが、
基本は整体などを含むボディセラピー、リラクゼーションです。
ここは、最初に東京療術学院という学校から
一緒に何かできませんか、という話が
持ちかけられたところからスタートしました。

彼らは、僕たちap bankでの活動をよく知っていてくれて、
そこで何かもっと役立つプロジェクトが
できるのではないかと、発想したのです。

僕たちも代々木VILLAGEに、
自分の体と向き合える場所があるといいなと、
つまり自分の体と心や感情の循環が図れるところ
というようなことになるのかな。

具体的な特徴としては、
西洋医学と東洋医学とのよい部分を
取り入れる考え方がまず上げられます。
東洋のバランスや循環を重んじる考え方と、
悪くなっている部分を、直接治していこうとする考え方を、
敢えて両方受け入れているというやり方。

でも、実際僕らの生活でも日常でも
その両方を実践していますよね。
例えば、食事に気をつけたり、ヨガをやったりしながら、
風邪をひいたら薬を飲んだり、
注射を打ったりする人は、多いじゃないですか。
漢方薬しか飲まないという人もいるかもしれないけれど、
あれは完全な東洋医学ということなんですかね、、、。

それと、このお店の特徴は、身も心も充実するというか、
自分の体を元気にしたり、
リフレッシュしたりするためにやるべきことを、
貪欲に取り入れることですかね。
そのため、整体などの治療院と、
リラクゼーションの間というか、両方というか、
それを実現しようとしています。
そして、もうひとつの魅力は、その値段設定になると思います。

正直、施術や診療院や治療院などの値段並みか、
もしくはそれよりも安い価格で、
もちろん確かな技術による整体やマッサージなどを受けながら、
巷にたくさんある高額なリラクゼーションサロンに、
多分負けることのない環境、雰囲気、
サービスを提供できるということになるとと思われます。
なんとか12月の下旬にはオープンしたいです。
いま、レイアウトやデザインが全て上がってきていますが、
僕は今夜からも、行って疲れを取り除きたいという衝動にかられます。

また代々木のことは書きますが、
最後に、このお店紹介ではお伝えできる余地がなかったですが、
この代々木VILLAGEというプロジェクトを、
最初からコーディネートし、オーガナイズしてくれた
都市デザインシステムの人達に、ありがとうございます、と言いたいです。

それと、もちろんこの機会を与えてくれた
代々木ゼミナール系の人達にも大感謝です。
いろいろ度重なる計画変更や、
実際に魅力作りに対してヒートアップしていった僕らの思いを、
いまは理解してもらえていると信じていますが、
今後もいろいろとあると思います。
この場をお借りしてよろしくお願いします、です。


今日も代々木VILLAGEガイド

2011.11.15 01:10

昨日までは、食に絡んだお店を紹介しましたが、
今日は他のジャンルです。

前々からいろんなところで噂になっていて、
洋書の古書のセレクトや、素敵なアンティーク家具などで
着実にファンを付けていった、
恵比寿にある「limArt」というお店があります。

そこの中心人物、中島さんや田中さんと
何度かいろんな話をさせてもらいながら、
この代々木にアートやデザインの側面から
クリエイティブを発揮していこうよということになり、
2つのブランドが立ち上がることになりました。

その1つが「POST」。
これは恵比寿でやっている「limArt」が、
古書を中心にやっているのに対して、
「POST」は新書を扱うのですが、
なんと2ヶ月に1回、展示を全部変えてしまう。
それは、ヨーロッパの優れたアートやデザインの出版社の刊行物を、
2ヶ月に1度出版社ごと入れ替えていくということで、
紹介していくという試みです。
アート書籍自体を、ギャラリーの中で展開していく
というような感覚だと思います。

もう1つが「blind gllery」。
ここは新しい価値や視点というものを模索し、
発見しようとするアーティストを主に扱っていったり、
コラボレートしていくことになると思います。
言ってみれば、視覚に頼り切っている魅力ではなく、
そのコンセプトや態度や姿勢がどれだけ面白いかとか、
意味がいまの時代に価値があるかとか、
ま、アートとしては当たり前のことを探っていくことを
目指したギャラリーと言えるかもしれません。
ここは面白くなっていく予感がしてます。

そして、アパレルを中心としたライフスタイルショップとして
「one mile wear by URBAN RESEARCH」があります。
ご存知の方も多いと思いますが、ap bankやkurkkuで
ずっとクリエイトし続けている、プレオーガニックコットンという
プロジェクトがあり、そのコットンをいち早く商品化してくれたのが、
アーバンリサーチがやった「one mile wear」という
セレクションだったんですね。で、そのセレクションを今度はというか、
代々木VILLAGEに僕らがお誘いしたら、
ブランドとして一人歩きさせようとアーバンさんが考えたのが、
このお店なんです。彼らは自分にあったone mile作り、
という言い方をしていますが、人とのつながりや距離感を
大切にしていけるような、カジュアルでフレンドリーな商品が
アパレルのみならず、雑貨なども含めて展開して行くことになると思います。

ちなみにプレオーガニックコットンは、
今年のグッドデザイン賞のサステナブル賞をいただいたのです。
このTシャツが、とか、この靴下が、というわけではないですが、
全体のプロジェクトのあり方に価値があるということ、
それが格好良くグッドデザインだ、という解釈でいます。
ありがたいと思っていますが、これをくれた先が経済産業省ということで、
賞状もあるのですが、そこには枝野さんの名前が入っており、
やや複雑な気持ちでした。いずれこれは写真付きでお見せしたいなと思います。

脱線しましたが、次の紹介をします。

次は「Love Peace Travel by H.I.S」。
HISは、実際僕が海外に行く時に、本当によくお世話になっていて、
いろいろスケジュールの変更などにも
対応してもらったりしていたのですが、
今回代々木VILLAGEをつくる時に、
実際にここではないどこかと繋がっているということを、
それを仕事としてやっているコンシェルジュのようなものが
あるといいなと、ある日突然思い立ちまして、
HISの方々に相談したら、それは面白いということになり、
実現しました。その時のイメージは、
ライフ&ネイチャーコンシェルジュというようなものだったんですけどね。
代々木VILLAGEの中に、別世界に通じるドアが
ついているというような感じですか。
彼らとは、もちろん、いろんな魅力のある旅というのも、
一緒に考えていきたいと思っています。
いずれボランティアとか、農業体験とかを組み入れつつ、
楽しみもあるとか、人との出会いに繋がっていくとか、
そういうプログラムも提案できたらいいなと思っています。

「そら植物園」。
僕はこのVILLAGEの中では、
植物の比重は本当に大きいと思っているし、
それは面積だけではなくて、アグレッシブな主張や
メッセージを送り込む重要な役割と思っていますが、
この代々木VILLAGEの全体の植物担当と言いますか、
重要な一人が西畠清順君でありまして、
彼がその植物の使い手なんですね。
彼はもう採算度外視したといってもいいような頑張りで、
いままさに本オープンに向けて、作業を続けてくれていますが、
その西畠君が今後の活動を広げるために、
コンサルティングデスクというものを置く場所が
この「そら植物園」というコンテナになります。
当分は小さな植物の販売とかはしないと聞いていますが、
企業やお店や自宅に植栽などを考えている方は、
要注目ということなんですかね。
何か持ち帰りやお届けでも買えるようなものが
あるといいと思ってますが、それはまだ今後の話ですか。
いずれにしても、そのデスクから、VILLAGEに広がる
植物の動向を彼は時々見渡しながら、
考えることになるのだと思います。

ここまでが、11月18日オープンに間に合ったプロジェクト。

明日は、唯一間に合いませんでしたが、「body kurkku」を紹介させてください。





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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。