小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

代々木VILLAGEガイドの続き

2011.11.14 02:05

「代々木VILLAGE by kurkku」ナビゲートの続きを話します。

施設の正面入口を入ると、
真っ白いコンテナが上に、下に、と並んでいるのですが、
このコンテナエリアには、全部で9つの店舗が入ります。

まずは、飲食店舗の紹介から。

「pour-kur(プルクル)」という、天然酵母を使ったパン屋さん。
ここは、湘南の名店「POURQUO!? (プルクワ)」という
パン屋さんで修行していた藤田さんという女性が
僕らのチームに入ってくれて、この数ヶ月間、
プルクワの名品プラス、新メニューの開発に勤しんでいたんですが、
僕のリクエストも組んでくれた、噛み応えのすごいソーセージパンとか、
多分日本一のもちもち感がすごいピザとか、
グリル野菜を挟んだパンを、
オーダーが入ったら石釜で焼き上げるサンドパンとか、
他にもいっぱい実力派のパンが揃っています。
これまで代々木の町には、あまりパン屋さんがなかったので、
話題になること間違いない、という感じです。

「Drink & Soup kurkku Lab」
略して僕らは「DSラボ」と読んでいるけれど、
ここはある意味、僕らが食べるということと体との関係を、
できるだけカジュアルな佇まいとして考えて、
商品化するというようなコンセプトを持っています。
最初の商品としてお出しするのは、、というよりも、
この店の絶対的な売りだと思うけど、
「耕す」農場の有機人参にレモンを加えて、
低速回転のジューサーを使用して、その場でお出しするという、
全く酵素やビタミンを壊さないジュースなんです。
健康や、特に病気予防や抗がん治療にも
優れた効果があると定評の作り方を、
僕自身の健康管理の経験からぜひやってみてほしいと
リクエストし、スタッフもその美味しさと、
体に効く感じを体感した上で、商品化するものなんですよね。

他にはkurkku kitchenの初代シェフ諸橋新之助が考案した
野菜たっぷりのクラムチャウダー。
特に冬、少しお酒が入り過ぎた翌日なんかには絶対お勧めだし、
とにかく美味しい。あとは、安全な国産の美味しい紅茶。
僕はそれをレモンティーとして勧めたい気がするんですけどね。
日本の水は軟水だし、国産の紅茶とレモンの方が相性がいい。
ミルクよりも、ということです。
そして安全で体にやさしいジンジャーラテ、とか。

「Roots & Beat coffee」
このコーヒー屋さんは、とにかくコーヒーの産地にこだわってますし、
今後もこだわり続けていきたいなと考えていて、
それを都市生活のリズムにはめ込んでいくために、
多分いま世界でもっともハイスペックなエスプレッソマシーンと
組み合わせていくというコンセプトです。
コーヒーの歴史や未来に、世界のあり方が映し出されていると思うから、
それを大切にしながら、味を楽しんでいきたいと思う気持ちが
「Roots」という言葉に込めていて、「Beat」には、
毎日の暮らしが活性化して、いい感じのグルーブやリズムを
創り出してほしいという、少しでもそのお手伝いが
このコーヒーでできればと、願いを込めています。
略して「R&B coffee」と呼んでくれても、問題ないです。

「TAKO YOYOGI」という居酒屋があります。
ここはとにかく比内鶏でとった出汁の稲庭うどんが、
まずはめちゃ美味い。そして、手羽の中でも
「手羽中」という一口で口の中に収まる
「YAMITUKI」というネーミングの
手羽の唐揚げが、ディープに美味すぎ。
ここは、めちゃくちゃカジュアルだけれども、
いい加減の緩さがあり、ひねりが独りでに効いているというか、
そういうプログラミングになっているというような、安心感があります。
つまり、遊び心を持った包容力。
なんのこっちゃという感じですが、居酒屋です。
でも本来居酒屋は、そんなんがいいですよね。


これで飲食は全部です。他のジャンルはまた明日。




代々木VILLAGEガイド

2011.11.13 00:47

前にも軽く伝えていたんですが、全然まだ伝えきれてない
大きなプロジェクトが水面下で進行中で、
それがいよいよオープンまで、あと一週間を切るということになっています。
そのプロジェクトは「代々木VILLAGE by kurkku」というもので、
11月18日にオープンということになるのです。

ある程度情報で知っている人もいるかもしれませんが、
この代々木VILLAGEは、マンションなどの居住空間ではなく、
JR代々木駅徒歩1分の場所にある、
634坪という敷地面積を持つ商業施設なんですね。

なんで、どうしてこういうものをこの時期に造ることになったのか、
もうかれこれ2年以上前からの計画ではあったんだけれど、
しかも東日本大震災があって、1〜2ヶ月は
ボランティア活動などに明け暮れていて、
完全に進行がストップしていたこともありました。
だけど、紆余曲折あり、切磋琢磨あり、覚悟の決め方ありで、
最終的に気持ちの上では、よりパワーアップして
オープンに臨むことになりそうです。

代々木駅の近くというのは、代々木ゼミナールに代表されるように、
予備校の町、高度経済成長時受験戦争を支えてきた町
というイメージがあると思う。
僕らのキーワードは「サステナブル」だから、この町がそういう風に変わって、
東京や日本のこれからの変化のヒントになるような
持続の仕方を作れればいいと思っています。
でも、今回なによりも大切にしたかったのは、クリエイティビティです。
面白く魅力があり、わくわくできるもの、
それは大人の目から見ても十分耐えられるもの。
そういうことをそういう当たり前な大切さを、
ちゃんと追求していくということ。
そういう面白さがあってのサステナブルでしょう。
もちろん安全や透明性などは十分必要なことだし、そこも大切にしています。

どんなものがあるのか上げてみましょうか。

まずメインが、ap bank fesなどではもうお馴染みかもしれませんが、
京都の有名イタリアン「イル ギオットーネ」の笹島シェフが
食のプロデュースをし、kurkkuと初めて組んだ
「code kurkku」というレストラン。ここは、僕や大沢伸一や
ウーロン舎のレコーディングチームなどが、
心地よさの最高峰の音を追求して、
作り上げているミュージックバーを併設しています。
僕のイメージの中では、昔ニューヨークで行った
中規模のホテルなのですが、
すごく上質なラウンジ、レストラン、ジャズバーが備わっている
という空間があって、そのセパレートしてもいるけれど、
繋がっているというような感じを、デザイナーの片山正通氏が
見事に今の時代の大人にとっても楽しめる空間に作り上げてくれました。
本当に色気があってだけど、バブルの頃のリッチ&ゴージャスとは
違うんですよね。レストランの価格帯も普通にお勤めしている人も
ちょっと頑張れば手が届く価格だと思います。
味と満足度は、本当にすごいです。
ap bank fesの時でも、笹島シェフのコストパフォーマンスは凄かったけれど、
今度はそれを十倍ぐらいスケールアップした感じ。

もうちょっとミュージックバーのことに関して言うと、
ここはアナログレコードはもちろん、CDやデジタルソースも使用できますが、
なによりも大型のスピーカー、僕らはタンノイを使っていますが、
それに大出力のマッキントッシュのアンプなどを組み合わせ、
当たり前にスピーカーがよく鳴る、そして響く、というのを目指しています。

最近はiPodなどデジタルソースなどをイヤホンで
ダイレクトに聴くというのが増えているけれど、
良質の大型のスピーカーが持っている、楽器や声の再生能力というのは、
本当に「豊か」という言葉がぴったりで、
ずっと聴いていても疲れないし、飽きない。まぁ、個人差はありますけれど。

とにかく、それぞれのプレーヤーによる楽器の音や、
各シンガーの声質というのが、こんなに気持ちがいいものかと、
改めて音楽の喜びの原点を教わったりします。
もちろん数々の歴史的名盤の素晴らしさに触れることにもなるのは、
言うまでもありません。バーでは、夜遅くまでcode kurkkuが作る
おつまみやパスタなんかも提供します。
ドリンクの値段も、東京のバーのレベルからすると、本当に抑えています。

今日はこんなところにしておきます。まだまだあります。



本日4日目、最終日。

2011.11.06 02:01

なかなか明確に言えないプロジェクトが進行していますが、
こちらは、もう逃げも隠れもできないプロジェクト、と言うかイベント、
東京デザイナーズウィークのap bank Fund for Japanとのコラボレーション。
主体の食の部分を除いては、今日で終わりました。

最終日の今日は、lego big morlと僕、
そしてレミオロメンの藤巻亮太と僕、というコラボレーションでした。
というか、正直言うとlego big morlとは1曲だけでした。
lego big morlは、この間のSalyuと同様に、
この小さなドーム型の小屋に映る映像のショーとして
音楽がめちゃくちゃ合っていました。本当にいいバンドなんですよね。

もうじきリリースされるアルバムは、ちょっとややこしいんだけれども、
レミオロメンのベース前田啓介がプロデュースしているアルバムとなります。
とにかく、音楽そしてロックへの追求心や志が高いアルバムであり、
そういうアーティストですよ。
こういう奴らを育てていかなくちゃ駄目だよね。
プロデューサーということだけではなくて、
シーンが、ということなんですけどね。

そして、このイベントの僕らの最後は、藤巻亮太が歌ってくれました。
しばらくレミオロメンの活動を離れているから
ファンにとっては、たまらないライブだったかもしれませんね。
雨上がりをやった時の映像は、特に綺麗だったようです。
考えてみると、初めて(藤巻)亮太とステージに上ったんだけど、
非常にあまりのピュアさに少し照れました。

でも、よいステージだったと思います。




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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。